竜王の番は大変です!

月桜姫

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本編

18.今後の事

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「うん?それで、それがどう権力争いになるの?」

「憧れの対象である竜王の仕事がいくら地味でも、退屈でも、やっぱり権力は国一だ」

「要するに、ウィリアムって人が竜王の座を狙ってるってこと?」

「そ。……で、最近気づいたんだよ。ウィリアムがあのウィルだって。ま、気づいた所で金でこの俺が動く訳がないんだがな」

咲夜の物わかりの良さに笑みを浮かべたフィルだが、直ぐに不機嫌になる。フィルにとって、金を積めば自分が竜王を降りると思われていることが、金で竜王の座につけると思っているらしいことがとても腹立たしいのだ。

「それで、お主はどうしたいのじゃ」

「どうしたいって、もちろん潰す。この世界に隠れてんなら引っ張り出して、向こうに逃げたら追って潰す。サクヤに手を出した時点で死刑は確定している」

「(あれ、フィルの目って青いよね。なんでこう、赤く見えるかな。私の目がおかしくなったかな)」

「ハイハイ、怒ってるのは分かったからー。威圧やめよっか、ゆあと一が引いてるよー?」

引いてるんじゃなくて怖がってるんじゃない、というツッコミが入れれない咲夜。イオの言葉にハッとしたフィルの表情が柔らかくなり、魔力の威圧がなくなったことで咲夜とゆあ、一は心底ほっとした。

「あぁそうだ。リィカさんから伝言。"何があったんか知らんけど、さっさと番連れてこい!"だって」

「さっさと、って言われてもなぁ」

カイから伝えられた言葉に呆れたようなため息をついたフィル。しかしすぐに口角を持ち上げ、ニヤリと悪い笑みを浮かべた。

「魔力も無事全回復したし、やる気が溢れてくるなぁ……?」

「(やる気だって、もう、漢字変換怖い……)」

「サクヤは勿論、丸朔も手伝ってくれるよな?ん?」

「言われなくたって。咲夜があんなことされたんだもん、たっっっぷりお返ししてあげたい気分!」

「さすがに許せないし今回ばかりは何も見なかった、聞かなかったことにするさ」

フィルと同種の黒い笑みを浮かべて張り切るゆあと、ストッパー役を放棄した一。1番の被害者であるはずの咲夜は、ついうっかりまだ見ぬウィルを気の毒に思ってしまった。
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