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「……。」
「あら?セスア様もご一緒でしたのね。ご機嫌は、い・か・が・かしら?うふふっ。」
強調し挑発的な態度で挨拶をしてくるルーシア。
ジェヌア殿下の腕をしっかりと両手で握っている。
ほぼ毎日このような流れなので、もう慣れていた。
彼女はパーティー出席禁止とはされているが、ジェヌア殿下に近付いてはならないというものではない。
つまり何も悪くない
とはいえエスカレートしているように感じる。
私だけなら我慢はできるけれど、他人を巻き込めば大事になってしまう可能性もある。
既に、先日のパーティーで彼女に対する評価は最悪になっている。
その評価をさらに落とすつもりなのかしら…。
「見た通りよ。貴方こそ、元気そうで何よりだわ。」
私はいつものように笑顔で返す。
するとルーシアは舌打ちをしながら愚痴をこぼした。
「チッ……どうして何もしてこないのよ…。本っ当に腹立たしい人ね。」
「何か言ったか?」
「いいえ?何も言っておりませんわ、ジェヌア殿下。」
「そうか。それはそうと、少し離れてくれないか?」
「ええっ!?何故ですの?」
「少しセスアと話があってね。重要な話だから、席を外してくれ。」
「まぁ!そうだったのですねっ。これはお邪魔をしましたわ。それで話とは、もしかして婚約破棄……ですか?」
薄笑いを浮かべてジェヌア殿下に尋ねるルーシア。
私には何と言ったのか聞き取れなかった。
しかしその態度……というよりは彼女が放った言葉が、彼を怒らせてしまった。
「……いい加減にしろ!そんなことをするはずがないだろう!」
「っ!?」
「お前は今の自分の立場が分かっていないのか?」
「え…?」
「先日のことがあってもなお、私に近付いてくるとは思わなかった。これ以上私に関わるな。これはお前のためでもある。…行くぞセスア。」
「は、はいっ…。」
「……。」
ジェヌア殿下にそう言われたルーシアは、俯いて歯を食いしばっていた。
彼の怒る姿は初めて見た。
いつもは穏やかであっても、彼女が放った言葉には怒りを押さえきれなかった様子。
私は手首を捕まれ、そのまま引っ張られるようにしてその場から離れた。
誰も人が居ないことを確認し、ジェヌア殿下は口を開いた。
「……先程はすまなかった。思わず声を荒らげてしまって…。」
「いえ、お気になさらず。ルーシアが何を申し上げたのかは分かりかねますが、彼女の行為が度を過ぎているのは明白ですから。」
「ありがとう。しかし、本当に困ったものだ……。 」
そう言いつつ、頭を抱えているジェヌア殿下。
私も同じ気持ちだったけれど、1つ変わったことがあると思う。
「ジェヌア殿下。殿下が自ら彼女におっしゃられたことで、少しは効果があると思います。」
「私に関わるなと言ったことかい?」
「はい。先日のパーティーで、ディザウェル公爵様ともお話をしたのです。彼女を遠ざける手段は、殿下が自ら突き放す他にないだろう…と。」
「そうだったのか!?すまない……私がもっと早くに気付き、言っていれば……。」
私に向かって頭を下げる。
それに対し私は驚いて固まってしまったが、すぐに我に返った。
「…頭を上げてくださいっ!殿下は何も悪くありません。見守ることしかしなかった私が悪いのですから……。」
「……っ。君には我慢をさせてばかりだな……。私は一人の男として、不甲斐ないものだ…。」
その後、学園でルーシアがジェヌア殿下に近付いて来ることは無かった。
というより、おそらく学園に来ていない。
そしてパーティーの方は、1年間の出席禁止を夏季休暇の時に受けているので姿を見ることはない。
しかしルーシアだけではなくトゥリーゼ伯爵も姿を現さなくなっていた。
貴族家の当主がパーティーに出席しなければ、その貴族の子息や令嬢も出席することが出来ない。
とはいえルーシアはそもそも出席出来ないので、おそらくトゥリーぜ伯爵がルーシアから目を離さないように、あまり出席していないのでしょう。
学園にも通わせず、あえてジェヌア殿下から距離を取っているように感じた。
そうして1年が経ち──
学園の最高学年となった私は、穏やかな生活を送っていた。
しかし、王族主催のパーティーにて、思いもよらない事が起こった。
「そこの貴女、待ちなさいっ!」
「あら?セスア様もご一緒でしたのね。ご機嫌は、い・か・が・かしら?うふふっ。」
強調し挑発的な態度で挨拶をしてくるルーシア。
ジェヌア殿下の腕をしっかりと両手で握っている。
ほぼ毎日このような流れなので、もう慣れていた。
彼女はパーティー出席禁止とはされているが、ジェヌア殿下に近付いてはならないというものではない。
つまり何も悪くない
とはいえエスカレートしているように感じる。
私だけなら我慢はできるけれど、他人を巻き込めば大事になってしまう可能性もある。
既に、先日のパーティーで彼女に対する評価は最悪になっている。
その評価をさらに落とすつもりなのかしら…。
「見た通りよ。貴方こそ、元気そうで何よりだわ。」
私はいつものように笑顔で返す。
するとルーシアは舌打ちをしながら愚痴をこぼした。
「チッ……どうして何もしてこないのよ…。本っ当に腹立たしい人ね。」
「何か言ったか?」
「いいえ?何も言っておりませんわ、ジェヌア殿下。」
「そうか。それはそうと、少し離れてくれないか?」
「ええっ!?何故ですの?」
「少しセスアと話があってね。重要な話だから、席を外してくれ。」
「まぁ!そうだったのですねっ。これはお邪魔をしましたわ。それで話とは、もしかして婚約破棄……ですか?」
薄笑いを浮かべてジェヌア殿下に尋ねるルーシア。
私には何と言ったのか聞き取れなかった。
しかしその態度……というよりは彼女が放った言葉が、彼を怒らせてしまった。
「……いい加減にしろ!そんなことをするはずがないだろう!」
「っ!?」
「お前は今の自分の立場が分かっていないのか?」
「え…?」
「先日のことがあってもなお、私に近付いてくるとは思わなかった。これ以上私に関わるな。これはお前のためでもある。…行くぞセスア。」
「は、はいっ…。」
「……。」
ジェヌア殿下にそう言われたルーシアは、俯いて歯を食いしばっていた。
彼の怒る姿は初めて見た。
いつもは穏やかであっても、彼女が放った言葉には怒りを押さえきれなかった様子。
私は手首を捕まれ、そのまま引っ張られるようにしてその場から離れた。
誰も人が居ないことを確認し、ジェヌア殿下は口を開いた。
「……先程はすまなかった。思わず声を荒らげてしまって…。」
「いえ、お気になさらず。ルーシアが何を申し上げたのかは分かりかねますが、彼女の行為が度を過ぎているのは明白ですから。」
「ありがとう。しかし、本当に困ったものだ……。 」
そう言いつつ、頭を抱えているジェヌア殿下。
私も同じ気持ちだったけれど、1つ変わったことがあると思う。
「ジェヌア殿下。殿下が自ら彼女におっしゃられたことで、少しは効果があると思います。」
「私に関わるなと言ったことかい?」
「はい。先日のパーティーで、ディザウェル公爵様ともお話をしたのです。彼女を遠ざける手段は、殿下が自ら突き放す他にないだろう…と。」
「そうだったのか!?すまない……私がもっと早くに気付き、言っていれば……。」
私に向かって頭を下げる。
それに対し私は驚いて固まってしまったが、すぐに我に返った。
「…頭を上げてくださいっ!殿下は何も悪くありません。見守ることしかしなかった私が悪いのですから……。」
「……っ。君には我慢をさせてばかりだな……。私は一人の男として、不甲斐ないものだ…。」
その後、学園でルーシアがジェヌア殿下に近付いて来ることは無かった。
というより、おそらく学園に来ていない。
そしてパーティーの方は、1年間の出席禁止を夏季休暇の時に受けているので姿を見ることはない。
しかしルーシアだけではなくトゥリーゼ伯爵も姿を現さなくなっていた。
貴族家の当主がパーティーに出席しなければ、その貴族の子息や令嬢も出席することが出来ない。
とはいえルーシアはそもそも出席出来ないので、おそらくトゥリーぜ伯爵がルーシアから目を離さないように、あまり出席していないのでしょう。
学園にも通わせず、あえてジェヌア殿下から距離を取っているように感じた。
そうして1年が経ち──
学園の最高学年となった私は、穏やかな生活を送っていた。
しかし、王族主催のパーティーにて、思いもよらない事が起こった。
「そこの貴女、待ちなさいっ!」
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