【完結】私ですか？ただの令嬢です。

新魔法を見せます！

「リフィ…？顔色が悪いようだけれど、大丈夫かい？」

「あ……いえ、何でもありませんよ。」

「それなら良いんだけどね。」

「お気遣い、ありがとうございます。」

「でも何か心配事があるのか？メイナとエールズ、僕は良いと思うけど。」

「それには同感です。」

「なら何故……。」


国外追放というバッドエンドが待っているかもしれないと思ったことが、顔に出てしまったようだ。
気をつけなければ。

そんな時、空間感知に反応があった。
いわば空間の歪みだ。
その者の転移を阻止し、元の場所へと戻してやろうと思ったのだが止めておいた。
この空気を変えてくれるかもしれないと思ったからだ。
ディルジアは私が何かを心配していると気付き、聞き出そうとしている。
悪役令嬢だのと言っても、理解出来ないだろう。
それに、転生したことを知られるわけにもいかない。


「ディル、人を探るのは良くないぞ。」

「エフェンか。僕はただ、リフィを心配しているだけさ。」

「誰にでも秘密はある。相談したいなら、ヴァリフィアの方から言ってくれるさ。」

「そう……だな。すまない、リフィ。」

「いえっ、殿下が悪いわけではありませんから……。」


本当にナイスタイミングだ。
助かったと思った。
エフェンがこの場所……というより、王城全てに魔導具を仕掛けていることは気付いていたが、あえてそのままにしていた。
今までの会話も、エフェンは知っているだろう。


「邪魔してしまってすまないな。ヴァリフィア、少し用がある。ついてきてくれ。」

「承知したわ。」

「ちょ……エフェン、それは…。」

「殿下、心配には及びません。少し、エフェンに頼み事をしていたので、それについて聞くだけですから。」

「……『情報屋』として…か。仕方ない。リフィがそう言うのなら、言ってくるといいよ。何時でも茶会は出来るからね。」

「ありがとうございます。では失礼致します。」


そうして、私とエフェンは瞬間移動にてその場を去った。
誰もいないとある場所へと移動する。


「…ここ……は、どこだ…？」

「私が作った異空間。この新魔法を、エフェンに見せたかったのよね。何も存在しない、ただの空間。それが『虚無空間』！私のイメージを上書きすることで、景色を変えられるけどね。ここなら誰にも聞かれないし、丁度良いかと思って。」

「……。」

「エフェン？」

「っは！すまない…。あまりにも非常識すぎる魔法に、放心状態になってしまったよ……。」

「え？」

「いや、何でもないさ……ははは…。」


いくらヴァリフィアの底が知れないといっても、程があるだろうと思わずには居られない、エフェンなのだった。