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本編
33.城内見学〜修練エリア〜
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ラフィリア国王城の東に位置する、修練エリア。中央の宿泊エリアを出た昨夜達はそこに向かっていた。
「あー、最初に断っておくが、この先は修練エリアだ。もちろん、実剣を使っているから少々グロい。大丈夫か?」
「うん」
咲夜達を尻込みさせるつもりで言ったフィルだが、残念ながら逆効果。実剣と聞いてさらに目を輝かせたのだ。仕方なく、フィルはため息を1つこぼしてからドアを開けた。
「ふぉぉぉぉ!すごい、すごいよ丸君!」
「あぁ!」
とたんに耳を打つ金属音。中ではまだ30歳前後の若者たちが2人1組になって、息をつかせぬ速さで剣を切り結んでいる。
時折受けきれず剣が剥き出しの腕に当たるが、大抵傷をおうことなく平然と打ち合いが再開していた。
「アダム!剣に重さをのせろ!リアスは切り返しの反応を早く!」
そんな中、男の怒号が飛ぶ。50組の若者の間を歩き、厳しい顔で改善点を指摘、時折撃ち合いの中に躊躇いもせず手を突っ込んで持ち方を直接指導している。
「サクヤ、そろそろ……」
出るぞ、というフィルの声は、丁度休憩に入った若者たちの喧騒に紛れて咲夜に届くことは無く。嬉嬉として質問に行くゆあ。そしてフィルが最も恐れていたことが起きた。
「おい……あれ、リュカ様じゃないか?」
「うぉっ、本物だ!」
「こんなに近くで初めて見るな……」
「おいあそこの女性ってまさか」
「まさか!」
いくら咲夜を盾にしてこそこそしていても、1人が気付けばそこを中心に情報は素早く回ってしまう。そうして若者たちの視線がフィルに集まり、先程の喧騒は何処へやら、痛いほどの沈黙が満ちた。
「おいおいどうした?急に黙りやがって」
『(サクヤ、行こう)』
『(どうしたの?さっきからやけに出たがってるけど)』
『(どうしたもこうしたも、俺があのバカどもに捕まるんだよ!)』
必死に訴え、修練エリアを後にしようとするフィル。しかし時すでに遅し。若者たちが異様に静かになったことを不審に思ったらしい指導者がやって来て、フィルを見た。
「……リュカじゃねぇか。お前、番を探しに行くとか言って。あぁ、そこの人が?」
「(まだ間に合う、まだ間に合う)」
「おい無視するんじゃねぇよ!」
「(まだ間に合う、まだ間に合う!)」
「うぉい!逃げんな!お前ら、捕まえろ!」
「「はいっ!」」
くるりと踵を返すなり脱兎のごとく逃げたしたフィル。ただし指導者の捕まえろ、という言葉を聞いた若者たちにより出入口がブロックされ、あっという間に押し倒されてあえなく捕まった。
「リュカ!今までお前に模擬戦を挑んだこと87回!しかし全て逃げられた……。今回こそは対戦してもらうぞ!」
しゃらん、と音高く剣を抜き、押し倒されて床に伏せているフィルに剣先が突きつけられる。そして模擬戦と聞いて目を輝かせたのがゆあと一、反対に眉根を寄せたのが咲夜。
「模擬戦!やって、リュカ、やって!」
「見てみたいな、生の戦い。悪魔の時は気絶してたし」
「フィル、87回も挑まれて、全部逃げたの?……はぁ、ダメだよ。せっかく挑んでくれているのに。ほら、ちゃんと戦ってあげて?」
咲夜なら、と少し期待していたフィルだが、見事に予想の斜め上を行ってくれる。そして咲夜に言われたからには88回目の逃亡をする訳にもいかなくなった。
「……あー。いいよやってやる。ただし!お前1人だけだからな!」
結局、フィルが折れた。
「あー、最初に断っておくが、この先は修練エリアだ。もちろん、実剣を使っているから少々グロい。大丈夫か?」
「うん」
咲夜達を尻込みさせるつもりで言ったフィルだが、残念ながら逆効果。実剣と聞いてさらに目を輝かせたのだ。仕方なく、フィルはため息を1つこぼしてからドアを開けた。
「ふぉぉぉぉ!すごい、すごいよ丸君!」
「あぁ!」
とたんに耳を打つ金属音。中ではまだ30歳前後の若者たちが2人1組になって、息をつかせぬ速さで剣を切り結んでいる。
時折受けきれず剣が剥き出しの腕に当たるが、大抵傷をおうことなく平然と打ち合いが再開していた。
「アダム!剣に重さをのせろ!リアスは切り返しの反応を早く!」
そんな中、男の怒号が飛ぶ。50組の若者の間を歩き、厳しい顔で改善点を指摘、時折撃ち合いの中に躊躇いもせず手を突っ込んで持ち方を直接指導している。
「サクヤ、そろそろ……」
出るぞ、というフィルの声は、丁度休憩に入った若者たちの喧騒に紛れて咲夜に届くことは無く。嬉嬉として質問に行くゆあ。そしてフィルが最も恐れていたことが起きた。
「おい……あれ、リュカ様じゃないか?」
「うぉっ、本物だ!」
「こんなに近くで初めて見るな……」
「おいあそこの女性ってまさか」
「まさか!」
いくら咲夜を盾にしてこそこそしていても、1人が気付けばそこを中心に情報は素早く回ってしまう。そうして若者たちの視線がフィルに集まり、先程の喧騒は何処へやら、痛いほどの沈黙が満ちた。
「おいおいどうした?急に黙りやがって」
『(サクヤ、行こう)』
『(どうしたの?さっきからやけに出たがってるけど)』
『(どうしたもこうしたも、俺があのバカどもに捕まるんだよ!)』
必死に訴え、修練エリアを後にしようとするフィル。しかし時すでに遅し。若者たちが異様に静かになったことを不審に思ったらしい指導者がやって来て、フィルを見た。
「……リュカじゃねぇか。お前、番を探しに行くとか言って。あぁ、そこの人が?」
「(まだ間に合う、まだ間に合う)」
「おい無視するんじゃねぇよ!」
「(まだ間に合う、まだ間に合う!)」
「うぉい!逃げんな!お前ら、捕まえろ!」
「「はいっ!」」
くるりと踵を返すなり脱兎のごとく逃げたしたフィル。ただし指導者の捕まえろ、という言葉を聞いた若者たちにより出入口がブロックされ、あっという間に押し倒されてあえなく捕まった。
「リュカ!今までお前に模擬戦を挑んだこと87回!しかし全て逃げられた……。今回こそは対戦してもらうぞ!」
しゃらん、と音高く剣を抜き、押し倒されて床に伏せているフィルに剣先が突きつけられる。そして模擬戦と聞いて目を輝かせたのがゆあと一、反対に眉根を寄せたのが咲夜。
「模擬戦!やって、リュカ、やって!」
「見てみたいな、生の戦い。悪魔の時は気絶してたし」
「フィル、87回も挑まれて、全部逃げたの?……はぁ、ダメだよ。せっかく挑んでくれているのに。ほら、ちゃんと戦ってあげて?」
咲夜なら、と少し期待していたフィルだが、見事に予想の斜め上を行ってくれる。そして咲夜に言われたからには88回目の逃亡をする訳にもいかなくなった。
「……あー。いいよやってやる。ただし!お前1人だけだからな!」
結局、フィルが折れた。
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