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番外編
ヒロイン誘拐事件 3.5
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--ツィレイル王国王城 国王の書斎にて--
「はぁ……大丈夫だろうか…。」
「ため息ばかりつかれて……きっと大丈夫ですよ。」
「今頃、3人で乗り込んでいるんだろうな。」
「まさか!いくらヴァリフィア王妃陛下でも…。」
「平然とそういうことをするのがリフィだよ。無謀なことだと言っても、涼しい顔で帰ってくるのが彼女だ。それはサールズもよく知っているだろう?」
「……ええ…ですが今回は相手の実力が未知数です。エフェン様よりの調査報告書を見る限り、北の盗賊団が関わっているようですが…。」
「そのようだね。」
「あの盗賊団は危険と言われています。さすがに3人で乗り込むようなことはしないのでは?」
「それはどうかな。この国の実力者の頂点に立つ者が2人と、そんな2人についていけるエールズだ。リフィは他の者達では足手まといと考えるだろうね。」
「……。」
「国内の兵達の実力も上がっているが、2人には遠く及ばない。なにせ、リフィとエフェンだけでこの国……ひいては世界を滅ぼせるだろうからな。」
「っ!そんなことが、本当に出来るのでしょうか…。」
「出来るさ。かつて私は--」
そうして、ディルジアは子供の頃の話をし始めた。
かつて、ヴァリフィアに最強の魔法を撃ってみてくれないかと頼んだことがある。
しかし彼女は空に向けてでも良いかと聞いてきた。
意味がわからなかったが許可をすると、指を鳴らした瞬間とんでもない魔法を放ち、周辺の空が全て夜となったのだ。
「あっ…。」と声を漏らしたヴァリフィアが、もう一度指を鳴らすと空は元に戻った。
しかし彼女は言った。
『危なかった……かなり魔力を抑えたけれど、本気で撃っていたらどうなっていたか……。殿下。目撃されて面倒なことになっては困りますので、これ以降は…。』
『分かった。無理を言って悪かったな、ありがとう。』
『いえ!とんでもございません。 』
「--と、子供の頃ですら、本気を出さずともこれだけの力があったんだ。たった指を鳴らすだけで……ね…。今のリフィの実力がどうなっているかなんて、考えたくもないな。」
「……言葉が出ませんね…。味方で本当に良かったです…。エフェン様は…?」
「エフェンは頭が切れるし、詳しく知る者の間では情報屋とも呼ばれていた。このことは知っているだろう?」
「はい。」
「そんなエフェンが、一度だけ怒ったことがあるんだ。確か5年前…私が国王の位に就いてすぐの頃。エフェンの妹であるリエーナ・アーリグェーが魔物によって重傷を負わされたと報告があった。」
「確かにそのようなことがありましたね。馬車での移動中に襲われたとか。護衛は瀕死でリエーナ様は重傷だったということでしたね。」
「そうだ。その報告を聞いた時、そばにいたヴァリフィアにエフェン呼んできてもらって、すぐにリエーナの元へ一緒に向かった。」
リエーナ達を傷付けた魔物は、護衛が命を懸けて討伐した。
しかしその場から全員が動けないほどの被害が出てしまう。
かけつけたエフェンは、魔物への怒りを隠せなかった。
その怒りによってエフェンの魔力が可視化され、凄まじいオーラが見えるようになった。
そして襲ってきた魔物が出てきた方向を睨み、魔力の刃のようなものが放たれる。
「次の瞬間には、周辺の魔物が1匹残らず死んでいたよ。エフェンが本気だったかは分からないけど、あの殺気だけで立っているのがやっとだった。そんな中、涼しい顔をしていたリフィも恐ろしかったけどね。」
「なんと…。」
「まぁ私としては、今回の事を起こした盗賊団に同情するよ。あの2人を敵に回して、無事なはずないだろうしな。逃げ切れたら褒めてやりたいくらいさ。」
「あはは……。」
今頃はどんなことになっているのだろうかと、想像してしまう。
ヴァリフィアは、身内や友のこととなると容赦しなくなる。
自分も協力したかったが、今回ばかりはサールズの目があるので仕方がない。
「……ディルジア陛下。」
「どうした?急に改まって。」
「メイナとエールズの結婚……普通ならばありえないものでした。それが可能となったのは、陛下のおかげです。陛下が動いておられなければ、報われない恋となっていたでしょう。」
「感謝されることはしていないさ。それに、私は『平民であってもフルシーネア学園の高等部門を出ているのならば、貴族と婚姻を結べる』というようにしただけだ。高等部門を出ていない平民とは、どうやっても結ばれないよ…。」
「それでも、私にとっては嬉しかったのです。本当に…ありがとうございました。」
「…どういたしまして。さて、今頃あちらはどうなっているかな?」
(メイナ……彼女のことは、2人に任せれば大丈夫だろう。それにエールズもいる。でも、無理だけはしないでくれ…ヴァリフィア……。)
「はぁ……大丈夫だろうか…。」
「ため息ばかりつかれて……きっと大丈夫ですよ。」
「今頃、3人で乗り込んでいるんだろうな。」
「まさか!いくらヴァリフィア王妃陛下でも…。」
「平然とそういうことをするのがリフィだよ。無謀なことだと言っても、涼しい顔で帰ってくるのが彼女だ。それはサールズもよく知っているだろう?」
「……ええ…ですが今回は相手の実力が未知数です。エフェン様よりの調査報告書を見る限り、北の盗賊団が関わっているようですが…。」
「そのようだね。」
「あの盗賊団は危険と言われています。さすがに3人で乗り込むようなことはしないのでは?」
「それはどうかな。この国の実力者の頂点に立つ者が2人と、そんな2人についていけるエールズだ。リフィは他の者達では足手まといと考えるだろうね。」
「……。」
「国内の兵達の実力も上がっているが、2人には遠く及ばない。なにせ、リフィとエフェンだけでこの国……ひいては世界を滅ぼせるだろうからな。」
「っ!そんなことが、本当に出来るのでしょうか…。」
「出来るさ。かつて私は--」
そうして、ディルジアは子供の頃の話をし始めた。
かつて、ヴァリフィアに最強の魔法を撃ってみてくれないかと頼んだことがある。
しかし彼女は空に向けてでも良いかと聞いてきた。
意味がわからなかったが許可をすると、指を鳴らした瞬間とんでもない魔法を放ち、周辺の空が全て夜となったのだ。
「あっ…。」と声を漏らしたヴァリフィアが、もう一度指を鳴らすと空は元に戻った。
しかし彼女は言った。
『危なかった……かなり魔力を抑えたけれど、本気で撃っていたらどうなっていたか……。殿下。目撃されて面倒なことになっては困りますので、これ以降は…。』
『分かった。無理を言って悪かったな、ありがとう。』
『いえ!とんでもございません。 』
「--と、子供の頃ですら、本気を出さずともこれだけの力があったんだ。たった指を鳴らすだけで……ね…。今のリフィの実力がどうなっているかなんて、考えたくもないな。」
「……言葉が出ませんね…。味方で本当に良かったです…。エフェン様は…?」
「エフェンは頭が切れるし、詳しく知る者の間では情報屋とも呼ばれていた。このことは知っているだろう?」
「はい。」
「そんなエフェンが、一度だけ怒ったことがあるんだ。確か5年前…私が国王の位に就いてすぐの頃。エフェンの妹であるリエーナ・アーリグェーが魔物によって重傷を負わされたと報告があった。」
「確かにそのようなことがありましたね。馬車での移動中に襲われたとか。護衛は瀕死でリエーナ様は重傷だったということでしたね。」
「そうだ。その報告を聞いた時、そばにいたヴァリフィアにエフェン呼んできてもらって、すぐにリエーナの元へ一緒に向かった。」
リエーナ達を傷付けた魔物は、護衛が命を懸けて討伐した。
しかしその場から全員が動けないほどの被害が出てしまう。
かけつけたエフェンは、魔物への怒りを隠せなかった。
その怒りによってエフェンの魔力が可視化され、凄まじいオーラが見えるようになった。
そして襲ってきた魔物が出てきた方向を睨み、魔力の刃のようなものが放たれる。
「次の瞬間には、周辺の魔物が1匹残らず死んでいたよ。エフェンが本気だったかは分からないけど、あの殺気だけで立っているのがやっとだった。そんな中、涼しい顔をしていたリフィも恐ろしかったけどね。」
「なんと…。」
「まぁ私としては、今回の事を起こした盗賊団に同情するよ。あの2人を敵に回して、無事なはずないだろうしな。逃げ切れたら褒めてやりたいくらいさ。」
「あはは……。」
今頃はどんなことになっているのだろうかと、想像してしまう。
ヴァリフィアは、身内や友のこととなると容赦しなくなる。
自分も協力したかったが、今回ばかりはサールズの目があるので仕方がない。
「……ディルジア陛下。」
「どうした?急に改まって。」
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「それでも、私にとっては嬉しかったのです。本当に…ありがとうございました。」
「…どういたしまして。さて、今頃あちらはどうなっているかな?」
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