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最終話
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「彼女は今も、自分は悪くないと思っているらしいよ。」
「……。」
ジェヌア陛下の言葉に、私は言葉を失った。
数年前に牢で会った時に、あれだけ言ったにもかかわらず彼女は変わっていない様子。
それどころか……
「独り言のように、『悪役令嬢』や『私はヒロイン』などという言葉を呟いているそうだ。」
「数年経っても…?」
「ああ。さらに言えば、見張りに色仕掛けをしているそうだ。引っかかる者はいないがな。」
相変わらずという言葉がお似合いね。
自分が世界一美しいという考えは、あの時と同じ。
本当に呆れる…。
「君が会ったあの日からは、『セスアに会わせろ』とも言ってきているらしい。」
「…それはどうして?」
「話がしたいそうだ。彼女の元へ行くか?」
「…行かないわ。絶対にね。」
「そう言うだろうと思ったよ。」
もうルーシアになど会いたくなかった。
もう会わないと決めてあの場を去ったのだから…。
それに、彼女は全く反省も後悔もしていない。
自分の過ちを認めない人に、今さら何を言っても無駄でしょう。
「ヒロインなら何をしても許される……ね。」
「何か言ったかい?」
「……もし彼女が王妃になっていたら、今頃この国はどうなっていたのかと思って。」
「あはは……。想像したくない事の中で、1位な気がするよ…。」
「私も同意見だわ…。」
ルーシアは自分に良いようにしか動かない。
言うことを聞かない者を、刑に処すなどという暴挙にも出る可能性は大いにある。
そんな彼女が王妃になどなっていたら、この国は散々な姿に変わり果ててしまっていたことでしょう。
「……さて、私はもう行くわね。仕事の邪魔になってしまうわ。」
「また何かあれば何時でも来てくれ。」
「ええ。」
そうして、私は書斎を出た。
自室に戻り、書類を片付けようと椅子に座る。
「はぁ……あの子が変わる日は来るのかしら…。まぁもう私には関係ないことよね。」
自分の考え方を変えなければ、彼女に良い未来は訪れない。
とはいえ、もう牢から出すつもりもない。
己の犯した罪やその他の過ちを認め、心の底から反省したその時は……いいえ、そんな日はきっと来ないでしょうね。
彼女はどれだけ時が経とうとも、何も変わらない。
ヒロインがすることは全てにおいて正しい、肯定されるべきだと考えているのだから。
自身が牢に入れられていること自体、何故なのか理解していなかった。
自分が正しい、故に何をしても良いのだと。
そんな彼女に対し、私は改めて思う。
--ヒロインであれば何をしても許される……わけがないでしょう--
「……。」
ジェヌア陛下の言葉に、私は言葉を失った。
数年前に牢で会った時に、あれだけ言ったにもかかわらず彼女は変わっていない様子。
それどころか……
「独り言のように、『悪役令嬢』や『私はヒロイン』などという言葉を呟いているそうだ。」
「数年経っても…?」
「ああ。さらに言えば、見張りに色仕掛けをしているそうだ。引っかかる者はいないがな。」
相変わらずという言葉がお似合いね。
自分が世界一美しいという考えは、あの時と同じ。
本当に呆れる…。
「君が会ったあの日からは、『セスアに会わせろ』とも言ってきているらしい。」
「…それはどうして?」
「話がしたいそうだ。彼女の元へ行くか?」
「…行かないわ。絶対にね。」
「そう言うだろうと思ったよ。」
もうルーシアになど会いたくなかった。
もう会わないと決めてあの場を去ったのだから…。
それに、彼女は全く反省も後悔もしていない。
自分の過ちを認めない人に、今さら何を言っても無駄でしょう。
「ヒロインなら何をしても許される……ね。」
「何か言ったかい?」
「……もし彼女が王妃になっていたら、今頃この国はどうなっていたのかと思って。」
「あはは……。想像したくない事の中で、1位な気がするよ…。」
「私も同意見だわ…。」
ルーシアは自分に良いようにしか動かない。
言うことを聞かない者を、刑に処すなどという暴挙にも出る可能性は大いにある。
そんな彼女が王妃になどなっていたら、この国は散々な姿に変わり果ててしまっていたことでしょう。
「……さて、私はもう行くわね。仕事の邪魔になってしまうわ。」
「また何かあれば何時でも来てくれ。」
「ええ。」
そうして、私は書斎を出た。
自室に戻り、書類を片付けようと椅子に座る。
「はぁ……あの子が変わる日は来るのかしら…。まぁもう私には関係ないことよね。」
自分の考え方を変えなければ、彼女に良い未来は訪れない。
とはいえ、もう牢から出すつもりもない。
己の犯した罪やその他の過ちを認め、心の底から反省したその時は……いいえ、そんな日はきっと来ないでしょうね。
彼女はどれだけ時が経とうとも、何も変わらない。
ヒロインがすることは全てにおいて正しい、肯定されるべきだと考えているのだから。
自身が牢に入れられていること自体、何故なのか理解していなかった。
自分が正しい、故に何をしても良いのだと。
そんな彼女に対し、私は改めて思う。
--ヒロインであれば何をしても許される……わけがないでしょう--
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ゲームの中でヒロインだとしても、選択し間違え続けたらバッドエンドですよね
なんでヒロインだから何しても大丈夫って思ってるのか意味が分からない
ご感想ありがとうございます!m(*_ _)m
仰る通りで、ヒロイン=ハッピーエンドとは行きません……( = = )
ご感想、ありがとうございます(*_ _)
るりまま様のご意見、おっしゃる通りかと思います。
私としましては、あくまで『物語』として読んでいただけると幸いです<(_ _)>
ありがとうございます(*^^*)
確かに存在感は薄かったですね…笑
今は素晴らしい国王陛下となっているようです♪
仕事がひと段落ついたら、ジュニア誕生がある……はず(*´`)キット…
読んで頂き、ありがとうございました(*_ _)