僕は女神さんに勇者にされる様です

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1章危機的状況の村で

2話 とあるお姉さんのとある弓

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「うぅ・・・」
少しずつ意識が覚醒してくるアクシオス。
「大丈夫?」
心配そうに顔を覗き込むお姉さん
「僕は生きてるの・・・?」
心配そうにお姉さんに話しかけるアクシオス
「そう簡単に死なせないわよ?ちょっとサービスして加護もつけてみたしね?」
アクシオスに膝枕をしながらドヤ顔をして胸を張るお姉さん。
「(・・・下から見上げると凄い)」
もはや何が、とは言わずもがなである。
「それでいつまで君はそうしているのかな?私の膝枕は高いのよ?」
「ご、ごめんなさい」
といいつつ俊敏な動きで立ち上がる。
それと同時に、体調も先程とは比べ物にならない位良くなっている事に気づくアクシオス。
「(さっきの凄い痛みがなくなってる・・・これが加護の力なのかな?凄い・・・ちゃんとお礼言わないと!)」
「あ、あの!加護ありがとうございました」
ぺこりと頭を下げるアクシオス。
「いいのよ。私の気まぐれだから。それよりあなたの願いは何なのかな?」
「(ここから交渉だ!頑張らないとっ)」

-少年説明中-

アクシオスは凄惨な村の状況を説明し、力を借りたい旨を包み隠さず話した。
「ふ~ん、なるほどね・・・
確かに豊穣を司る私なら力を貸す事は出来なくは無いけれど・・・君の魔力で足りるかな?」
少しだけいじわるそうな顔で問いかけるお姉さん
「(やっぱり代償は魔力だよね、そんなに減った気はしないけど、どうなんだろう?でも父さんはこの魔法陣を使って・・・)」
「ほらそんな泣きそうな顔しないの!私が悪者みたいじゃない」
とお姉さんは僕のほっぺたを摘んでむにゅむにゅしてくる
「なにふるんでふかひゃめてくだふぁい~
(痛くないけど、なんだか恥ずかしい)」
手をぱたぱたしながら涙目で必死に抗議するアクシオス
「(・・・なにこれ・・・かわいい!それに癒される~まだ貰ってないけれど、とっても美味しそうな魔力かもしれわね・・・お持ち帰りしてもいいかしら)」
微妙な機微を第六感で感じ取ったアクシオスはササッと距離を取る
「(よく分からないけど、背筋がぞくってしたよ・・・)」
「そ、そんなに警戒しなくてもいいのに・・・」
「そ、そんなことないよ、それよりお姉さんの力を借りたいんだけど、僕の魔力で足りそうですか?」
緊張しながら尋ねるアクシオス
「いいわよ」
そういうとお姉さんはどこからともなく弓を取り出す
「これを貸してあげるわよ、狩りをする時に役立つわよ?」
にっこり笑顔で差し出してくれる。
「えっと・・・僕、弓の使った事がないからちょっと・・・」
「(困った顔もかわいいわね~、いぢめたいかも・・・)あら、いいの?」
「う、うーん・・・」
「(こんなかわいい子が召喚してくる事なんて滅多に無いからって、いぢめすぎて契約破棄になっても嫌だしやめておこう)」
そもそも一般的に高位召喚術を行う人々はある程度の実績と経験を積んだ者しか行っていない為、総じて召喚術師の平均年齢はかなり高めである。

「これはただの弓のじゃないわよ?目視出来るものに対して必ず矢が当たるから誰でも使えるから安心しなさいね?勿論威力も抜群よ?弦を引くだけで矢が装填されるから心配ないわよ?みててね」
そういうとおもむろに弓を構え、空に向かって矢を放つお姉さん
つられて空を見上げるアクシオスだったが、何も見つける事ができない
「少し待ってね」
「う、うん」
しばらくすると上空から音を立てながら何かが落ちてくる
そしてアクシオス達がいる所から50Mは離れている所にクレーターを作り何かは落ちた。
砂埃が晴れると、翼の生えたドラゴンが力尽きているようだ。
ただし、頭があったであろう場所は綺麗に吹き飛んでいたのでその威力が凄まじい事を物語っている。
本来ドラゴン討伐に使用される武具とは伝説級の名工が伝説の金属を使い鍛え上げたモノか、神聖な者から祝福を受けたモノ、忌まわしく呪われ代償を払い何かを汚す事に特化しきったモノが一般的である。
それ以外のもので攻撃した所でドラゴンの鱗に阻まれ、逆に武器が壊れる事が普通である。
勿論、攻撃を当てる事が出来たらの話にはなるが・・・。
「ね?簡単でしょ?」
ウィンクをしながら笑顔で話しかけるお姉さん
「す、凄い武器ですね!?本当に借りちゃっていいんですか?(これってアーティファクトなんじゃ・・・)」
軽く引きながら尋ねるアクシオス
「いいわよ?ただし、私は君に貸すのよ? ・・・・・・・・その意味をよく理解してね?」
「は、はい!もし僕以外が使っちゃったらどうなるんですか?」
「え?」
「え?」
「知らないの?神々のアーティファクトを勝手に使ったりなんてしたら一瞬で消炭も残さず消滅するわよ?」
「(・・・やっぱりあーてぃふぁくとなんだ・・・神話の中の勇者様が使うような武器だよね、きっと)」
あまりにも現実離れしすぎている出来事に驚きつつ、代償の魔力で自分が消滅するのではと泣きそうになるアクシオス
「なんでそんなに泣きそうな顔してるの?」
不思議そうに首を傾げているお姉さん
「ぼ、僕まだ死にたくないよ・・・」
大量に吐血し、意識を失う程の激痛を味わい、死ぬ事への具体的過ぎる恐怖から
とうとう堪えられなくなり泣き出してしまうアクシオス
「えぇ!?何で死ぬの!?」
「だ、だってこんなに強い武器を貸してくれるんだもん!僕の魔力じゃ足りっこないよ・・・うぅ・・・」
「そういう解釈をする訳ね・・・」
そういうとアクシオスをぎゅっと抱きしめる
「お馬鹿ね。私の武器を貸すのにここで魔力を吸い尽くす訳無いでしょ?」
「ほんとう?(母さんとは違うけど良い匂いがするし、やわらかい・・・)」
「本当よ?うそなんてついても意味ないでしょう?」
「うん・・・ありがとうお姉ちゃん」
やっと安心して笑顔を見せるアクシオス
「(その笑顔は反則よ・・・)じゃあこのまま魔力を貰うわよ?密着してると効率的に貰えるからね」
「はい!」
「(あぁこの子抱き枕に欲しいわ・・・)ん!?」
「(やっぱり何か駄目だったのかな・・・)」
「美味しい・・・」
「えっ!?」
「(こんな美味しい魔力は有史以来初めてかもしれないわね・・・ただ強力な呪いにかかってるじゃない!!これじゃ精々1、2年しか生きられないじゃない!誰よこんな馬鹿げた事してくれたのは!?こんな美味しい魔力があと1,2年しか味わえないんてとんでもない損失・・・!なんとしても阻止しなくちゃ)」
「お姉ちゃん・・・?」
不安そうにアクシオスが尋ねる
「魔力はもういいわ、それよりコレを飲んでみて?」
「う、うん」
お姉さんの迫力に負けて思わず飲み干してしまうアクシオス
「おいしいジュースありがとう!」
「なら良かったわ~(分解されて、ただのジュースになるなんて・・・ネクタルではあの強力な呪いは消えないのね、普通の人間が飲むと簡単に不老不死になるのに、効果無しとはね、信じられない位強力な呪いね・・・となるとあの子に頼むしかないわね・・・)」
戦慄しつつも、この子を救う手立てをあっさり決めるお姉さんであった。
「お姉さん、この武器はいつまで貸してくれるんですか?」
「そうねぇ・・・2ヶ月にしましょう、期間が過ぎる前に私を再召喚してね?約束よ?」
「は、はい!」
「そういえば君の名前は何ていうのかしら?」
「僕はアクシオスです!お姉さんの真名はなんていうんですか?」
「私は------------

古代神話の中に同名の女神から弓を借り受け、
魔王を撃ち滅ぼしたと記載があったが、その時アクシオスは知る由も無かった。


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お読みいただきありがとうございます!
あとがきって機能としてあるものだと思って必死に探していましたが、
どうやらなさそうという結論に至りましたので、ここに記載させていただきます。
さっそくのコメントもありがとうございますっ!
喜びと同時に、
とんでもないプレッシャーに((((;゚Д゚))))ガクガクブルブルしてます(笑
書き溜めなんて出来ない性分なので、
気長にお待ちいただけると幸いです(`・ω・´)
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