【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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練習です!

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「そうではありませんよ。もっとイメージを的確に。」

「こう……か?『花火』!!」

「色が全部一緒じゃないか…。」

「難しいな……火の花だから、赤系の色しか思いつかない…。」

「私の魔法をよく見ていて下さい。……『花火』。」

「ヴァリフィアの色はいつも綺麗だなぁ…。」

「見とれていないで、ちゃんと覚えて下さい!」

「ご、ごめん…。」


学園は休みだが演習場は開いている為、ディルジアの『花火』の練習が演習場にて始まった。
私とエフェンが付きっきりである。
休日のおかげか、私達以外に人はいなかった。
しかし、『花火』のようなものがこの世界にないせいか、苦戦していた。
普通ならば様々な色で綺麗な魔法なのだが、ディルジアは赤色しか出せなかった。


「今日だけで大丈夫か?」

「人がいない日しか教えられないのよ?なんとしても今日で覚えてもらうわ。」

「そうだな……。」

「ごめん……僕の覚えが悪いせいで…。」

「仕方ありませんよ。私とエフェンのオリジナル魔法ですから。」

「ディルの魔力が尽きそうだ。」

「本当ね。私のを分けましょう。『魔力讓渡』。」

「--ありがとう。だが大丈夫なのか?」

「ええ。今渡したのは、私の魔力の5分の1程度ですから。」

「これで5分の1か!?僕の魔力が全回復してるよ……。」

「……。」


これは嘘だ。
本当は10分の1になるかならないか程度だ。
ディルジアの驚きようからして、嘘をついて正解だった。
実力は隠すに限るからだ。
エフェンは気付いている様子。


「さて、再開しましょう。」

「ああ。」「そうだね。」


そうして、日が沈む前にディルジアは『花火』を完璧に使えるようになった。
私とエフェンはぐったりである。


「優秀なディルでこんなにかかるんだったら、1日3時間しか教える時間がない宮廷魔法師達は、一体どれほどかかるのだろう…。」

「今それを考えても仕方がないわよ、エフェン。」

「そうだな……。」


先が思いやられる気がした。
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