【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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ひとときの家にて

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エフェンと別れ、私は侯爵家に戻った。


「おかえりなさいませ、お嬢様。」

「ただいま、イルナ。」

「お嬢様。本来であれば、本日が学園に戻る予定日です。ですが……」

「分かっているわ。でも調査を続けよとの国王陛下からのお言葉よ。学園のことは気にしなくていいとね。」

「そうなのですね。」

「荷物はまとめてあるわ。それを持って、明日には学園に戻っておいて。私は魔法ですぐに行けるから。お父様にも、明日学園に戻ると今から伝えておくわ。」

「承知致しました。ではそのように。」


イルナを下がらせ、私は父の書斎へと向かった。
広い侯爵家の中を歩いていく。
すると向かいから父が歩いてきた。


「リフィ、帰っていたのか。私に何か用か?」

「はい。本来ならば今日学園に戻るつもりでしたが、明日戻ることになりました。明日の早朝に出発します。」

「そうか。では見送らねばならないな。」


たったそれだけの会話で終わった。
日はとうに暮れており、エイリジュが就寝前だった。
学園に戻る前に、会っておくことにした。
部屋の扉を叩き、声をかけてから開けた。


「エーリ、私よ。入るわね。」

「--姉さん!どうしたの?」

「明日には学園に戻るから、顔を見ておきたくてね。」

「そうなんだ!でも、姉さんならいつでも来れるよね…?」

「そんなことは気にしない。エーリ。魔法の練習もだけれど、勉強もしっかりしておくのよ。次に会えるのは学園の卒業後だから、いつもより早く会えるわ。」



夏季休暇の時期よりも前に卒業する為、侯爵家へは早く帰ってこられるのだ。
エイリジュは嬉しそうに抱きついてくる。


「おやすみ、エーリ。」

「うん、おやすみなさい!」


部屋を出て、自室へと向かう。
エイリジュは勿論、父や母にも今回の公爵や伯爵の件は伝えなかった。
残り1週間も経たない内に、証拠が揃い、彼らは投獄されるだろう。
その時に、父達は私がしていたことを知ることになる。


(未来の国の為に、家族の為に、危険な芽は摘んでおかないとね。)


翌朝、私は両親に見守られながら、イルナと共に侯爵家を出発した。
10分ほど馬車に揺られ、侯爵領を出てからイルナに声をかける。


「イルナ、後は任せるわね。私は用があるから。」

「はい、お任せを。」


私は瞬間移動にて、その場を後にするのだった。
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