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本編
プロローグ
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突然だけど、私には番がいる。番って言うと鳥などを思い浮かべる人が多いと思うけど、そうじゃない。私の番である彼は人に似て人ならざる者、竜人族なのだ。
そしてこの彼、とてもカッコイイ。テレビで見かけるアイドルや俳優を軽く超えてしまうほど、と言えば伝わるだろうか。
「サクヤ」
「どうしたの?」
それから、声もいい。人を従わせる者の、はっきりとした声。私と二人きりの時にだけ少し甘くなるのは、正直心臓に悪い。言葉遣いこそ少し荒いものの、エスコートや仕草も紳士的だし。
さて。彼はこんなにもかっこいいわけだけど、私は美人ではない。純日本人の、ごくごく平凡な見た目だと思う。身長だけは166もあるけれど、釣り合っていないはず。友達はそんなことないよって言ってくれるけれどね。
「そろそろこっちでの生活にも慣れたか?」
「まだ少し不安はあるけどね」
「そうか」
柔和な眼差しを私に向ける彼は、優しげな微笑みを浮かべている。その破壊力はついつい魅せられて、一瞬行動が止まってしまうほど。
彼の言葉で察することが出来るだろうけれど、私は今日本にいない。それどころか理すら違う”世界”にいる。いわゆる、異世界に。
どうしてかと言うと、私たちを目の敵にしている人を倒すため。ことある事に悪質なちょっかいを掛けてくるのだ。
「(……本当に、大変)」
私が巻き込まれるのは彼の番であるからに他ならない。正直、彼の番であることは大変すぎる。でも私は我と別れるという選択を取れないし、死んでも取らない。
そんな彼の番となったのは、出会ったのは1年ほど前のこと。まだ私がしがない大学一年生てあった時のことだった。
そしてこの彼、とてもカッコイイ。テレビで見かけるアイドルや俳優を軽く超えてしまうほど、と言えば伝わるだろうか。
「サクヤ」
「どうしたの?」
それから、声もいい。人を従わせる者の、はっきりとした声。私と二人きりの時にだけ少し甘くなるのは、正直心臓に悪い。言葉遣いこそ少し荒いものの、エスコートや仕草も紳士的だし。
さて。彼はこんなにもかっこいいわけだけど、私は美人ではない。純日本人の、ごくごく平凡な見た目だと思う。身長だけは166もあるけれど、釣り合っていないはず。友達はそんなことないよって言ってくれるけれどね。
「そろそろこっちでの生活にも慣れたか?」
「まだ少し不安はあるけどね」
「そうか」
柔和な眼差しを私に向ける彼は、優しげな微笑みを浮かべている。その破壊力はついつい魅せられて、一瞬行動が止まってしまうほど。
彼の言葉で察することが出来るだろうけれど、私は今日本にいない。それどころか理すら違う”世界”にいる。いわゆる、異世界に。
どうしてかと言うと、私たちを目の敵にしている人を倒すため。ことある事に悪質なちょっかいを掛けてくるのだ。
「(……本当に、大変)」
私が巻き込まれるのは彼の番であるからに他ならない。正直、彼の番であることは大変すぎる。でも私は我と別れるという選択を取れないし、死んでも取らない。
そんな彼の番となったのは、出会ったのは1年ほど前のこと。まだ私がしがない大学一年生てあった時のことだった。
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