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10話
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10話
明日から七菱商事の営業企画本部長なんて俺が務まるのか甚だ疑問だが、初めから拒否なんて出来るはずがない。
不安と久し振りにどこかワクワクしている自分がいた。
そんな期待で我が家へ帰ると周囲も含めて景色が様変わりしていた。
まるで区画整備されたかのように綺麗になった道と見違える様に綺麗になり、5倍程大きくなった我が家があった。
駐車場には違和感無く高級リムジンが止まっていた。
他にも何台かディーラーに置いてあるようなピカピカの名だたる高級外車が並んでいる。
1台最低でも一千万はするんじゃないだろうか。
我が家の前でポカーンと立ち尽くすが、表札は間違い無く我が家のモノを示している。
暫く立ち尽くしていると、背後から突然「見つけた!」と声を掛けられた。
振り返るとそこにはあの女がいた。
化粧で隠しきれないゲッソリとやつれており、髪もバサバサで禄にセットされていない。
よく見ると服装もしわだらけでまともにアイロン掛けすらしていないだらしのない服を着ていた。
「今まであたしからチョロチョロ逃げ回って、真白を返しなさいよ!あの子がいれば私の代わりに・・・」
物騒な事を呟きながらふらふらしたおぼつかない足取りで俺に近づいてくる。
彼女が近づくにつれれてアルコール臭が酷くなる。
目も血走っており何をやらかすか分からない雰囲気が漂っている。
妙に袖の長い服の隙間から鈍い光を放つ何かを持っている様だ。
俺は覚悟を決めて、あの女と向き合おうととした瞬間、近隣の建物から黒のスーツに身を包んだガタイのいい男女が現れ、あの女を羽交い締めにし、まるで待機していたかのようなフルスモークで黒塗りの車に無理矢理押し込むとあっと言う間に何処かへ連れ去って行ってしまった。
統率をとっていた黒服の男は俺に
「お怪我は有りませんでしたか?」
と丁寧な態度で確認してきた。
「あ、あぁ特に問題は無い、です」
「気分が優れない場合は早急にご連絡頂ければ幸いです」
と言いながら名刺を差し出してきた。
俺の差し出した名刺はクライアントの情報は全て把握しておりますので、と丁重にお断りされてしまった。
確かに俺も明日になれば今の名刺は使えないしな。
相手の名刺には
七菱セントラル警備保障株式会社 一般警備主任中川と書いてあった。
中川は綺麗な会釈をすると、いつの間にか出来上がっていたまるで警備員の詰め所の様な建物へ消えていった。
あんなに大きな組織なのにフットワーク軽すぎる事に驚きを隠せない。
そりゃあ世界を牛耳れる超巨大組織だけはあるなぁと関心しっぱなしだ。
それにしてもあの女は一体どこに連れて行かれたんだろうなとぼんやり考えたが、なんとなく二度と俺に前には現れない様な気がした。
しかし半日の間に一体何があったんだろうか・・・?
恐る恐る我が家に入ると、真白とはるかさんが待ちかねた様に出迎えてくれた。
先程の出来事は伝えずにしようと思い2人を抱き寄せて抱きしめた。
明日から七菱商事の営業企画本部長なんて俺が務まるのか甚だ疑問だが、初めから拒否なんて出来るはずがない。
不安と久し振りにどこかワクワクしている自分がいた。
そんな期待で我が家へ帰ると周囲も含めて景色が様変わりしていた。
まるで区画整備されたかのように綺麗になった道と見違える様に綺麗になり、5倍程大きくなった我が家があった。
駐車場には違和感無く高級リムジンが止まっていた。
他にも何台かディーラーに置いてあるようなピカピカの名だたる高級外車が並んでいる。
1台最低でも一千万はするんじゃないだろうか。
我が家の前でポカーンと立ち尽くすが、表札は間違い無く我が家のモノを示している。
暫く立ち尽くしていると、背後から突然「見つけた!」と声を掛けられた。
振り返るとそこにはあの女がいた。
化粧で隠しきれないゲッソリとやつれており、髪もバサバサで禄にセットされていない。
よく見ると服装もしわだらけでまともにアイロン掛けすらしていないだらしのない服を着ていた。
「今まであたしからチョロチョロ逃げ回って、真白を返しなさいよ!あの子がいれば私の代わりに・・・」
物騒な事を呟きながらふらふらしたおぼつかない足取りで俺に近づいてくる。
彼女が近づくにつれれてアルコール臭が酷くなる。
目も血走っており何をやらかすか分からない雰囲気が漂っている。
妙に袖の長い服の隙間から鈍い光を放つ何かを持っている様だ。
俺は覚悟を決めて、あの女と向き合おうととした瞬間、近隣の建物から黒のスーツに身を包んだガタイのいい男女が現れ、あの女を羽交い締めにし、まるで待機していたかのようなフルスモークで黒塗りの車に無理矢理押し込むとあっと言う間に何処かへ連れ去って行ってしまった。
統率をとっていた黒服の男は俺に
「お怪我は有りませんでしたか?」
と丁寧な態度で確認してきた。
「あ、あぁ特に問題は無い、です」
「気分が優れない場合は早急にご連絡頂ければ幸いです」
と言いながら名刺を差し出してきた。
俺の差し出した名刺はクライアントの情報は全て把握しておりますので、と丁重にお断りされてしまった。
確かに俺も明日になれば今の名刺は使えないしな。
相手の名刺には
七菱セントラル警備保障株式会社 一般警備主任中川と書いてあった。
中川は綺麗な会釈をすると、いつの間にか出来上がっていたまるで警備員の詰め所の様な建物へ消えていった。
あんなに大きな組織なのにフットワーク軽すぎる事に驚きを隠せない。
そりゃあ世界を牛耳れる超巨大組織だけはあるなぁと関心しっぱなしだ。
それにしてもあの女は一体どこに連れて行かれたんだろうなとぼんやり考えたが、なんとなく二度と俺に前には現れない様な気がした。
しかし半日の間に一体何があったんだろうか・・・?
恐る恐る我が家に入ると、真白とはるかさんが待ちかねた様に出迎えてくれた。
先程の出来事は伝えずにしようと思い2人を抱き寄せて抱きしめた。
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