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本編
36.場内見学〜休憩エリア〜
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「リュカにぃ、何にする?」
「なんでも」
「ほなウチと同じやで」
さて、何故かリィカと共に休憩エリアにやってきた咲夜達。今はその一角、フードコートのような場所で昼食選びの真っ最中。フィルとしてはちゃんとしたコースでも振る舞いたかったのだが、リィカの提案を蹴れず今に至る。
『(シスコンか?)』
『(いや確定ブラコンだね)』
フィルに対してぐいぐいいくリィカを眺めていた一とゆあの感想である。先程、というより出会ってからずっとフィルにベッタリなリィカ。いつもフィルにベッタリくっつかれている咲夜が表情には出さずともどこか不機嫌なのを2人は感じ取っていた。
「にしてもリュカにぃ、何で番なんか探しに行ったんよ。ウチがおるのに」
「お前が居るからだよ」
「大丈夫やで、リュカにぃ。たとえ実の兄妹っちゅう禁断でも、愛があったら何とかなるさかい!」
「あー、ハイハイ。俺はお前が大好きデスー」
とまぁこんな茶番を聞きつつどんどん機嫌が悪くなる咲夜であるが、リィカが冗談で言っているのは分かっていた。だから耐えた。ひたすらに。
「もうエリア全部見たんやろ?この後どうすんの」
「父さんと母さんに顔見せに行く」
「え、ウチと自室に閉じこもって娘つくるんちゃうん?あ、息子でもええで!」
その一言をフィルは勿論盛大なため息をついて躱したが、咲夜は違った。一瞬だけポーカーフェイスが崩れてしまう。
そして本当に運悪く、すれ違いざまにその一瞬を見てしまった人達。彼らが急に氷像の如く固まって真っ青になったのに、フィルは気付かない。
『(やばい。咲夜がやばいぞ)』
『(咲夜って自分のテリトリーに入れる人厳選するし、中に入れた人に関してはとことんな性格だからなぁ……!)』
『(そしてそこに少しばかり竜人の特性が加わって……)』
『(は、早く気付いて、リュカー!)』
ゆあと一がそうコソコソ話をしているのも、咲夜は気にとめない。ただ黙々と昼食を食べている。しかし流石に、咲夜の隣に座るフィルとその前に座るリィカに声をかけられれば顔をあげた。
「っちゅうか、あんたホンマにリュカにぃの番なん?ウチに遠慮してるんか知らんけど、顔色ひとつ変えんて流石におかしいやろ」
「おいリィカ、咲夜は人間なんだぞ」
『(いや待て、今の咲夜を見て顔色ひとつ変えてないと言うか!?)』
『(丸君、逃げる準備はいい?)』
『(あぁ、リュカは見捨てる)』
もきゅもきゅと咀嚼しながら問うリィカに咲夜は笑みで答えた。まだ耐えてれているが、ゆあと一はさっさと昼食を食べて逃げる体制に入っている。
「ま、気にすることないんちゃう。また探したらかわりが見つかるって、なぁ?リュカにぃ」
「おいリィカ、言っていい事と悪い事があるぞ。サクヤだって……」
そう言葉を続けながら、ふと横を見たフィル。そして笑みを浮かべる咲夜を、とっとと逃げ出したゆあと一が座っていた空の席を、誰もいない自分の周りの席を見てやっと異変に気付いた。
「サ、クヤ……?」
「なんやお前。さっきから一言も喋らんし、何気味悪い笑顔浮かべとんの?」
まだ気付かないリィカの言葉を聞いた咲夜はさらに笑みを深める。
そしてただ一言、
「あ"?」
と言った。
「なんでも」
「ほなウチと同じやで」
さて、何故かリィカと共に休憩エリアにやってきた咲夜達。今はその一角、フードコートのような場所で昼食選びの真っ最中。フィルとしてはちゃんとしたコースでも振る舞いたかったのだが、リィカの提案を蹴れず今に至る。
『(シスコンか?)』
『(いや確定ブラコンだね)』
フィルに対してぐいぐいいくリィカを眺めていた一とゆあの感想である。先程、というより出会ってからずっとフィルにベッタリなリィカ。いつもフィルにベッタリくっつかれている咲夜が表情には出さずともどこか不機嫌なのを2人は感じ取っていた。
「にしてもリュカにぃ、何で番なんか探しに行ったんよ。ウチがおるのに」
「お前が居るからだよ」
「大丈夫やで、リュカにぃ。たとえ実の兄妹っちゅう禁断でも、愛があったら何とかなるさかい!」
「あー、ハイハイ。俺はお前が大好きデスー」
とまぁこんな茶番を聞きつつどんどん機嫌が悪くなる咲夜であるが、リィカが冗談で言っているのは分かっていた。だから耐えた。ひたすらに。
「もうエリア全部見たんやろ?この後どうすんの」
「父さんと母さんに顔見せに行く」
「え、ウチと自室に閉じこもって娘つくるんちゃうん?あ、息子でもええで!」
その一言をフィルは勿論盛大なため息をついて躱したが、咲夜は違った。一瞬だけポーカーフェイスが崩れてしまう。
そして本当に運悪く、すれ違いざまにその一瞬を見てしまった人達。彼らが急に氷像の如く固まって真っ青になったのに、フィルは気付かない。
『(やばい。咲夜がやばいぞ)』
『(咲夜って自分のテリトリーに入れる人厳選するし、中に入れた人に関してはとことんな性格だからなぁ……!)』
『(そしてそこに少しばかり竜人の特性が加わって……)』
『(は、早く気付いて、リュカー!)』
ゆあと一がそうコソコソ話をしているのも、咲夜は気にとめない。ただ黙々と昼食を食べている。しかし流石に、咲夜の隣に座るフィルとその前に座るリィカに声をかけられれば顔をあげた。
「っちゅうか、あんたホンマにリュカにぃの番なん?ウチに遠慮してるんか知らんけど、顔色ひとつ変えんて流石におかしいやろ」
「おいリィカ、咲夜は人間なんだぞ」
『(いや待て、今の咲夜を見て顔色ひとつ変えてないと言うか!?)』
『(丸君、逃げる準備はいい?)』
『(あぁ、リュカは見捨てる)』
もきゅもきゅと咀嚼しながら問うリィカに咲夜は笑みで答えた。まだ耐えてれているが、ゆあと一はさっさと昼食を食べて逃げる体制に入っている。
「ま、気にすることないんちゃう。また探したらかわりが見つかるって、なぁ?リュカにぃ」
「おいリィカ、言っていい事と悪い事があるぞ。サクヤだって……」
そう言葉を続けながら、ふと横を見たフィル。そして笑みを浮かべる咲夜を、とっとと逃げ出したゆあと一が座っていた空の席を、誰もいない自分の周りの席を見てやっと異変に気付いた。
「サ、クヤ……?」
「なんやお前。さっきから一言も喋らんし、何気味悪い笑顔浮かべとんの?」
まだ気付かないリィカの言葉を聞いた咲夜はさらに笑みを深める。
そしてただ一言、
「あ"?」
と言った。
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