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本編
32.場内見学〜宿泊エリア〜
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「それじゃあざっくり場内まわるか!」
先程のキラキラっぷりは何処へやら、いつも通りになったフィル。けれど咲夜達は全く気に止めていない。フィルの些細な(?)変化より、広々としたホールに目を奪われているのだ。
「すごい、どちらかといえば中世ヨーロッパの文化なのに。派手過ぎない!」
「モノトーンにレッドカーペットがよく映えるな……。他の装飾も豪華すぎず地味すぎず、趣味がいい」
「竜王っていうのは純粋な強さで決まるからな、見目の麗しさより利便性を重視している」
人族の貴族に馬鹿にされないよう最低限飾り付けてあるが。そう付け加えると、フィルは近くにいた者からまっさらな羊皮紙を受け取った。
「それ何?何も書かれてないけど……」
「場内の地図。人が触れたら現れる仕掛けだ。ただ、俺が許可した者以外が触れると……燃える」
フィルのその一言で、ゆあの伸ばしかけた手が引っ込む。その目の前で何も書かれていなかった紙にロウソクで焦がしたような線が現れ、たちまち地図になる。
すごい凄いとはしゃぐ咲夜達を見て嬉しそうに目を細めたフィルが、さらに地図を軽くつつく。とたんにすうっと文字と線が浮かび上がり、平面の地図が立体に。
「魔法って便利……科学も、そりゃあいいけどね」
「俺からしたら両方まぜたいけどな。っとそうじゃなくてだ。この城は4つのメインエリアに別れてるが、どこからまわりたい?」
「じゃあ右回り」
「了解」
さて、フィルの言った通りラフィリア城は大きく4つのエリアに別れている。まずフィル達が今いるホールを含む、宿泊エリア。3桁にのぼる小さな部屋と、いくつかの豪華を尽くした部屋が用意されている。
豪華を尽くした部屋は他国からの客人を泊めるためだけにある。その他はこの城に暮らす人々の住まいだ。数を優先したため、広さも装飾も質素である。
「朔丸はこの部屋、咲夜はこっち。どっちの部屋も大体のものは揃ってるし、個室もある。不備があったらその辺にいるやつに言ってくれ」
「うん。……ってすご!?丸君丸君、見て!テレビとかでやってる高級スイート並だよっ!」
「いや、ゆあ。これは明らかにそれを凌駕しているぞ」
ふわっふわのベッド、巨大なテーブル、3人がけソファが置かれた個室が2つ。それからシャワールーム、巨大バスタブのある浴室、個室トイレ、何を入れるか聞きたい広さのクローゼット、その他備品がエトセトラ。
「フィル、これ逆に何が足りないのか分かんないレベルだよ……」
「いやむしろあり過ぎて捨てたくなるレベルだ」
「ここって一軒家かなって疑うレベルだよね」
「俺もそう思う」
咲夜、一、ゆあと順に下された評価をフィルはあっさりと肯定した。この2部屋、フィルが番とその友人を連れて戻ると連絡を入れたことで作られた部屋もの。
つまり、やっとフィルに番ができたと家臣達が喜び勇んで、大暴走した結果なのだ。
「とりあえず当面の間はここで暮らしてもらうから、あとで増やすなり捨てるなり好きにしてくれ」
「りょーかい」
「わかった」
「因みにフィル、城内の人達が住む部屋ってどんなの?」
「質より量、部屋の広さより個数だ。まぁ察してくれ」
次のエリア行くぞ、と歩き出したフィルについて行きながら咲夜は頭の中でビジネスホテルを思い浮かべていた。
だが実際、部屋の広さや設備はともかくとして、ベッドの質だけは比べてはいけなかったりする。
先程のキラキラっぷりは何処へやら、いつも通りになったフィル。けれど咲夜達は全く気に止めていない。フィルの些細な(?)変化より、広々としたホールに目を奪われているのだ。
「すごい、どちらかといえば中世ヨーロッパの文化なのに。派手過ぎない!」
「モノトーンにレッドカーペットがよく映えるな……。他の装飾も豪華すぎず地味すぎず、趣味がいい」
「竜王っていうのは純粋な強さで決まるからな、見目の麗しさより利便性を重視している」
人族の貴族に馬鹿にされないよう最低限飾り付けてあるが。そう付け加えると、フィルは近くにいた者からまっさらな羊皮紙を受け取った。
「それ何?何も書かれてないけど……」
「場内の地図。人が触れたら現れる仕掛けだ。ただ、俺が許可した者以外が触れると……燃える」
フィルのその一言で、ゆあの伸ばしかけた手が引っ込む。その目の前で何も書かれていなかった紙にロウソクで焦がしたような線が現れ、たちまち地図になる。
すごい凄いとはしゃぐ咲夜達を見て嬉しそうに目を細めたフィルが、さらに地図を軽くつつく。とたんにすうっと文字と線が浮かび上がり、平面の地図が立体に。
「魔法って便利……科学も、そりゃあいいけどね」
「俺からしたら両方まぜたいけどな。っとそうじゃなくてだ。この城は4つのメインエリアに別れてるが、どこからまわりたい?」
「じゃあ右回り」
「了解」
さて、フィルの言った通りラフィリア城は大きく4つのエリアに別れている。まずフィル達が今いるホールを含む、宿泊エリア。3桁にのぼる小さな部屋と、いくつかの豪華を尽くした部屋が用意されている。
豪華を尽くした部屋は他国からの客人を泊めるためだけにある。その他はこの城に暮らす人々の住まいだ。数を優先したため、広さも装飾も質素である。
「朔丸はこの部屋、咲夜はこっち。どっちの部屋も大体のものは揃ってるし、個室もある。不備があったらその辺にいるやつに言ってくれ」
「うん。……ってすご!?丸君丸君、見て!テレビとかでやってる高級スイート並だよっ!」
「いや、ゆあ。これは明らかにそれを凌駕しているぞ」
ふわっふわのベッド、巨大なテーブル、3人がけソファが置かれた個室が2つ。それからシャワールーム、巨大バスタブのある浴室、個室トイレ、何を入れるか聞きたい広さのクローゼット、その他備品がエトセトラ。
「フィル、これ逆に何が足りないのか分かんないレベルだよ……」
「いやむしろあり過ぎて捨てたくなるレベルだ」
「ここって一軒家かなって疑うレベルだよね」
「俺もそう思う」
咲夜、一、ゆあと順に下された評価をフィルはあっさりと肯定した。この2部屋、フィルが番とその友人を連れて戻ると連絡を入れたことで作られた部屋もの。
つまり、やっとフィルに番ができたと家臣達が喜び勇んで、大暴走した結果なのだ。
「とりあえず当面の間はここで暮らしてもらうから、あとで増やすなり捨てるなり好きにしてくれ」
「りょーかい」
「わかった」
「因みにフィル、城内の人達が住む部屋ってどんなの?」
「質より量、部屋の広さより個数だ。まぁ察してくれ」
次のエリア行くぞ、と歩き出したフィルについて行きながら咲夜は頭の中でビジネスホテルを思い浮かべていた。
だが実際、部屋の広さや設備はともかくとして、ベッドの質だけは比べてはいけなかったりする。
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