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24話

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24話

店の奥へ行くと、小綺麗な住居スペースとなっているだろう
場所になっていた。

リビングの様な場所に綺麗な机と椅子が
配置してあったので適当に座っておいた。

「おまたせー適当なハーブティーだよ
口に合わなかったら言ってね?」
と言って、ハーブティーを振る舞ってくれた。
何故、俺の隣に座るのかは分からなかったが。

とりあえず俺は今日一日使ってみた感想と、
成果を伝えてみた。

「凄い!」
と言っては目を輝かせ、
「そんなに・・・!」
言っては頬を上気させ、
「流石サラメアさん!」
と、最終的には抱きついてきそうなレベルだった。
何かが彼女を押し止めた様な気がしたが・・・。

最大の疑問だった、武器の請求が無いことを切り込んで聞いてみた。

すると、スバルの様子が一変する。
「そうだったかな?
うーん?しっかり請求したと思うんだけどなー?」
とソワソワしながら落ち着きが全く無くなった。

仕方がないので、肝心の価格が幾らなのか聞いても、
はぐらかして教えてくれなかった。

そのたびにハーブティーを凄い勢いで飲み干していく。
誰がどう見ても嘘を付いて、
必死に誤魔化そうとしている様にしか見えない。

何度目かの追求でスバルは観念したようにため息を付くと、
重い口を開き、やっと話してくれた。

「あのね・・・実はそのバスターソードはあたしが初めて作った剣なんだ。
数多の敵を殲滅出来る破壊力!
どれだけ連戦したとしても、数多の攻撃を受け止めても大丈夫な耐久性を追求した完全無欠の最強の剣!!
使いこなせればたった一人で戦略級の活躍が出来る筈だったんだけどねー・・・。」
スバルは遠い目をしながら話を続けた。

「でも・・・使う人の事を全く考えて無かったの。
重量が重すぎて、常人は持ち上げられる事すらできなかったの。だから、一生誰にも使われ無いと思っていたんだよ?」

「その割に俺には丁度よすぎる装備だがなぁ?
使いこなしているかは分からないけどな?」

「・・・ありがとうございます。」
そう囁く様に呟くと、顔を真っ赤にしている。
そして意を決した様に話し出した。

「ドワーフ族の女子は自分が初めに作った武器防具を使いこなせる人とツガイになるしきたりがあってね?
えっと、結婚なんて贅沢は言わないので、
恋人・・・愛人でも良いのでしてもらえませんかっ!?」

そんなしきたりが有るなんて初耳だなぁー・・・。

「それって、断ったらどうなるんだ?」
と、言ってみて最低な事を聞いているなと思ったが、
遅かった。

「あたしが一生一人ぼっちってだけだから気にしないでっ!」
涙がこぼれ落ちそうな位目がウルウルして必死に悲しいという感情を押し殺して伝えてくれた。

あー・・・くそっ!
そんな表情されたら断れないじゃないかよ!
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