【完結】私ですか？ただの令嬢です。

重要な話です

「空間魔法についてですが、この書類をお読みください。空間魔法の研究を任された私達の成果ですっ！」

「え、ええ。読ませてもらうわね。－－凄いわ。私の空間魔法に関する見解と繋がっている……。これは使えそうね。」

「ありがとうございますっ！」

「次は私のを…！」

「順番に見るから、慌てないで。」


こんな調子で、私はかれこれ1時間は研究会の生徒達に囲まれていた。
あと2時間はかかりそうである。
報告が長い生徒は、30分以上の話をされるからだ。

そうして生徒達の研究結果を聞き終えた私は、ぐったりしていた。
しかし重要な話をしなければならなかったので、研究棟の各階の研究主任を私の部屋へと呼んだ。
最上階である10階が私の研究部屋で、地下2階が実技用である。
各研究が行われているのは、地下1階～地上9階まで。
そしてそれぞれの階に主任がいるので、私の部屋に集まったのは10人だった。


「突然呼んでしまってごめんなさいね。重要な話があったの。」

「重要な話……ですか。」

「ええ。私の卒業後のことについてよ。」

「「「！！！」」」

「今回のようなことは初めてだから、この研究棟と『全魔法研究会』がどうなるのか、気になっていたと思うわ。」

「「「……。」」」

「各階を任せている貴方達も、私と同じく今年で学園を去るわよね。そこで、1人信頼出来る人を選び、継いでもらってほしいの。」

「つまり、自分で次の主任を決める……と…。」

「その通りよ。」

「では研究棟はどうなるのですか？」

「私の持ち物に変わりはないわ。この研究棟は国から私に下賜されたものだからね。学園を去った後でも、この最上階の私の研究部屋はそのままになるわ。でも研究会に顧問がつくことになったの。」

「そうなのですね。それは一体……。」

「スフレ先生よ。」

「それは心強いですねっ！」

「そうですわね。スフレ先生は学園内でも敵がいないと言われているほど、実力があると聞きます。研究を共にしていただけるのであれば、嬉しいこと極まりないですわぁ！」


スフレの名を出すだけで、生徒達が盛り上がった。
私が学園を去った後、顧問をつけなければならないと学園長から話をされた。
そこでスフレにお願いしたのだ。
私と戦ってから、もっと魔法を極めたいと言っていたので、丁度良いだろう。
そう思い頼んでみると、快く承諾してくれた。


「私も忙しくかるかもしれないけれど、この研究棟には時々顔を出すようにするわ。その時は、研究成果を沢山聞かせてほしいと、皆にそう伝えておいてくれるかしら。」

「勿論です。」

「ヴァリフィア様のお言葉、一言一句漏らさずに伝えておきますっ！」


皆も頷いて答える。


「よろしくお願いするわね。」


そうして、日が傾き始めた頃に、私は寮へと戻った。