【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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○○は武器です!

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「あっ、姉さん!」

「リフィ……大丈夫なの!?」

「エーリ、お母様。大丈夫です。ご安心を。」

「邸から出られなくしないでよ……心配だったんだからね…。」

「心配してくれてありがとう、エーリ。でも大丈夫よ。私は強いから。」

「うん……!」


邸に戻ると同時に、エイリジュが抱きついてきた。
とても可愛い……。
母は心配そうに私を見つめる。
怪我はしていないことを示す為に、手を広げて笑顔で見つめ返す。
するとほっとしたように母も笑顔になった。


「何があったの…?」

「その前に、お父様は今頃、王城に着いた頃でしょうか。」

「時間的には着いていると思うわよ。」

「分かりました。では今からお父様の元へ行き、共に国王陛下へ謁見してきます。」

「「えっ!?」」

「先程の事について、詳細はお父様からお聞きして下さい。エーリ、貴方はお父様が許可したら話を聞くようにね。」

「分かった!」

「帰りはお父様と共に帰ってきます。では。」


私は母に一礼をし、瞬間移動にて王城へと転移した。
門の前に移動したのだが、その瞬間に門を守護する騎士達に槍や剣を向けられる。


「「「何者だ!?」」」


しかし、顔を見た瞬間移動武器を降ろす。
そして深々と頭を下げた。


「「もっ、申し訳ございません!ヴァリフィア・ラーノンス様!!」」」

「構いませんよ。ここを守護するのが貴方々の務めですから。」

「それで、今回はどのようなご用件でしょうか。」

「いつもと同じく、陛下への謁見です。」

「そうでしたか。先程、ラーノンス侯爵が謁見の為に入っていかれたところです。おそらく、今頃陛下にお会いされているでしょう。」

「分かりました。教えて下さり、ありがとうございます。では。」


私はその場を後にし、直接国王陛下の書斎まで転移した。
部屋の前の護衛を驚かせない為だ。
幸いにも、私やエフェンは急を要する場合に限り、瞬間移動にて書斎へと入ることを許されている。
手間が省けるのでありがたい。


「うわっ!?」

「おっ?」

「突然の訪問、お許し下さい国王陛下。」

「ヴァリフィアか。」

「リフィじゃなくて……ヴァリフィア、何故この場に?」

「お話中のところを邪魔してしまい、申し訳ございません。それとお父様、情けない声を出さないで下さい。恥ずかしいですから。」

「突然現れるからだ!」

「見苦しいですよ、お父様。国王陛下の御前です。」

「誰のせいだ……。」

「私が参ったのは他でもありません。今お父様が話されていたであろう、帝国の件です。」

「なっ…?!」

「動きがあったのか、ヴァリフィアよ。」

「はい。先程、ラーノンス侯爵家にコールシヤ帝国皇帝直属騎士団の副団長が来ました。私を勧誘し、応じなければ殺すように命じられたそうです。」

「かの皇帝が……。」


そしてわたしは全てを語った。
戦いになったことも、脅しておいたことも。
何故か父の顔が引き攣っていったのだが、気にしない。
相手が皇帝だろうが、他人と思えばどうということはない。
脅すという行為は武器である。
この世界の住人であれば、『貴族』という意識が強いせいで脅すことなど出来ないだろうが、私は元日本人だ。
それ故に、『他人』と割り切ってしまえる。
さらに力もあるので、何の問題もない。
家族には、こっそりと常に結界を張っているので安全だ。
私のせいで狙われて死にました。など許せるものではない。
だからこそ、常に守っているのだ。


「お前は本当に私の子なのか……?」


ボソッと父が何か言ったが、声が小さすぎて聞こえない。


「ヴァリフィア。」

「はい。」

「今後帝国はどう動くと思う?」

「あくまで私個人の予想になりますが、会談の場を設けたいと申し出てくるはずです。」

「ふむ……それに対し、どう返答すべきだ?」

「受けるべきかと。ですが全ては陛下がお決めになることです。」

「そうだな……。もし受けた場合、同席してくれるか?」

「勿論です。私からも直接、お話をしてみたいですから。」

「ならばその時は呼ぼう。」

「感謝致します。」

「用件はそれだけか?」

「はい。」

「私も、ヴァリフィアが言ったことを申し上げに参っただけですので、それ以外の用件はございません。」

「そうか。また何かあれば報告を頼む。」

「はい。」「はっ。」

「うむ。では行って良いぞ。」

「「失礼致します。」」


そうして、報告は終わった。
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