竜王の番は大変です!

月桜姫

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本編

24.咲夜の異変

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視点:ゆあ

***食堂にて***

咲夜の様子がおかしい。一昨日の晩からリュカが警察(それも若者嫌いと評判の悪い奴)に連れていかれてからどんどんおかしくなってる気がする。

何と言うか、時間が経つ事に顔色が悪くなるんだよね。食事も超ひかえめで、昨晩に至っては眠れなかったみたい。

それに、とにかく人に触れられることに敏感になっている。異性は、特に。触れられると拒絶反応が出てるんだよね。

「という訳なんだけどどうしよう、丸君」

「って言われてもなぁ」

困ったように頬をぽりぽりとかく丸君の瞳を見つめていると、じんわり顔が赤くなってくるから面白い。実はあの時丸君が起きてたの知ってたし、ゆあにしては珍しく賭けにでたんだよ?

……ってゆあと丸君の話じゃなくて。咲夜のこと多分、というか絶対リュカがいないせいだよね。異様なことだとは思うけど、あの二人半日以上離れた事ほとんどないんじゃない?

「でね、リュカは絶対束縛系だと思うの」

「それはまぁそうだな。俺は一人を決めて……いやなんでもない。男が咲夜に話しかけるのすら嫌うもんな」

「その誤魔化した部分がとっても聞きたいけど、我慢してあげる。それでだよ。ゆあさ、気になってリュカに聞いた事あるの」

「何を?」

「咲夜に竜心を与えたかって」

ずっと不思議に思っていた。どちらかというと体が弱い咲夜が、あの時見舞いにいってケロリとしていたこと。

山を登った時息切れ1つ起こしていなかったこと。どうにかこうにか、咲夜がお風呂に入っている間に聞くことが出来た。

「で、どうだったんだ?」

「やっぱり与えたって。ほら、あの時助けるために。でも、咲夜にいきなり丸々ひとつ与えたら反動が大きすぎるからって」

「半分にしたってことか」

「察しが良くて助かるよ。でね、竜人ってどうも男が女の意見に従っちゃうみたいで、リュカも今咲夜に言われた"一般ルールに従うこと"っていうのに囚われてるのね」

そこで言葉を切ると何を言いたいかを必死に考えてくれる丸君。箸を止めて考える丸君を前に、切り分けたハンバーグを口に入れる。

「あぁそうか。それを破らせる為に、というか上書きさせるために咲夜を上手く導かないといけないのか」

「うんうん。あの咲夜のことだし、一筋縄じゃいかないと思うんだよね」

「確かに、人の迷惑になることとか気にするからな」

「だからね、家で伏せっておられる咲夜サンをリュカクンのもとに強制連行するのがいいと思うんだけど。どうかな、はじめクン?」

いたずらに名前を呼べばあからさまに動揺する丸君。本当に面白くて、かわいい。機械みたいにこくこく頷く丸君を見て、咲夜には悪いけど幸せだと思う。

「そうと決まったらさっそく行動!」

「あ、あぁ」

戸惑う丸君を半分引きずるようにして、食堂を出たのだった。
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