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53話
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53話
フェンリルに案内された場所は、朽ち果てた城だったと思われる建物だった。
かつて大広間だったであろう場所に、ボロボロの剣に貫かれて苦悶の表情を浮かべる石像が佇んでいた。
その苦悶の表情があまりにもリアル過ぎて、まるで生きていた人をそのまま石像にしたような気さえする。
「これが魔王様です。いつか魔力が回復した時に復活を遂げられます!」
と何故かフェンリルはドヤ顔で言い放っていた。
「石化してるじゃないか?」
「そうですよ?」
君達にどうにかできるもんならしてみなよ?と言わんばかりのムカツク表情だった。
「はぁ・・・魔王様が復活したらラビット族をどうにかしてくれるんだろうな?」
「勿論!冥界の女神様に誓って!」
「冥界の女神様って・・・お前たちにとって冥界の女神様って一体何なんだ?」
「ボク達にとっては唯一神だよ?人間族が崇める禍々しい偶像神とは違うからね!」
「偶像神ってなんだ?」
「キミは・・・本当に何も知らないんだね・・・偶像神は人間族の欲望、願望、妬み、妬み等々108個の煩悩が合体したモノだよ。アレを神と呼ぶのも嫌だよ!あんな汚物!」
「お、おぅ」
まるで見たことがあるかのように饒舌に怒り心頭な感じで語ってくれた。
人間族達の負の感情に自我でも生まれてしまったのか?
それが人間族を使っているのか、それとも人間族が偶像神を使っているのか・・・?
どちらにせよ少なくとも、現に魔王さんを永らく石化させてしまえる剣を作れるのは間違い無い。
俺の危険感知能力でも魔王さんがとてつもない脅威なのは認識している。
ただの石像なのに、だ。
最近は全くステータスも確認していなかったが、
以前と比べて大幅にステータスは向上している筈の俺が相当な脅威に感じている。
実際まともに戦ったら間違い無く1分も保たず殺される確信がある。
場合によっては、3人まとめて瞬殺されかねない。
それくらいの強者を石化させる剣なんて、それだけで恐ろしい。
だが、石化している魔王さんを復活させるには、
剣に貫かれて石化している訳だし、ボロボロの剣を破壊した上で石化を治してやればいいんじゃないのか?
まさかユリから貰っていたエルフの飲み薬を使う場面があるなんてな。
・・・それともユリは俺達がここまで辿り着く確信があったのだろうか?
とりあえず俺は、ボロボロの剣を破壊すべくバスターソードを全力で振り下ろした。
だが、ボロボロの剣に傷を付けるどころか、逆にバスターソードが少し欠けてしまった。
・・・嘘だろ!?こんなボロボロなのに壊れないのかよ!
俺に続くべく、ステビアもニャルニャンチウムの爪で切り裂くがほんの少し傷が付いている程度だった。
だが、大分痛そうにうずくまっている。
リリスは何かを看破したのか、「むーりむり!あんなの絶対無理!」と初めから諦めている。
「はぁ・・・ヤッパリ無理みたいですね?残念ですがきょーりょくは出来ないね!さあ帰って下さいねー」
フェンリルは溜め息をつきながら、俺達を追い出そうとしてくる。
「まだだ!!」
俺はバスターソードをしまうと拳を握りしめた。
不思議とあのボロボロの剣を粉々に出来るビジョンが天啓の様に閃いた。
世界は止まっていないが、ヤマの存在を近くに強く感じた。
その瞬間、辺りが漆黒に飲まれるれ、ヤマが現れた。
ヤマは俺の握り拳に接吻をすると、微笑みながら虚空へ消えていった。
「えっ、えっ!?嘘・・・冥界の・・・女神様・・?」
「うおおおぉぉぉぉ!!」
俺は雄叫びと共に、不思議な感覚になった拳で渾身の力を込めボロボロの剣を殴りつけた。
フェンリルに案内された場所は、朽ち果てた城だったと思われる建物だった。
かつて大広間だったであろう場所に、ボロボロの剣に貫かれて苦悶の表情を浮かべる石像が佇んでいた。
その苦悶の表情があまりにもリアル過ぎて、まるで生きていた人をそのまま石像にしたような気さえする。
「これが魔王様です。いつか魔力が回復した時に復活を遂げられます!」
と何故かフェンリルはドヤ顔で言い放っていた。
「石化してるじゃないか?」
「そうですよ?」
君達にどうにかできるもんならしてみなよ?と言わんばかりのムカツク表情だった。
「はぁ・・・魔王様が復活したらラビット族をどうにかしてくれるんだろうな?」
「勿論!冥界の女神様に誓って!」
「冥界の女神様って・・・お前たちにとって冥界の女神様って一体何なんだ?」
「ボク達にとっては唯一神だよ?人間族が崇める禍々しい偶像神とは違うからね!」
「偶像神ってなんだ?」
「キミは・・・本当に何も知らないんだね・・・偶像神は人間族の欲望、願望、妬み、妬み等々108個の煩悩が合体したモノだよ。アレを神と呼ぶのも嫌だよ!あんな汚物!」
「お、おぅ」
まるで見たことがあるかのように饒舌に怒り心頭な感じで語ってくれた。
人間族達の負の感情に自我でも生まれてしまったのか?
それが人間族を使っているのか、それとも人間族が偶像神を使っているのか・・・?
どちらにせよ少なくとも、現に魔王さんを永らく石化させてしまえる剣を作れるのは間違い無い。
俺の危険感知能力でも魔王さんがとてつもない脅威なのは認識している。
ただの石像なのに、だ。
最近は全くステータスも確認していなかったが、
以前と比べて大幅にステータスは向上している筈の俺が相当な脅威に感じている。
実際まともに戦ったら間違い無く1分も保たず殺される確信がある。
場合によっては、3人まとめて瞬殺されかねない。
それくらいの強者を石化させる剣なんて、それだけで恐ろしい。
だが、石化している魔王さんを復活させるには、
剣に貫かれて石化している訳だし、ボロボロの剣を破壊した上で石化を治してやればいいんじゃないのか?
まさかユリから貰っていたエルフの飲み薬を使う場面があるなんてな。
・・・それともユリは俺達がここまで辿り着く確信があったのだろうか?
とりあえず俺は、ボロボロの剣を破壊すべくバスターソードを全力で振り下ろした。
だが、ボロボロの剣に傷を付けるどころか、逆にバスターソードが少し欠けてしまった。
・・・嘘だろ!?こんなボロボロなのに壊れないのかよ!
俺に続くべく、ステビアもニャルニャンチウムの爪で切り裂くがほんの少し傷が付いている程度だった。
だが、大分痛そうにうずくまっている。
リリスは何かを看破したのか、「むーりむり!あんなの絶対無理!」と初めから諦めている。
「はぁ・・・ヤッパリ無理みたいですね?残念ですがきょーりょくは出来ないね!さあ帰って下さいねー」
フェンリルは溜め息をつきながら、俺達を追い出そうとしてくる。
「まだだ!!」
俺はバスターソードをしまうと拳を握りしめた。
不思議とあのボロボロの剣を粉々に出来るビジョンが天啓の様に閃いた。
世界は止まっていないが、ヤマの存在を近くに強く感じた。
その瞬間、辺りが漆黒に飲まれるれ、ヤマが現れた。
ヤマは俺の握り拳に接吻をすると、微笑みながら虚空へ消えていった。
「えっ、えっ!?嘘・・・冥界の・・・女神様・・?」
「うおおおぉぉぉぉ!!」
俺は雄叫びと共に、不思議な感覚になった拳で渾身の力を込めボロボロの剣を殴りつけた。
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