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強さの秘密(王子視点)(エフェン視点)
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《ディルジア》
僕とヴァリフィアでは、住む世界が違う。
何度そう思わされたか。
ヴァリフィアだけじゃない、エフェンもだ。
この2人とは、身分ではなく実力が違いすぎる。
それに、なにより2人は仲が良い。
片方を敵に回せば、2人とも敵に回るだろう。
たとえ両想いで、僕と婚約を結んでいたとしても……。
エフェンは、ヴァリフィアとの関係をあくまでも親友までだと言ってくれている。
しかし、ヴァリフィアの信頼を僕より得ていることも事実だ。
それに2人なら、如何なることでも実現可能だろう。
組む理由はいくらでもあった。
『賢華』のヴァリフィア、『情報屋』のエフェン。
この2人に勝てる者など、どこにも存在しないだろう…。
過去に一度、エフェンに尋ねたことがあった。
2人きりの時に。
「何故エフェンはそこまで強いんだ?」
「さぁ、何故だろうね。」
「真面目に答えてくれないか…?」
「そんなに気になる事かい?」
「当たり前さ。僕も強くなりたいからな。」
「……じゃあそんなディルの質問に答える代わりに、一つ助言だ。」
「助言?」
「ああ。何事も楽しむことが大切だ。私から言えることは以上さ。ではな。」
「それはどういう…!」
意味を聞く前に、エフェンは瞬間移動で消えてしまった。
どれほど考えても、その意味が分からなかった。
開いた差は、努力で埋められる。
そう思って頑張ってきた。
学力もそうだった。
しかし、ヴァリフィアとエフェンとの実力差は埋められなかった。
毎日魔法の訓練を怠らず、上位魔法にも挑戦し、習得した。
だが差は開くばかり。
そして僕は、ヴァリフィアにも聞いてみることにした。
「ヴァリフィア。以前エフェンにも聞いたんだが、何故そんなに強いんだ?」
「その質問には、上手く答えられませんね……。ちなみにですが、エフェンはなんと答えたのですか?」
「答えではなく、助言してくれたよ。『何事も楽しむことが大切だ』とね。」
「なるほど…。私も同じ答えですね。」
「えっ…?」
「何故強いのか、或いは何故強くなれたのかという質問には、上手く答えられません。私は強さを求めましたが、決してそれだけではありませんでしたから。」
「というと……?」
「もし誰かが私の命を狙うことがあった時、それに対応出来るようにする為、私は強さを求めました。しかし、正確には強さを求めたのではありません。私は魔法の面白さを知っています。それはエフェンも同じことかと……これ以上はご自身でお考え下さい。では。」
「待ってくれ……。何故2人とも途中で話をやめてしまうんだ……。」
いつもその先を聞かせてくれない2人に、僕は隠していることがあるのではないかと思っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《エフェン》
私とヴァリフィアには前世の記憶があり、その前世の世界では魔法というものがない。
故に、この世界には魔法というものが存在するのだと喜び、楽しみながらあらゆる魔法を会得していった。
生まれた家が違っていたとしても、私達は同じことをしていたのだ。
その結果が今に至る。
悪役令嬢という設定だったヴァリフィアは全ての魔法に長けており、エフェンというキャラは変身魔法を得意としていた。
だからこそ、実力に差が出るのは仕方のないことだった。
とはいえ、魔法は面白く、オリジナルで新しく創ることも出来た。
その楽しさに惹かれ、色々と魔法を試していくうちに、強くなっていた。
ヴァリフィアも同じだったという。
しかし、ディルジアに聞かれたことがあった。
「何故エフェンはそこまで強いんだ?」
と。
私は上手く答えられなかった。
前世の記憶があって……なんて、言えるわけがない。
だから助言として返した。
「何事も楽しむ事が大切だ。」
それ以上に言えることなどなかった。
嘘はついていない。
事実、私もヴァリフィアも楽しんでしていたからだ。
気付いた時には、強くなっていた。
それを有効活用し、私は情報を集めた。
情報は武器と、前世でも言われていたからだ。
そしてヴァリフィアは人助けを。
そうして、彼女は表立って、私は裏で二つ名を呼ばれるようになった。
(楽しい……か。また今度、ヴァリフィアと面白い魔法の実験でもしようか。ディルジアも誘わないとうるさいだろうな……。)
困った友人と思ってしまうが、ヴァリフィアとディルジアのやり取りは見ていて面白い。
私は卒業まで学園生活を満喫するが、友人達の安全を守る為に情報収集を絶やさないつもりだ。
悪役令嬢であるヴァリフィアは、いつバッドエンドを迎えるか分からない。
卒業までは私も気が抜けない…。
僕とヴァリフィアでは、住む世界が違う。
何度そう思わされたか。
ヴァリフィアだけじゃない、エフェンもだ。
この2人とは、身分ではなく実力が違いすぎる。
それに、なにより2人は仲が良い。
片方を敵に回せば、2人とも敵に回るだろう。
たとえ両想いで、僕と婚約を結んでいたとしても……。
エフェンは、ヴァリフィアとの関係をあくまでも親友までだと言ってくれている。
しかし、ヴァリフィアの信頼を僕より得ていることも事実だ。
それに2人なら、如何なることでも実現可能だろう。
組む理由はいくらでもあった。
『賢華』のヴァリフィア、『情報屋』のエフェン。
この2人に勝てる者など、どこにも存在しないだろう…。
過去に一度、エフェンに尋ねたことがあった。
2人きりの時に。
「何故エフェンはそこまで強いんだ?」
「さぁ、何故だろうね。」
「真面目に答えてくれないか…?」
「そんなに気になる事かい?」
「当たり前さ。僕も強くなりたいからな。」
「……じゃあそんなディルの質問に答える代わりに、一つ助言だ。」
「助言?」
「ああ。何事も楽しむことが大切だ。私から言えることは以上さ。ではな。」
「それはどういう…!」
意味を聞く前に、エフェンは瞬間移動で消えてしまった。
どれほど考えても、その意味が分からなかった。
開いた差は、努力で埋められる。
そう思って頑張ってきた。
学力もそうだった。
しかし、ヴァリフィアとエフェンとの実力差は埋められなかった。
毎日魔法の訓練を怠らず、上位魔法にも挑戦し、習得した。
だが差は開くばかり。
そして僕は、ヴァリフィアにも聞いてみることにした。
「ヴァリフィア。以前エフェンにも聞いたんだが、何故そんなに強いんだ?」
「その質問には、上手く答えられませんね……。ちなみにですが、エフェンはなんと答えたのですか?」
「答えではなく、助言してくれたよ。『何事も楽しむことが大切だ』とね。」
「なるほど…。私も同じ答えですね。」
「えっ…?」
「何故強いのか、或いは何故強くなれたのかという質問には、上手く答えられません。私は強さを求めましたが、決してそれだけではありませんでしたから。」
「というと……?」
「もし誰かが私の命を狙うことがあった時、それに対応出来るようにする為、私は強さを求めました。しかし、正確には強さを求めたのではありません。私は魔法の面白さを知っています。それはエフェンも同じことかと……これ以上はご自身でお考え下さい。では。」
「待ってくれ……。何故2人とも途中で話をやめてしまうんだ……。」
いつもその先を聞かせてくれない2人に、僕は隠していることがあるのではないかと思っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《エフェン》
私とヴァリフィアには前世の記憶があり、その前世の世界では魔法というものがない。
故に、この世界には魔法というものが存在するのだと喜び、楽しみながらあらゆる魔法を会得していった。
生まれた家が違っていたとしても、私達は同じことをしていたのだ。
その結果が今に至る。
悪役令嬢という設定だったヴァリフィアは全ての魔法に長けており、エフェンというキャラは変身魔法を得意としていた。
だからこそ、実力に差が出るのは仕方のないことだった。
とはいえ、魔法は面白く、オリジナルで新しく創ることも出来た。
その楽しさに惹かれ、色々と魔法を試していくうちに、強くなっていた。
ヴァリフィアも同じだったという。
しかし、ディルジアに聞かれたことがあった。
「何故エフェンはそこまで強いんだ?」
と。
私は上手く答えられなかった。
前世の記憶があって……なんて、言えるわけがない。
だから助言として返した。
「何事も楽しむ事が大切だ。」
それ以上に言えることなどなかった。
嘘はついていない。
事実、私もヴァリフィアも楽しんでしていたからだ。
気付いた時には、強くなっていた。
それを有効活用し、私は情報を集めた。
情報は武器と、前世でも言われていたからだ。
そしてヴァリフィアは人助けを。
そうして、彼女は表立って、私は裏で二つ名を呼ばれるようになった。
(楽しい……か。また今度、ヴァリフィアと面白い魔法の実験でもしようか。ディルジアも誘わないとうるさいだろうな……。)
困った友人と思ってしまうが、ヴァリフィアとディルジアのやり取りは見ていて面白い。
私は卒業まで学園生活を満喫するが、友人達の安全を守る為に情報収集を絶やさないつもりだ。
悪役令嬢であるヴァリフィアは、いつバッドエンドを迎えるか分からない。
卒業までは私も気が抜けない…。
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