【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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久しぶりの研究棟です

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公爵達を送り届けた後、私とエフェンは国王陛下の書斎へと呼ばれた。
ディルジアとロゼは先に着いていたようだ。


「此度の件、実に大義であった。」

「もったいなきお言葉。ですが今回、私は何もしておりません。」

「ディルジア殿下と同じく、何もしていない。全てはこの2人が動いてくれた。」

「「えっ……?」」


敬語を使っていないロゼの様子に、私達は驚いて声が出てしまった。
ロゼはそのことに気付いたようだ。


「ん?ああ、俺の事か。それは……」

「余が説明しよう。ロゼは余がお忍びで城下へと降りていた際に出会った者でな。」


国王陛下曰く、突然護衛が眠らされ、さらわれそうになったところを助けてもらったそうだ。
その後、陛下をさらおうとした者共は捕まったのだが、それ以降ロゼとは友人となり、実力もあったので今の地位に就いているという。


「ガデリジア……陛下の言う通りだ。そしてお互いに敬語は無くし、名前で呼びあっている。そうだな……殿下とエフェンの関係のようなものと思ってくれて良いだろう。違うのは、幼なじみではないということだけだ。」

「なるほど…納得です。」

「第2の側近…というわけですか。」

「そうだな。」

「話が逸れてしまったが、ヴァリフィアとエフェンよ。改めて礼を言う。先日も聞いたが、何か望みはあるか?」


その問いに、私とエフェンは目を合わせ頷き合った。
そして私が答える。


「私とエフェン様の望み答えは、変わりません。王国に尽くすのが、王国貴族たる私共の務め。今回の件での褒美は頂けません。」

「……そうか。では余からの贈り物として、ヴァリフィアの研究棟に魔石をいくつか届けに行かせよう。」

「っ!ありがたき幸せにございます…!」

「うむ。ロゼには今度食事に誘おう。ディルジアにも褒美を取らせる。2人とも、協力てくれていたのだからな。話は以上だ。行って良いぞ。」

「「「「はっ。」」」」


その翌日。私は学園に居た。
いつものように、スフレが入ってくる。


「皆おはよう。今日から2人の出席が通常通りとなる。残り少ない学園生活を、改めて全員で楽しんでくれると幸いだ。」


スフレはそう言った。
その後は授業が進んでいき、放課後には研究棟を訪れた。
冬休みから暫く空けていたので、久しぶりである。
研究棟は、今でも時々使用している。
私が『時々』使用しているだけで、研究員の生徒達は常に魔法の研究を進めてくれていた。
私が来たと知るなり、生徒達は一斉に集まってくる。


「ヴァリフィア様っ!お久しぶりです!」

「研究がかなり進みました!ぜひ見ていただきたく!」


1年前は十数人だったこの研究棟も、今や20人以上となっていた。
この世界にも魔法を使用したスポーツがあるのだが、部活のように放課後練習する生徒がいる。
そして運動部のようなものがあるのならば、当然文化部のようなものもあった。
絵やものを作る『美術創造会』などがその最たる例だ。

元から『魔法研究会』というのがあったのだが、新たに私の研究棟を拠点とした『全魔法研究会』という名に変更された。
これは教師から聞いたのだが、魔法は運動系でも文化系にも属さないらしい。
強化魔法を使えば運動系になるかもしれないが、魔法を使うだけならば自分は動く必要がないからだろう。
芸術魔法というものもあるので、分けられないのも仕方がなかった。

研究棟に教師はおらず、私が全権を任されている。
研究会に入る生徒も、私が厳選していた。


「皆さん落ち着いて。1人ずつ聞くから。」


ひとまず、研究会の生徒達が私に群がっているこの状況を何とかしなければならない--
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