竜王の番は大変です!

月桜姫

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本編

4.編入生

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「……で、だ。この時期に、というか実際有り得ないはずの編入をしてきた天才がいるらしい。しかも!俺達と同じ学部で、超絶美人らしいぞ!」

「俺らにもやっと春が……!」

「いやでも一説だと美形の、男だとか……」

「俺の情報網では銀髪美女らしいぞ!おかげで男女とも大騒ぎしてるとか!」

席について、ぼーっと同じ学部の人の話を聞く。その中で咲夜の耳に残ったのは、2つの言葉。

「(銀髪の、美形ねぇ……心当たりがありすぎるんだけど)」

同じ学部だなんて、どうか予想が外れていますように。というか2日でよく手続きしたなぁ。なんて、矛盾したことを考える咲夜。そして講義開始直前になって、噂の編入生が、やってきた。

『(うぉっ!?誰が言ったんだよ美女って……男じゃん!)』

『(いやでもあいつの周りに女が集まるからおこぼれとか……)』

「外人の人?」

「名前は?」

「どこ生まれなのー?」

「あー、リュカ・ラフィリア。外人……なのか。遠いとこから来たってことに嘘はない」

「おー!そうなのか!よろしくなっ、リュカ!」

「あ、あぁ」


男女ともにテンション五割り増しの勢いにおされ戸惑いながらも、わりとすんなり輪に入ったフィル。ただ、男達と咲夜の中がいいのが気に入らないらしく、少しぶっきらぼうではあった。


***食堂にて***


「でー?リュカはやっぱ彼女とかいる感じー?」 

「そりゃ」

「えー!!だ、誰!?」

「……サクヤ」

「うそぉ!?お前神川の彼氏かよ!よくおとしたな……」

「おとす?」

「あぁ。神川ってさ、本人無自覚だけど美人だろ?裏で取り合いが激しいんだわ」

カレーを突っつきながらの言葉に、フィルが目を細める。その視線の先には、朝から1度も触れていない咲夜が。そして何を考えついたか、イタズラっぽく笑んだフィルが隣のテーブルにいる咲夜を呼ぶ。

「何、フィル……ひゃ!?」

ちょいちょいと手招きして自分の隣に咲夜を呼び寄せるフィル。そして不思議そうに立つ咲夜の腰に手を伸ばし、自分の膝の上に座らせた。さらに後ろから手を回し、お腹の上で組んで逃げられないように。

「え、ちょ、フィル!やめてよこんな所で!」

「あ?別にいいだろ」

「うわぉ、近年稀に見るバカップルだ……神川がなるとはなぁ、意外、意外」

「いやそうでもないぞ?まだまだ片思いってとこだ」

「もう、はやく離してよ!」

「ま、頑張れよ、二人とも」

その言葉に元気よく返事を返したフィルと、友人が離れていくのを止めようとする咲夜。ゆあと一も巻き込まれちゃ大変とばかりにさっさと退散していく。

「待ってゆあ、戻って……」

そうして後に残ったのはご機嫌なフィルと、あわれな咲夜。それから咲夜に厳しい目を向ける女子が数百人だけだった。
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