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番外編
ヒロイン誘拐事件②
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魔法省の入口前へと転移した私に向かって、2つの剣が突きつけられる……ところなのだが、常時張っている結界により弾かれる。
「なっ…!?何者だ!」
「転移魔法を扱えるとは只者ではないな!?」
「ええ、只者ではないわね。二つ名まで授けられているんだもの。」
私はすっと顔を上げる。
すると彼らの顔が青ざめていった。
「二つ名……って、…ヴァリフィア王妃陛下!こ、これは大変失礼致しました!」
「ご無礼をお許し下さいっ!!」
「別に咎めたりしないわ。貴方達の仕事だから、警戒することは当然よ。それよりも、用があるから入らせてもらうわね。」
「「はっ!」」
中へと入り、一直線にエフェンの部屋へと歩いていく。
部屋の前でノックをしようとした時、勝手に扉が開いた。
「入ってくれ。」
「ええ、失礼するわ。」
私が入ると、扉は閉まった。
部屋には私とエフェンの2人しかいない。
彼はいつになく真剣な顔をしていた。
「ディアから来ることは聞いていたよ。この部屋に直接転移してくると思って、結界を解除しておいたのだがな。」
「もっと早く言って欲しかったわね。前のような事になるのは避けたかったから、わざわざ入口から来たのよ。」
「あはは……仕方がないさ。ここは重要な場所だからね。」
かつて魔法大臣の部屋に転移した時、転移を阻んでいた結界が邪魔だったので割った。
すると警報が鳴り、多くの兵が部屋へと駆けつけてきた。
転移してきたのが私だと気付き、彼らはエフェンから事情を聞き、その場は収まったのだが。
面倒だったのは言うまでもない。
「これ、私からよ。」
「ん?」
「迷惑料……かな。労いを兼ねて。」
「迷惑料ねぇ…。確かに色々と後始末を任されることが多いな。そのせいで仕事が増えるよ。」
「それは悪いと思っているけれど、王妃という立場の手前、仕方ないじゃない…。」
「ははっ、分かっているさ。ありがとう。どれも美味しそうだな。」
「味は保証する。私が気に入っている店のスイーツだからね。」
「そうか。落ち着いたら、ゆっくりと味わうとしよう。」
「ええ。」
「さて、そろそろ本題に入ろうか。」
「そうね。」
この場に他の誰かが居たのならば、空気が変わったことに気が付き、身体が固まっていただろう。
それくらい、かつてないほどに重要なことだという意味だ。
エフェンは資料を渡してきた。
「調査資料?」
「ああ。メイナの自宅や前日の動きだ。」
「自宅に魔力痕跡は一切なく、前日も普通に魔法省へと出勤していた……ね。」
「そうだ。」
「メイナの自宅って、サールズとエールズの実家であるバーレイク侯爵家のはずよね。警備は頑丈なのでは?」
「それが、侯爵家に居た者達は誰一人として、当日の事を覚えていなかったんだ。」
「覚えていない?」
「ああ。おそらく魅了か記憶操作系の魔法を使ったのだろう。そして誘拐だと判断した理由はもう1つある。
メイナらしき人物を抱えて走り去って行く、黒いフードを被った者を数人見たという情報だ。真偽は分からないが、有力ではある。」
「向かって行った方向は?」
「北だ。」
「北…。その方角には確か……」
「最近噂されている盗賊団があるな。」
「盗賊……ね…。最近数が増えていないかしら?」
「増えているよ。盗賊の報告が止まなくてね…。」
エフェンは頭を抱えている様子。
最近、王国内では盗賊の報告が相次いでいた。
治安が悪くなっているという噂が流れ始め、夜でも活気があった王都でさえ、今は暗く人気が無くなっていた。
「盗賊が増えた原因は?」
「調査中としか言えない。それに今回のメイナ誘拐についても謎が多い。何故殺すのではなく誘拐したのか、そもそも盗賊が関わっているのか。なんて、言い出したらキリがない。」
「魔力痕跡が一切ないという点から、腕の立つ者もいるのでしょうね。」
「だろうな。それに計画的に思える。盗賊だったとして、その頭は賢いんだろう。身代金を要求してくる可能性だって捨てきれない。」
「同意見ね。それで、エールズは?ディアからは魔法省にいると聞いているのだけれど。」
「彼は……えっと…。」
「?」
「行方不明になったと伝えた時に、1人で助けに行くと言ったから止めたんだが……全く聞く耳を持たなかったから、眠らせた。彼は当日侯爵家に帰らずに、王城で泊まっていたようだからね。」
「忙しかったのね。それにしても、眠らせるとは力技ね。エフェンらしいけど。」
「今回ばかりは相手がどんな存在か分からないんだ。ヴァリフィアが来てからじゃないと動けないさ。」
「頼られているようで嬉しいわね。」
「実際、頼ってるからな。」
「ひとまず、エールズの元へ向かいましょう。」
「了解だ。」
そうして、エフェンに連れられてエールズの元へと向かったのだった。
「なっ…!?何者だ!」
「転移魔法を扱えるとは只者ではないな!?」
「ええ、只者ではないわね。二つ名まで授けられているんだもの。」
私はすっと顔を上げる。
すると彼らの顔が青ざめていった。
「二つ名……って、…ヴァリフィア王妃陛下!こ、これは大変失礼致しました!」
「ご無礼をお許し下さいっ!!」
「別に咎めたりしないわ。貴方達の仕事だから、警戒することは当然よ。それよりも、用があるから入らせてもらうわね。」
「「はっ!」」
中へと入り、一直線にエフェンの部屋へと歩いていく。
部屋の前でノックをしようとした時、勝手に扉が開いた。
「入ってくれ。」
「ええ、失礼するわ。」
私が入ると、扉は閉まった。
部屋には私とエフェンの2人しかいない。
彼はいつになく真剣な顔をしていた。
「ディアから来ることは聞いていたよ。この部屋に直接転移してくると思って、結界を解除しておいたのだがな。」
「もっと早く言って欲しかったわね。前のような事になるのは避けたかったから、わざわざ入口から来たのよ。」
「あはは……仕方がないさ。ここは重要な場所だからね。」
かつて魔法大臣の部屋に転移した時、転移を阻んでいた結界が邪魔だったので割った。
すると警報が鳴り、多くの兵が部屋へと駆けつけてきた。
転移してきたのが私だと気付き、彼らはエフェンから事情を聞き、その場は収まったのだが。
面倒だったのは言うまでもない。
「これ、私からよ。」
「ん?」
「迷惑料……かな。労いを兼ねて。」
「迷惑料ねぇ…。確かに色々と後始末を任されることが多いな。そのせいで仕事が増えるよ。」
「それは悪いと思っているけれど、王妃という立場の手前、仕方ないじゃない…。」
「ははっ、分かっているさ。ありがとう。どれも美味しそうだな。」
「味は保証する。私が気に入っている店のスイーツだからね。」
「そうか。落ち着いたら、ゆっくりと味わうとしよう。」
「ええ。」
「さて、そろそろ本題に入ろうか。」
「そうね。」
この場に他の誰かが居たのならば、空気が変わったことに気が付き、身体が固まっていただろう。
それくらい、かつてないほどに重要なことだという意味だ。
エフェンは資料を渡してきた。
「調査資料?」
「ああ。メイナの自宅や前日の動きだ。」
「自宅に魔力痕跡は一切なく、前日も普通に魔法省へと出勤していた……ね。」
「そうだ。」
「メイナの自宅って、サールズとエールズの実家であるバーレイク侯爵家のはずよね。警備は頑丈なのでは?」
「それが、侯爵家に居た者達は誰一人として、当日の事を覚えていなかったんだ。」
「覚えていない?」
「ああ。おそらく魅了か記憶操作系の魔法を使ったのだろう。そして誘拐だと判断した理由はもう1つある。
メイナらしき人物を抱えて走り去って行く、黒いフードを被った者を数人見たという情報だ。真偽は分からないが、有力ではある。」
「向かって行った方向は?」
「北だ。」
「北…。その方角には確か……」
「最近噂されている盗賊団があるな。」
「盗賊……ね…。最近数が増えていないかしら?」
「増えているよ。盗賊の報告が止まなくてね…。」
エフェンは頭を抱えている様子。
最近、王国内では盗賊の報告が相次いでいた。
治安が悪くなっているという噂が流れ始め、夜でも活気があった王都でさえ、今は暗く人気が無くなっていた。
「盗賊が増えた原因は?」
「調査中としか言えない。それに今回のメイナ誘拐についても謎が多い。何故殺すのではなく誘拐したのか、そもそも盗賊が関わっているのか。なんて、言い出したらキリがない。」
「魔力痕跡が一切ないという点から、腕の立つ者もいるのでしょうね。」
「だろうな。それに計画的に思える。盗賊だったとして、その頭は賢いんだろう。身代金を要求してくる可能性だって捨てきれない。」
「同意見ね。それで、エールズは?ディアからは魔法省にいると聞いているのだけれど。」
「彼は……えっと…。」
「?」
「行方不明になったと伝えた時に、1人で助けに行くと言ったから止めたんだが……全く聞く耳を持たなかったから、眠らせた。彼は当日侯爵家に帰らずに、王城で泊まっていたようだからね。」
「忙しかったのね。それにしても、眠らせるとは力技ね。エフェンらしいけど。」
「今回ばかりは相手がどんな存在か分からないんだ。ヴァリフィアが来てからじゃないと動けないさ。」
「頼られているようで嬉しいわね。」
「実際、頼ってるからな。」
「ひとまず、エールズの元へ向かいましょう。」
「了解だ。」
そうして、エフェンに連れられてエールズの元へと向かったのだった。
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