【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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番外編

近衛騎士団、特別強化 完

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「国王陛下、ヴァリフィア並びにエフェン・アーリグェーです。」

「入れ。」


書斎へ入ると、何故かディルジアは笑顔で私達を見ていた。
ただ笑っているのではなく、恐怖を覚える笑顔だ。
何かに怒っている……そう感じた。


「2人とも、ご苦労様だね。」

「「……。」」

「報告を聞く前に、一言だけ言っていいかなぁ。」

「な、何かしら……?」

「部屋の前での会話が少し聞こえてきたんだが、誰を脅していた?」

「なんだ、そんなことか。」

「リフィとエフェンの2人で脅されたならば、相手はたまったものじゃないだろう!相手は誰だ?誰に会った?」


どうやらディルジアは私達が脅した相手を心配していた。
何か悪い事でもしてしまったのかと焦ったが、それならば問題は無い。
普通に答えれば良いだけなのだから。


「ハゲ……」

「宮廷魔法師団・団長のエルーファセ・アールレイティスだ。」


私の言葉を遮るようにしてエフェンが答えた。
ハゲているのは事実なので、言っても良いのでは?と思ってエフェンを見る。
すると目で『黙っていろ』と呆れ顔で訴えてきた。


「ああ、エルーファセか……。それならば構わないが、何と言ったんだ?」

(構わないのね…。)

「私達の前で、堂々と近衛騎士団を馬鹿にしてきたのさ。だからこれ以降も近衛騎士団を馬鹿にしたり、行いを改めないようなら、ヴァリフィアと共に本気を出すぞ……とな。」

「っ……はははっ!それは良い!今までと同じ行いをするのであれば、2人が敵対することになるという脅しだな。」

「そういうことだ。これで良くなるとは思わないがな。」

「その場合はエフェンが持つ権限で、彼を解任するといい。私は口を挟まないから。」

「了解だ。あと、近衛騎士団についてだが、宮廷魔法師達と同等になっているはずだぞ。」

「本当か!?感謝するよ!」

「「どういたしまして。」」


ディルジアは嬉しそうに感謝を述べた。
その後書斎を退室し、エフェンはエルーファセの様子を見に行った。
私は転移にて書斎へと忍び込み、とある人が報告に来るのを密かに待っていた。
そう……近衛騎士団・団長だ。


「待っていたよ。それで、どうだった?」

「全く歯が立ちませんでした。我々騎士団員全員を相手にしても、疲れるどころか嬉々とされていて……。」

「なるほど。今の彼らの実力は計り知れないものになっているのか…。しかしそれは昔から……だな。」

「さらにエフェン様と剣のみの模擬戦をしたのですが、全団員の総攻撃を仕掛けても届きませんでした。」

「そうか…。」


全てを報告している様子。
魔法のイメージについては、ディルジアに話されると困る。
国の強化のために広める可能性があるからだ。
信頼していないわけではないのだが……。
念の為である。


「御二方のおかげで、近衛騎士団はとても強くなることが出来ました。」

「魔法のイメージについて、教えてもらったのか?」

「はい。ですが誰にも言うなと念押しされまして…。」

「それは私であってもか?」

「そうよ。」

「「えっ?」」


私は透明化の魔法を解き、歩み出た。
2人は驚いた声を出したが、気にせず言葉を続けた。


「無断で立ち入っていたこと、謝罪させてもらうわ。ごめんなさいね。」

「何時から居たんだ?」

「そうね……。騎士団長が入って来る前からよ。今回は重要な部分があったから…。」

「……。」

「分かっているとは思うけれど、先程の話はディアには聞かせられないわ。」

「それは……、私が信用に足らないからか?」

「いいえ、それは違うわ。『魔法に関する事については、自身が教えた者以外には知られないようにする』、これは私とエフェンの2人で決めていることよ。教えられた側が誰かに言うなんて論外。その相手が、たとえ国王陛下であったとしてもね。」

「なるほどな。」

「まぁ……国王陛下には言うな、なんて言っていなかったから、わざわざ見に来たのよ。」


少し残念そうな顔をするディルジア。
騎士団長は申し訳なさそうな表情をしている。
ここは釘を刺しておくべきだろう。


「ディア、探るようなことはしないように頼んでおくわ。それと……。」

「何かあるのか?」

「エルーファセ魔法師団長のことなのだけれど、少しは態度を改めると思うわよ。」

「脅したからか……?」

「それもあると思うけれど……もうすぐ分かるわ。」

「えぇ…?」

「騎士団長、しっかりと訓練しておくようにね。これから忙しくなるでしょうから。」

「えっ……あ、承知致しました!」

「では失礼させてもらうわ。」


そうして、長い1日が終わったのだった--
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