【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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手伝ってくれるそうです

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今日は前世で言う日曜日。
学園が休みの日だ。
私は朝からディルジアに呼ばれ、寮から少し離れた人気のない場所に来ていた。


「お疲れのようだね。」

「殿下。おはようございます。」

「おはよう、ヴァリフィア。休日に呼び出してすまない。」

「いえ、お気になされずに。それで、要件は…?」

「それなんだが……。」

「?」


ディルジアが視線を逸らした。
その方向に振り返ると、エフェンがいた。
この場に来た時点で、居ることは分かっていたのだが。


「エフェン?何故ここに。」

「ここに来た時点で、私が居ることに気付いていただろう。」

「私が気付かないはずがないでしょう?」

「それもそうだな。」

「それで、何用かしら?」

「ああ。宮廷魔法師達にも芸術魔法を教えるという話、私にも手伝わせてくれないか?」

「珍しいわね。貴方が手伝うなんて。自分に利点でもあるのかしら。」

「酷い言われようだよ。友を手助けしようと思っただけじゃないか。」

「そういうことにしておくわ。手伝ってくれるのなら、私としてもありがたいもの。」

「ヴァリフィア、その……。」

「勿論、以前に約束した通り殿下にもお教え致しますよ。」

「それだけじゃなくて……。」


ディルジアは何か言いたげだが、口を噤む。
それを見ていたエフェンが、仕方がないと言わんばかりに力なく溜息をつく。


「ヴァリフィア。ディルも手伝いたいらしい。」

「そうなのですか?」

「ああ。僕にも…手伝わせてくれないか?」

「問題ありませんよ。私が殿下に教えてから、宮廷魔法師の方に行くのです。つまりは殿下も魔法が使えるようになっているということ。人手が多いことに越したことはありませんから。」

「そうだな。この魔法自体、私とヴァリフィアしか使えない。宮廷魔法師は20人近くで構成されているから、2人で教えるとなると大変だ。だからこそ、1人増えるだけでもありがたい。」

「その通りね。」

「そうか…!僕じゃヴァリフィアの役には立てないと思っていたから…。」

「そのようなことはありませんよ。私の方からお願いしようかと思っていたところです。」


ディルジアは役に立てないというが、実力的には私やエフェンを抜くとかなり強い。
すぐに『花火』を使えるようになるだろう。
そうなれば、否が応でもディルジアには手伝ってもらうつもりだった。
何故役に立てないと思っていたのかは分からないが、自ら手伝ってくれると言うのなら、ありがたい話である。


「よろしくお願いします、殿下。エフェン。」

「勿論だよ!」「ああ。」
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