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3品目:私のお侑め♪ 地獄の釜茹でスープ(390円)
(3-3)じごかま
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心の中でツッコミを入れてから料理の予測を立てる。
コップ酒は見たままだ。今日はとことんビールの気分なので遠慮しておこう。
腐ったわら人形は、「腐った」というのがポイントだ。おそらく藁納豆と思われる。
亡者のはらわた。たぶん内臓系だな。イカの塩辛とか。
目玉煉獄焼き&肉の削ぎ切り。一見グロテスクだが、正体はハムエッグだろう。
一つひとつ人差し指で追いながら解読を進めていき、五品目に到達。
『骨しか残らない? 地獄の釜茹でスープ 390怨』
とうとう地獄という直接的なワードが飛び出した。
内容はおおよそ想像がつく。きっと激辛スープの類だ。
僕は辛いものがあまり得意ではない。お刺身のワサビ程度なら大丈夫だが、スパイシー感が強いとすぐにむせてしまうのだ。
これはパスだな……。
そう思い、人差し指を隣にずらそうとすると、アイハの手が重ねられる。
「これ、私が考案した一押しメニューなんですよぉ~」
「そ、そうなんだ」
指先の照準が、スープに強制的に合わせられる。
「具だくさんで香り豊かでカルシウムたっぷりなんですよぉ~」
僕は指先に力を込めるがピクリとも動かない。
「あれっ? もしかしてこれを食べたいんですかぁ? そうなんですかぁ?」
アイハは泣き止み、すっかり笑顔だ。しかしその目は笑っていない。どこか逆らい難い雰囲気を湛えていた。
「では、お聞きしますね。ご注文は?」
「……釜茹で……スープを……」
「はいっ♪ じごかまスープ、入りましたー!」
満面の笑みを浮かべ、ようやくアイハは僕の元から離れていった。かと思いきやすぐに別のテーブルのお客さんとふわふわ談笑している。あ、ユウさんに怒られた。
キャラクターの読めない子だ。
でも、クールなユウさんとの二人三脚は、実はいいバランスなのかもしれない。お客さんたちは、テーブルを渡り歩きながらフロアの仕事をこなしていくアイハに温かい眼差しを向けている。性格はさておき、普通の居酒屋にこんな可憐な女の子が働いていたら、ナンパされることは必至だ。ゆるふわな立ち振る舞いも、距離感の近さも、異性としては魅力的なのかもしれない。
僕もいつか、次の恋を見つけられたらいい。
まだ胸の疼きは完全には消えないけれど、あの人との出会いが今の僕を作っているのは確かなことだから。苦い失恋の経験もいずれは糧にしていきたい。
コップ酒は見たままだ。今日はとことんビールの気分なので遠慮しておこう。
腐ったわら人形は、「腐った」というのがポイントだ。おそらく藁納豆と思われる。
亡者のはらわた。たぶん内臓系だな。イカの塩辛とか。
目玉煉獄焼き&肉の削ぎ切り。一見グロテスクだが、正体はハムエッグだろう。
一つひとつ人差し指で追いながら解読を進めていき、五品目に到達。
『骨しか残らない? 地獄の釜茹でスープ 390怨』
とうとう地獄という直接的なワードが飛び出した。
内容はおおよそ想像がつく。きっと激辛スープの類だ。
僕は辛いものがあまり得意ではない。お刺身のワサビ程度なら大丈夫だが、スパイシー感が強いとすぐにむせてしまうのだ。
これはパスだな……。
そう思い、人差し指を隣にずらそうとすると、アイハの手が重ねられる。
「これ、私が考案した一押しメニューなんですよぉ~」
「そ、そうなんだ」
指先の照準が、スープに強制的に合わせられる。
「具だくさんで香り豊かでカルシウムたっぷりなんですよぉ~」
僕は指先に力を込めるがピクリとも動かない。
「あれっ? もしかしてこれを食べたいんですかぁ? そうなんですかぁ?」
アイハは泣き止み、すっかり笑顔だ。しかしその目は笑っていない。どこか逆らい難い雰囲気を湛えていた。
「では、お聞きしますね。ご注文は?」
「……釜茹で……スープを……」
「はいっ♪ じごかまスープ、入りましたー!」
満面の笑みを浮かべ、ようやくアイハは僕の元から離れていった。かと思いきやすぐに別のテーブルのお客さんとふわふわ談笑している。あ、ユウさんに怒られた。
キャラクターの読めない子だ。
でも、クールなユウさんとの二人三脚は、実はいいバランスなのかもしれない。お客さんたちは、テーブルを渡り歩きながらフロアの仕事をこなしていくアイハに温かい眼差しを向けている。性格はさておき、普通の居酒屋にこんな可憐な女の子が働いていたら、ナンパされることは必至だ。ゆるふわな立ち振る舞いも、距離感の近さも、異性としては魅力的なのかもしれない。
僕もいつか、次の恋を見つけられたらいい。
まだ胸の疼きは完全には消えないけれど、あの人との出会いが今の僕を作っているのは確かなことだから。苦い失恋の経験もいずれは糧にしていきたい。
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