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4話 用済み (妹視点)
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その手紙の内容は……
『ルザリシャルエ伯爵家当主へ
長女のサリーエはこちらで預かっている。
彼女本人は、伯爵家へは帰りたくないそうだ。
伯爵の意志を問いたい。
明日、遣いが訪ねるだろう。
その者に、そちらの返事を渡すように
ルア』
お父様は手紙を読み上げた。
その内容に、私は耳を疑った。
伯爵家へ帰りたくない?
ふざけないで!
それにルアという名は聞いた事が無かった。
名前だけという事は、貴族では無いと判断した。
お父様も同じようだ。
「ルアとは、知らない名だ。」
「お父様、返せと早く書いて下さらない?」
「そ、そうだな…。」
「いえ、やっぱりいいわ。」
「何を言う。」
「いいって言ってるでしょ!あんな女、もう用済みよ。奪えるものも無くなったのだから、つまらないわ。大公爵家のご子息であらせられるガイディアス様と婚約していたから、この伯爵家にいさせていたのでしょう?」
「…そうだ。」
「だったら、今は私がガイディアス様の婚約者なのだから、あの女は居なくても良いでしょう?」
「シファナの言う通りよ!ね?」
「あ、ああ。シファナの言う通りだな。もうサリーエは用済みだ。好きにさせろと返しておこう。」
「ええ。流石お父様。」
「全てはシファナの為だ。」
「ふふっ、ありがとう。」
ルザリシャルエ伯爵は嫌な予感がしたが、気にせず返事を書いた。
それが自身の首をさらに締めることになるとも知らずに……。
『ルザリシャルエ伯爵家当主へ
長女のサリーエはこちらで預かっている。
彼女本人は、伯爵家へは帰りたくないそうだ。
伯爵の意志を問いたい。
明日、遣いが訪ねるだろう。
その者に、そちらの返事を渡すように
ルア』
お父様は手紙を読み上げた。
その内容に、私は耳を疑った。
伯爵家へ帰りたくない?
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「ええ。流石お父様。」
「全てはシファナの為だ。」
「ふふっ、ありがとう。」
ルザリシャルエ伯爵は嫌な予感がしたが、気にせず返事を書いた。
それが自身の首をさらに締めることになるとも知らずに……。
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