竜王の番は大変です!

月桜姫

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本編

3.フィル、大学へ行く

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「ちょっとフィル、離れて歩いて!お願いだから!」

「断る」

肩が触れる距離で歩くフィルを横に押しやろうとする咲夜と、テコでも離れないフィル、その2人をほんわり見守るゆあ。この3人は、とても目立っていた。主に、フィルのおかげで。

「私の言うこと聞くっていうから連れてきたのに……やっぱりまちがいだったかぁ」

「いいじゃねぇか。サクヤの居ない家にいても意味ねぇし。むしろ2日もよく耐えたぜ俺」

「咲夜、結構仲良くやってるんだね。……えぇと?」

「ん?あぁ、リュカって呼んでくれ。名は番のものだからな」

「了解っ!よろしくね、リュカ!……あ、じゃあゆあが咲夜って呼ぶのマズイ?」

「いや、咲夜は人族だしな。あんまり俺の文化に縛り付ける訳にはいかない。だから、男以外なら大丈夫だ」

もちろんそんな男いないよな?とばかりに向けられた視線を受け止めきれない咲夜。咲夜だって女だし、彼氏もいた。

何より、ゆあと同じぐらい長い付き合いのあの人は……。そんなことを思いながら、咲夜がとある人を思い浮べた瞬間。

「よっ!ゆあ、咲夜!」

「おはよー丸くん!」

「 はじめ、おはよ(うぅ、フィルの視線が!突き刺さる!)」

「なぁ、2人とも編入生知ってるか?……って誰ソイツ」

大学を前にしてパタパタっと走りよってきたのは丸山一。中学、高校、大学とずっと一緒で、咲夜とゆあのいわゆる仲良しくんだ。

「誰っていうのはこっちのセリフなんだが。"俺の"咲夜になんか用?」

「俺の、って……。お前咲夜の彼氏か?」

「あぁ。咲夜は俺のつ……」

「ちょっと黙ろうか、フィル」

俺の、に力を込めて言った上、咲夜の腰に手を回しながら言ったので、一が胡散臭そうな目でフィルをみる。そして番と口に出そうとしたフィルを、咲夜が止めた。

『(フィルは人間、私の彼氏!OK?)』

『(あぁそうだったな)』

ゆあが一の相手をしている間に、フィルにもう一度約束を確認する咲夜。しばらくして大学につくなりフィルに女子生徒が殺到。フィルを追おうとした咲夜だが、たちまち輪からはじき出されてしまった。

「あーもう、フィルなんて知るもんか」

スカートのしわを伸ばし、連れていかれていったフィルに背を向ける。それから少し先で待っていたゆあと一に合流、自分の教室へ急いだ咲夜であった。



*****

カギカッコを使い分けています。
分かりづらかったらすみません。

「」
普通の会話

「()」
思っていること

『』
フィルの念話

『()』
こそこそ話
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