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番外編
ヒロイン誘拐事件 完
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私達は今、国王陛下の書斎にいた。
そう、ディルジアがいる部屋だ。
驚かすと面白いかと思い、直接書斎の中に転移したのだ。
「あっ……え………。」
転移してきた私達を見て、頭の中で情報を整理している為か、ディルジアは固まっていた。
時が止まったかのように、驚いた顔で目を見開いたままだ。
たった数時間で帰ってきたというだけではなく、後ろにメイナがいることに1番驚いているのだろう。
「……すごくっ…面白い顔をしているわよ……ふふっ。」
「ヴァリフィア、笑いすぎだ……と言いたいところだが、これは確かに面白い…っはははっっ!」
「はぁ……国王陛下。…国王陛下!……ディルジア・ツィレイル国王陛下!!」
「はっ!サールズ、すまない。あまりにも驚いてしまってね。ヴァリフィア、扉から入ってきてほしいな?」
「あら、いつものことでしょう?それに、ディアの驚く顔が見たくて。」
「勘弁してくれ…。さて、おかえりメイナ。君が無事で良かったよ。」
「は、はいっ!この度はありがとうございます。」
メイナは頭を深々と下げる。
ディルジアは安堵したように笑顔を見せ、今度は私とエフェンに向き直った。
「報告を聞こうか。ヴァリフィア、3人で乗り込んだのか?」
「ええ。この2人なら信頼出来るもの。あまり人数がいても無駄ということもあるのだけれどね。」
「さすがだな。サールズ、言った通りだっただろう?」
ディルジアはそう言うと、にやりと笑ってサールズを見た。
サールズは少し呆れた様子で、「そうですね、」と返していた。
その後、私は事の経緯を話し、宝箱についても報告した。
ちなみにその宝箱の中身は光属性のペンダントだった。
効果は光魔法と結界系魔法の強化。
私やエフェンは強化されずとも強力な魔法が使える為、メイナが所持することになったのだが。
「『宝箱』の為だったとはね…。とはいえ、本当にメイナが無事で良かったよ。ヴァリフィアとエフェンもありがとう。」
「私からもお礼を言わせてください。本当に……本当にありがとうございましたっ。」
「友を助けるのは当然のことよ。」
「同じく。」
「…っはは。2人とも相変わらず格好良いね。」
そうして、ヒロイン誘拐事件は幕を閉じたのだった……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
--その後--メイナ&エールズ-
2人は国王陛下の書斎を出てから、ヴァリフィアやエフェンと別れ、2人で歩いていた。
「その……エールズ様…。」
「どうかしたのかい?」
「エールズ様に、改めてお礼を申し上げたく思いまして……ありがとうございましたっ。」
「僕は何もしていないよ。今回はヴァリフィア陛下とエフェン様が全て片付けてしまわれたからね……。」
「それでも…嬉しかったんです。1人で…心細くて、でも諦めてはいけないと思って…。そんな時、助けに来てくださり…。とても安心しましたし、心強かったです。」
メイナはエールズに対し、にっこりと笑って見せた。
エールズは少し困ったような顔をした。
そして少し笑いつつ、
「あはは…本当に何もしていないよ、僕は……。」
「いいえ!そんなことはありませんっ。エールズ様は、お近くにおられるだけで良いのですっ!それだけで……私は嬉しいのです…。」
「っ。……ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。」
今度は優しげな笑顔を見せるエールズ。
そんな彼を見て、メイナも笑顔になる。
「それに…。」
「それに?」
「…ヴァリフィア様もディルジア陛下もお優しいのですが、少し怖いというか…怖い時があるというか……。」
「ははは……それは少し分かるよ…。纏っている魔力がそうさせているのかは分からないが、格が違うどころか、違いすぎる雰囲気だよな…。」
人気のない場所に出た時、2人は改めて向き合い、抱き合った。
強く、優しく。
互いに生きていること、そしてその幸せを確かめ合うかのように。
そんな2人の姿を、見ているものはいなかった……否、遠距離から魔法で見ている者がいた。
『ふふっ、相変わらずラブラブね。』
『覗き見とは、趣味が悪いぞ。魔法の悪用だな。』
『あら、人聞きが悪いわよ。これこそ魔法の正しい使い方でしょう?』
『そんなわけないだろ…。』
『そもそも、一緒に見ているのだから共犯よ。』
『うっ…それは……。』
『私だって詳しいプライベートまで見るつもりはないわよ。私達と別れた時のメイナの様子が気になったから、魔道具での監視魔法を少し使っただけ。悪意はないわ。むしろ心配したのよ?』
『はぁ…そういうことにしておこう。もう監視魔法の繋がりを切れよ。』
『分かっているわよ。』
そう、他ならないヴァリフィアとエフェンであった--
そう、ディルジアがいる部屋だ。
驚かすと面白いかと思い、直接書斎の中に転移したのだ。
「あっ……え………。」
転移してきた私達を見て、頭の中で情報を整理している為か、ディルジアは固まっていた。
時が止まったかのように、驚いた顔で目を見開いたままだ。
たった数時間で帰ってきたというだけではなく、後ろにメイナがいることに1番驚いているのだろう。
「……すごくっ…面白い顔をしているわよ……ふふっ。」
「ヴァリフィア、笑いすぎだ……と言いたいところだが、これは確かに面白い…っはははっっ!」
「はぁ……国王陛下。…国王陛下!……ディルジア・ツィレイル国王陛下!!」
「はっ!サールズ、すまない。あまりにも驚いてしまってね。ヴァリフィア、扉から入ってきてほしいな?」
「あら、いつものことでしょう?それに、ディアの驚く顔が見たくて。」
「勘弁してくれ…。さて、おかえりメイナ。君が無事で良かったよ。」
「は、はいっ!この度はありがとうございます。」
メイナは頭を深々と下げる。
ディルジアは安堵したように笑顔を見せ、今度は私とエフェンに向き直った。
「報告を聞こうか。ヴァリフィア、3人で乗り込んだのか?」
「ええ。この2人なら信頼出来るもの。あまり人数がいても無駄ということもあるのだけれどね。」
「さすがだな。サールズ、言った通りだっただろう?」
ディルジアはそう言うと、にやりと笑ってサールズを見た。
サールズは少し呆れた様子で、「そうですね、」と返していた。
その後、私は事の経緯を話し、宝箱についても報告した。
ちなみにその宝箱の中身は光属性のペンダントだった。
効果は光魔法と結界系魔法の強化。
私やエフェンは強化されずとも強力な魔法が使える為、メイナが所持することになったのだが。
「『宝箱』の為だったとはね…。とはいえ、本当にメイナが無事で良かったよ。ヴァリフィアとエフェンもありがとう。」
「私からもお礼を言わせてください。本当に……本当にありがとうございましたっ。」
「友を助けるのは当然のことよ。」
「同じく。」
「…っはは。2人とも相変わらず格好良いね。」
そうして、ヒロイン誘拐事件は幕を閉じたのだった……。
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--その後--メイナ&エールズ-
2人は国王陛下の書斎を出てから、ヴァリフィアやエフェンと別れ、2人で歩いていた。
「その……エールズ様…。」
「どうかしたのかい?」
「エールズ様に、改めてお礼を申し上げたく思いまして……ありがとうございましたっ。」
「僕は何もしていないよ。今回はヴァリフィア陛下とエフェン様が全て片付けてしまわれたからね……。」
「それでも…嬉しかったんです。1人で…心細くて、でも諦めてはいけないと思って…。そんな時、助けに来てくださり…。とても安心しましたし、心強かったです。」
メイナはエールズに対し、にっこりと笑って見せた。
エールズは少し困ったような顔をした。
そして少し笑いつつ、
「あはは…本当に何もしていないよ、僕は……。」
「いいえ!そんなことはありませんっ。エールズ様は、お近くにおられるだけで良いのですっ!それだけで……私は嬉しいのです…。」
「っ。……ありがとう。そう言ってもらえて嬉しいよ。」
今度は優しげな笑顔を見せるエールズ。
そんな彼を見て、メイナも笑顔になる。
「それに…。」
「それに?」
「…ヴァリフィア様もディルジア陛下もお優しいのですが、少し怖いというか…怖い時があるというか……。」
「ははは……それは少し分かるよ…。纏っている魔力がそうさせているのかは分からないが、格が違うどころか、違いすぎる雰囲気だよな…。」
人気のない場所に出た時、2人は改めて向き合い、抱き合った。
強く、優しく。
互いに生きていること、そしてその幸せを確かめ合うかのように。
そんな2人の姿を、見ているものはいなかった……否、遠距離から魔法で見ている者がいた。
『ふふっ、相変わらずラブラブね。』
『覗き見とは、趣味が悪いぞ。魔法の悪用だな。』
『あら、人聞きが悪いわよ。これこそ魔法の正しい使い方でしょう?』
『そんなわけないだろ…。』
『そもそも、一緒に見ているのだから共犯よ。』
『うっ…それは……。』
『私だって詳しいプライベートまで見るつもりはないわよ。私達と別れた時のメイナの様子が気になったから、魔道具での監視魔法を少し使っただけ。悪意はないわ。むしろ心配したのよ?』
『はぁ…そういうことにしておこう。もう監視魔法の繋がりを切れよ。』
『分かっているわよ。』
そう、他ならないヴァリフィアとエフェンであった--
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