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番外編
ヒロイン誘拐事件③
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エフェンに連れられ、魔法省のとある一室へと入る。
そこにはエールズがベッドに寝かされていた。
エフェンが指を鳴らすと、魔法が解けたのかエールズが目を覚ます。
「……ここ…は?」
「おはよう。」
「っ!?エフェン様、私に何をしたのですか?それより、メイナは…!?」
「落ち着けエールズ。また眠らされたいのか?」
「眠る…?」
「昨日、お前がメイナを助けに行くと言って聞かなかったから、無理矢理眠らせた。」
「……。」
「心配になる気持ちは分かるが、冷静になれ。今回の敵は一筋縄ではいかなさそうだ。お前一人でどうにかできる問題じゃない。」
「ではどうしろと言うのですか!?今こうしている間にも、メイナの命の危機が迫っているかもしれないのですよ!」
正直、ここまで取り乱しているエールズは初めて見た。
私の存在すら気付いていない様子。
最愛の人が誘拐されたのだ。
取り乱して当然と言えよう。
「メイナはまだ生きているわ。」
「…!ヴァリフィア…王妃陛下……。生きているとは、どういうことですか?何故分かるのです?」
「昔、小さく丸い魔道具を渡したことがあるのよ。肌身離さず持っていてと伝えて…ね。もしメイナが死んだのならば、その魔道具が割れるわ。」
「メイナが持っているのならば、魔道具が割れたかなど確認出来ませんよ。」
「付与した側である私が、死ねばただ割れるだけの魔道具を渡すわけないでしょう。これを見なさい。」
「これは…?」
私はとある魔道具を手の上に乗せて見せた。
小さく丸いその魔道具は、光り輝いている。
「これはメイナが生きている証拠よ。もしメイナが死んでいて、持っていた魔道具が割れたのなら、私が持つこの魔道具は光を失うわ。」
「なら、メイナは無事なんだな。ヴァリフィアのことだ。他にも効果があるんだろう?」
「ええ、その通りよエフェン。メイナが持つ魔道具は、私が探知することが出来るわ。たとえどれだけ離れていようとね。とはいえ常に確認しているわけではないし、離れていればいるほど魔力がいるから、まだ居場所の確認はしていないけれど。有事の際限定の魔道具ね。」
「そうか。では今すぐにでも特定できるか?」
「無論よ。」
私は魔法を発動させ、メイナの現在地を確認する。
この魔法省から、かなりの距離がある場所のようだ。
「目撃情報の通り、北の方角ね。彼女の周りに生命反応が多数……。噂の盗賊団で間違いないわ。」
「やはりか。しかし、目的が分からないな。」
「……盗賊達は、身代金は求めていないんじゃないかしら。もっと別の目的があると思うのよ。」
「別の目的?」
「ええ。最近、宝箱が発見されたそうよ。」
「宝箱?」
「何をしても開かず、力ずくで開けようとすれば魔物が召喚されるのだとか。その宝箱には、文字が書かれているの。大昔の文字だから読める者がいないようだけれど、一文字だけ解明されたわ。『光』……とね。」
「『光』……光魔法ということか?」
「分からないわ。でもその可能性が高いというのが、学者達の意見でも一致した。」
「なるほどな…。しかし、何故そんなに詳しく知っているんだ?」
「私にも協力依頼が来たのよ。宝箱に対して光魔法を使ってくれ…とね。私に依頼するよりも先に、魔法省に引き渡すべきと返事を返したのだけれど、拒否されたわ。
『街の発展に繋げたいから、魔法省に渡すわけにはいかない』ってね。」
「つまり、その宝箱が今回の盗賊団によって盗まれたというわけか。」
「その通り。察しが良くて助かるわ。」
「……。」
「エールズ?」
「あっ!いいえ、なんでもありません…。ただ、お二人の会話が早すぎてついていけていないというか…ははは……。」
エールズは苦笑する。
確かに私とエフェンが話している間、口を開けてぼーっとしていたのは知っていたが、まさかついてこれていないとは。
「すまんな、エールズ。」
「ごめんなさいね。少し早かったようだわ。」
「い、いえ…。」
「要約すると、光魔法でしか開かないとされる宝箱が盗賊団に盗まれ、それを開ける為に高位の光魔法が扱えるメイナが誘拐されたということよ。」
「彼女は良くも悪くも有名だ。平民でありながらフルシーネア学園上位の成績を収め、侯爵家のエールズと結ばれた高位の光魔法使い…と。」
「そうね。光魔法自体、使える者が少ないわ。それ故に、使えるということを隠す者が多いのも事実。私に喧嘩を売ったところで勝てないと判断し、メイナが狙われたのでしょうね。」
「もしそうだとしたら、宝箱を開けてしまえばメイナは用済みとなる…。ディルジア国王陛下の計らいで平民であるメイナと結ばせてもらった……だがこのままでは口封じの為に殺されてしまうっ!私がメイナを守らなければいけないというのに!」
「落ち着きなさい。まだ殺される気配はないわ。メイナが上手く時間稼ぎをしているのでしょうね。」
「だが急ぐに越したことはない。」
「ええ。今から向かおうと思うのだけれど。」
「問題ない。ディル……国王陛下からの密命でもあるからな。魔法省は補佐官に任せている。」
「私も問題ありません。ですがヴァリフィア陛下、まさか3人で乗り込むつもりですか?!」
「ええ、この3人であれば大丈夫よ。逆に言えば、他の者達がいては足手まといよ。」
「そう…ですね……。」
「ヴァリフィアに同意だな。」
「では近くに転移するわ。」
そうして、私達は盗賊団が潜伏する場所の近くへと、メイナの魔道具を頼りに転移したのだった。
そこにはエールズがベッドに寝かされていた。
エフェンが指を鳴らすと、魔法が解けたのかエールズが目を覚ます。
「……ここ…は?」
「おはよう。」
「っ!?エフェン様、私に何をしたのですか?それより、メイナは…!?」
「落ち着けエールズ。また眠らされたいのか?」
「眠る…?」
「昨日、お前がメイナを助けに行くと言って聞かなかったから、無理矢理眠らせた。」
「……。」
「心配になる気持ちは分かるが、冷静になれ。今回の敵は一筋縄ではいかなさそうだ。お前一人でどうにかできる問題じゃない。」
「ではどうしろと言うのですか!?今こうしている間にも、メイナの命の危機が迫っているかもしれないのですよ!」
正直、ここまで取り乱しているエールズは初めて見た。
私の存在すら気付いていない様子。
最愛の人が誘拐されたのだ。
取り乱して当然と言えよう。
「メイナはまだ生きているわ。」
「…!ヴァリフィア…王妃陛下……。生きているとは、どういうことですか?何故分かるのです?」
「昔、小さく丸い魔道具を渡したことがあるのよ。肌身離さず持っていてと伝えて…ね。もしメイナが死んだのならば、その魔道具が割れるわ。」
「メイナが持っているのならば、魔道具が割れたかなど確認出来ませんよ。」
「付与した側である私が、死ねばただ割れるだけの魔道具を渡すわけないでしょう。これを見なさい。」
「これは…?」
私はとある魔道具を手の上に乗せて見せた。
小さく丸いその魔道具は、光り輝いている。
「これはメイナが生きている証拠よ。もしメイナが死んでいて、持っていた魔道具が割れたのなら、私が持つこの魔道具は光を失うわ。」
「なら、メイナは無事なんだな。ヴァリフィアのことだ。他にも効果があるんだろう?」
「ええ、その通りよエフェン。メイナが持つ魔道具は、私が探知することが出来るわ。たとえどれだけ離れていようとね。とはいえ常に確認しているわけではないし、離れていればいるほど魔力がいるから、まだ居場所の確認はしていないけれど。有事の際限定の魔道具ね。」
「そうか。では今すぐにでも特定できるか?」
「無論よ。」
私は魔法を発動させ、メイナの現在地を確認する。
この魔法省から、かなりの距離がある場所のようだ。
「目撃情報の通り、北の方角ね。彼女の周りに生命反応が多数……。噂の盗賊団で間違いないわ。」
「やはりか。しかし、目的が分からないな。」
「……盗賊達は、身代金は求めていないんじゃないかしら。もっと別の目的があると思うのよ。」
「別の目的?」
「ええ。最近、宝箱が発見されたそうよ。」
「宝箱?」
「何をしても開かず、力ずくで開けようとすれば魔物が召喚されるのだとか。その宝箱には、文字が書かれているの。大昔の文字だから読める者がいないようだけれど、一文字だけ解明されたわ。『光』……とね。」
「『光』……光魔法ということか?」
「分からないわ。でもその可能性が高いというのが、学者達の意見でも一致した。」
「なるほどな…。しかし、何故そんなに詳しく知っているんだ?」
「私にも協力依頼が来たのよ。宝箱に対して光魔法を使ってくれ…とね。私に依頼するよりも先に、魔法省に引き渡すべきと返事を返したのだけれど、拒否されたわ。
『街の発展に繋げたいから、魔法省に渡すわけにはいかない』ってね。」
「つまり、その宝箱が今回の盗賊団によって盗まれたというわけか。」
「その通り。察しが良くて助かるわ。」
「……。」
「エールズ?」
「あっ!いいえ、なんでもありません…。ただ、お二人の会話が早すぎてついていけていないというか…ははは……。」
エールズは苦笑する。
確かに私とエフェンが話している間、口を開けてぼーっとしていたのは知っていたが、まさかついてこれていないとは。
「すまんな、エールズ。」
「ごめんなさいね。少し早かったようだわ。」
「い、いえ…。」
「要約すると、光魔法でしか開かないとされる宝箱が盗賊団に盗まれ、それを開ける為に高位の光魔法が扱えるメイナが誘拐されたということよ。」
「彼女は良くも悪くも有名だ。平民でありながらフルシーネア学園上位の成績を収め、侯爵家のエールズと結ばれた高位の光魔法使い…と。」
「そうね。光魔法自体、使える者が少ないわ。それ故に、使えるということを隠す者が多いのも事実。私に喧嘩を売ったところで勝てないと判断し、メイナが狙われたのでしょうね。」
「もしそうだとしたら、宝箱を開けてしまえばメイナは用済みとなる…。ディルジア国王陛下の計らいで平民であるメイナと結ばせてもらった……だがこのままでは口封じの為に殺されてしまうっ!私がメイナを守らなければいけないというのに!」
「落ち着きなさい。まだ殺される気配はないわ。メイナが上手く時間稼ぎをしているのでしょうね。」
「だが急ぐに越したことはない。」
「ええ。今から向かおうと思うのだけれど。」
「問題ない。ディル……国王陛下からの密命でもあるからな。魔法省は補佐官に任せている。」
「私も問題ありません。ですがヴァリフィア陛下、まさか3人で乗り込むつもりですか?!」
「ええ、この3人であれば大丈夫よ。逆に言えば、他の者達がいては足手まといよ。」
「そう…ですね……。」
「ヴァリフィアに同意だな。」
「では近くに転移するわ。」
そうして、私達は盗賊団が潜伏する場所の近くへと、メイナの魔道具を頼りに転移したのだった。
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