【完結】私ですか？ただの令嬢です。

ご挨拶です

「はぁ……疲れた…。」

「流石にお疲れか？」

「当たり前よ。『賢華』として堂々としていなければならないもの。気を張り続けていたら、流石の私も疲れるわよ。」

「はははっ。そうだろうな。」

「そういうエフェンは全く疲れていないように見えるけど？」

「ああ。国王陛下や皇帝陛下だったとしても、個人と割り切ってしまえば普通に接することくらいできるさ。それで、これからどこに向かうつもりだ？」

「とある人に挨拶よ。」

「『とある人』とは？」

「分かっていると思うけど？」

「まぁな。」


会談終了後、国王陛下と皇帝陛下は夕食に向かった。
しかし、私達が会談に出席出来るだけの者だとしても、食事まで一緒にするわけにはいかない。
その為、私とエフェン、帝国側の第一宰相は別々に行動する事となった。
私とエフェンは、現在使われていない王城の部屋で一息ついている。
帰りの馬車はなく、自ら瞬間移動で転移して帰るようにとの事だった。
というより、私達がそうすると言っただけなのだが。
では何故、使われていない一室にいるかと言うと、会っておきたい人物がいたからだ。


「さて、行きましょうか。」

「ああ。」


そうして、転移した場所は……


「先程ぶりですね。コールシヤ皇帝、第一宰相殿。」

「なっ…？！いつからそこに！？」

「つい今しがたです。突然の訪問、申し訳ありません。客人の部屋であるというのに。」

「いや、構いませんよ。それで、『賢華』ヴァリフィア殿と『情報屋』エフェン殿が揃って、私に何用ですかな？」

「そうですね……お話しなくとも、既に分かっておられるかと思いますが？」


私は第一宰相を睨む。
後ろではエフェンも腕を組みながら、目を細めている……。