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戦争?絶対にさせません!
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私は今、馬車に揺られていた。
目の前には、ケルレーム公爵とアースが座らされている。
魔光縛を解いてはいないが、一応の監視役である。
2人は俯いているが、時折私を目だけで見ては、歯を食いしばっていた。
その視線に少し苛ついてきていたので、こちらから問うことにした。
「お2人とも、先程から私を見てきますが……何か?」
「いや、何もない……と言えば嘘になるな。いくつか質問がある。」
「どうぞ。」
「何時から我々の事を?」
「貴方のご子息が、『魔石の木』周辺へと侵入してきてからです。」
「ではアーリグェー公の子息、エフェンと調べたのか?」
「ええ、その通りですね。」
「どうやってあの資料などを調べた?我が公爵家に保管していたものもあったが…。」
「そうですね……魔法を使って、色々と。」
「詳しく教えてくれたまえ。」
「残念ながら、それは出来ません。」
「何故だっ!」
「私とエフェン様以外が知る必要がないからです。……実のところは、対策を立てられては面倒だという事ですが。」
「ちっ……。」
「っ……。」
私の言葉の意図を、アースは正確に読み取った様子。
口を開け、驚き固まっている。
先程の言葉はつまり、『どのような対策を立てようとも突破する』と言っているのと同じだ。
面倒程度なのだと、アースは理解したのだ。
「それともう一つ。」
「何だ…?」
「自分の味方が無実を立証し、解放してくれると思っている様ですが、それは無理ですよ?」
「……。」
「私とエフェン様が直接動いたのです。貴方に逃げ道などありません。私に調査方法などを聞き出し、次の為に対策しようと考えていたのでしょうけれど、次なんてものはないのですから。サキューセズ伯爵も、エフェン様の付き添いのもと、捕らえられている頃ですから。」
「彼もまた、調査対象だったということか……。」
今度は絶望に満ちた顔をしていた。
実に情けない顔だ。
「もう終わりです。企みは何もかも全て、私達が潰してあげましょう。ツィレイル王国は終わらせません。」
「何故この国に肩入れする?婚約者である殿下がおられるからか?」
「それもありますが……この国の情報が漏れる、或いは力が弱まることが意味するのは…。」
「戦争であろう?この国と、国力のある帝国との…な。」
「いいえ、それは間違いです。二国での戦争というのならば、まだ良い方でしょう。しかしそうなるはずがありません。この国を狙うのは、帝国以外の他国も同じ。」
「まさかっ……!?」
「ご想像の通りです。この国の奪い合いをきっかけに、世界大戦が起こりうる可能性があるのです。母国を発端に世界で戦争が起こることは避けなければなりません。」
「ふっ……。一体どこまで先が見えているのか…。本当に、実力も何もかも…底が見えんな……。」
(考えれば誰でも分かるよね…?エフェンも予測出来ていたし、三国の間に挟まれているこの国の力が弱まれば、誰だって攻めようと思うもの。)
公爵は目を瞑り、そのまま考え事をしてしまった。
アースも馬車の窓から外を見て、一切こちらを振り向かない。
(あと少ししかない学園生活が、この一件の所為でさらに減ってしまったよ……。2日に1回は出席していたとは言え、あと2ヶ月……もないくらいだから、これからは楽しまなきゃね!)
そう思い、ひとまず公爵とアースを送り届けたのだった。
目の前には、ケルレーム公爵とアースが座らされている。
魔光縛を解いてはいないが、一応の監視役である。
2人は俯いているが、時折私を目だけで見ては、歯を食いしばっていた。
その視線に少し苛ついてきていたので、こちらから問うことにした。
「お2人とも、先程から私を見てきますが……何か?」
「いや、何もない……と言えば嘘になるな。いくつか質問がある。」
「どうぞ。」
「何時から我々の事を?」
「貴方のご子息が、『魔石の木』周辺へと侵入してきてからです。」
「ではアーリグェー公の子息、エフェンと調べたのか?」
「ええ、その通りですね。」
「どうやってあの資料などを調べた?我が公爵家に保管していたものもあったが…。」
「そうですね……魔法を使って、色々と。」
「詳しく教えてくれたまえ。」
「残念ながら、それは出来ません。」
「何故だっ!」
「私とエフェン様以外が知る必要がないからです。……実のところは、対策を立てられては面倒だという事ですが。」
「ちっ……。」
「っ……。」
私の言葉の意図を、アースは正確に読み取った様子。
口を開け、驚き固まっている。
先程の言葉はつまり、『どのような対策を立てようとも突破する』と言っているのと同じだ。
面倒程度なのだと、アースは理解したのだ。
「それともう一つ。」
「何だ…?」
「自分の味方が無実を立証し、解放してくれると思っている様ですが、それは無理ですよ?」
「……。」
「私とエフェン様が直接動いたのです。貴方に逃げ道などありません。私に調査方法などを聞き出し、次の為に対策しようと考えていたのでしょうけれど、次なんてものはないのですから。サキューセズ伯爵も、エフェン様の付き添いのもと、捕らえられている頃ですから。」
「彼もまた、調査対象だったということか……。」
今度は絶望に満ちた顔をしていた。
実に情けない顔だ。
「もう終わりです。企みは何もかも全て、私達が潰してあげましょう。ツィレイル王国は終わらせません。」
「何故この国に肩入れする?婚約者である殿下がおられるからか?」
「それもありますが……この国の情報が漏れる、或いは力が弱まることが意味するのは…。」
「戦争であろう?この国と、国力のある帝国との…な。」
「いいえ、それは間違いです。二国での戦争というのならば、まだ良い方でしょう。しかしそうなるはずがありません。この国を狙うのは、帝国以外の他国も同じ。」
「まさかっ……!?」
「ご想像の通りです。この国の奪い合いをきっかけに、世界大戦が起こりうる可能性があるのです。母国を発端に世界で戦争が起こることは避けなければなりません。」
「ふっ……。一体どこまで先が見えているのか…。本当に、実力も何もかも…底が見えんな……。」
(考えれば誰でも分かるよね…?エフェンも予測出来ていたし、三国の間に挟まれているこの国の力が弱まれば、誰だって攻めようと思うもの。)
公爵は目を瞑り、そのまま考え事をしてしまった。
アースも馬車の窓から外を見て、一切こちらを振り向かない。
(あと少ししかない学園生活が、この一件の所為でさらに減ってしまったよ……。2日に1回は出席していたとは言え、あと2ヶ月……もないくらいだから、これからは楽しまなきゃね!)
そう思い、ひとまず公爵とアースを送り届けたのだった。
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