【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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メリークリスマス!

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あっという間に1週間が経ち、クリスマスの日となった。
この世界では、クリスマスが休日となるようだ。
ありがたい。


「ヴァリフィア様!」

「ユリじゃない。もしかして探してくれていたのかしら。」

「勿論ですわ!貴族の方々が集まるクリスマスパーティーです。参加しないわけには参りませんわ。」

「そうね。ドレス、とても似合っているわよ。」

「ありがとうございますっ。ヴァリフィア様も、とてもお綺麗ですわ。」

「ふふっ、ありがとう。」


この国では、クリスマスの日の夜に一部の貴族が招待され、盛大にパーティーが開かれる。
国、つまりは国王からの招待なので、断る貴族はいない。
伯爵家以上は毎年招待されるが、子爵と男爵の貴族は毎年交代で招待される。
招待されなかった貴族は、国の防衛をしている。


「ヴァリフィア様っ!」

「ミエラ。相変わらず可愛いわね。」

「えっ、そんな……あ、ありがとうございます……。」

「照れてる顔も可愛いわぁ。」

「か、からかわないで下さい!」

「可愛いのは本当よ。」

「ヴァリフィア様もお綺麗です!」

「ありがとう。シアは今年のパーティーに招待されていないのね。」

「子爵位以下の貴族は、交代で招待されていますわね。」

「今年は招待されていない年ということですね。」

「昨年は会えたものね。こればかりは仕方がないわ。あら?殿下がいらっしゃるわ。」

「ディルジア殿下ですか?!わわ、私達はお邪魔になるので、失礼しますわっ。ヴァリフィア様、メリークリスマスですわ!」

「私も失礼致しますっ!メリークリスマスです!」

「あっ、ちょっと……って行ってしまったわね。」


学園でも一緒にいるのだから、邪魔だとは思わないのだが。
でも私というより、ディルジアの方を見て邪魔になると言っていた気が…。
彼女達に何か言ったのだろうか。
だが学園では普通のはず…。


「ヴァリフィア。探しましたよ。」

「ディルジア殿下。殿下が動かずとも、私から参りますよ。」

「あまりにも遅かったからね。」

「パーティーが始まって、まだ20分程しか経っておりませんよ。」

「私という婚約者がいるのですから、真っ直ぐに向かってきてほしいものですね。それよりも、先程ご令嬢と話されていたようですが。」

「ユリエルとミエラです。殿下がいらっしゃったので、お邪魔になると戻っていきました。」

「そうなのですか。」

「彼女達に何かしたのですか?」

「いえ、何もしていませんよ。何かを察しただけでは?」

「それはどういう意味でしょうか…。」

「婚約者どうしの邪魔をしないでおこうという配慮かと。」

「まぁそういうことにしておきましょう。」


脅したことがあるのではと思った。
ディルジアが私のどこが良いと思っているのかよく分からない。
どこにでもいる…とは言いきれないが、最初は避けていたのに。
今では私も好きになっているが…。


「信用されないとは、悲しいものですね。」

「そのようなことはありませんよ。」

「そうでしょうか。この話はこれくらいにして……ヴァリフィア、あちらで踊っていただけませんか?」

「喜んで。」

「メリークリスマス、ヴァリフィア。」

「はいっ。メリークリスマスです。」


私とディルジアが踊り始めると、歓声……というより、悲鳴のようなものが聞こえてきた。
さらにいえば、卒倒している者もいた。
貴族の婚約者どうしが踊ることは普通なのではと思ったのだが、何故か周りの反応がおかしい。
確かにディルジアは優男に見えますが…。

ディルジアは王族なので元より美形だ。
しかしヴァリフィアも『賢華』と呼ばれるほど美しい容姿に見えるのだが、悪役令嬢という前世からのイメージのせいで、自分を過小評価しているのだった。
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