【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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転移?それともくぐり抜ける?

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「こんばんは。」

「おっ!?」


合流する為に瞬間移動を発動すると、突然現れた私に驚きロゼは声を上げた。
ディルジアは慣れているのか、普段と同じだ。


「ヴァリフィアか。」

「え……エフェンは気づいていたのか?」

「無論だ。」

「殿下は…?」

「気付いてはいませんでしたが、慣れていますので。」

「そう…ですか……。ところでエフェン、何故気付いたんだ…?先刻もそうだが、俺は気配すら全く感じられなかった。」

「何故って……瞬間移動して来る際、空間の歪みを感じるだろう?」

「空間の歪み?!」

「感じないのか?」

「感じるわけないだろう!瞬間移動して来ると分かっていても、どこに現れるかなど分からないんだ。それが瞬間移動の利点でもあるというのに…。もしかしてだが、ヴァリフィアも……。」

「ええ、分かりますよ。」

「やはりか…。」

「私が分かる時点で、ヴァリフィアに分からないわけがないさ。」

「その通りだな…。」


どこか呆れた様子のロゼ。
空間の歪みを読み取ることが、そんなに難しいものなのだろうか。
魔法に関しては、苦戦して覚えるということがなかった為、皆の驚く基準が分からない…。
と、そんなことを考えている場合ではなかった。


「そろそろ本題に移るぞ。」


エフェンが話を進めてくれて助かった。
魔石の木から魔石を盗む者が現れるかもしれない時間になっているのだ。
気を緩めて良いはずがない。


「そうだな。俺が思うに、現れるならば『瞬間移動で転移して来る』或いは『警備網をくぐり抜けてくる』かの2択しかない。皆ならどうする?」

「私は瞬間移動で転移して来ますね。一度目はくぐり抜けて来たでしょうけれど、この警備網を抜けることが出来るのなら、瞬間移動も使えるはずです。リスクを犯してまで忍び込むよりは、瞬間移動の方が見つからずに魔石の木まで移動出来ますから。」

「私もヴァリフィアの意見に賛成だ。瞬間移動で転移してくる確率が高いだろう。」

「私も同意見ですね。」

「全員同じか。ならば、空間の歪みとやらを感じられらるヴァリフィアとエフェンが魔石の木周辺にいる方が良いだろう。」

「いえ、魔石の木周辺には私1人でいます。瞬間移動して来ない可能性もありますから。それに、近くに転移してから警備網をくぐり抜けて来るかもしれません。ですので、エフェン様には少し遠くの位置から見張っていてほしいのです。」

「なるほど。確かにその方が良いだろう。可能性が少しでもあるのならば、潰しておくべきだからな。良いか、エフェン。」

「構わない。ディルとロゼ殿は、2人で行動してもらいたい。」

「そうですね。敵の実力は未知数。警戒するに越したことはありません。」

「分かった。」「分かりました。」

「では行動を開始しよう。」


エフェンの言葉に皆は頷き、その者が現れるのを静かに待つ……。
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