【完結】私ですか？ただの令嬢です。

教師達にも……

「ヴァリフィア令嬢……すまない。」

「頭をお上げください、スフレ先生。気にしていませんから。それに、既に私が決めた事です。」

「本当にすまない……。」


何故こんなやり取りをしているのか。
事は学園祭の片付けが終わり、寮に帰ろうかという時に起こった。
学園の門を出る直前、私のクラスにて座学を担当している教師に呼び止められた。
場所を移したのだが、そこには他の教師達も集まっていた。
要件を聞くと……


「ぜひ私に、魔法を教えてくれないか！」

「私にも頼む！」

「俺も！」


との事だった。
どうやら、魔法芸術の公演を陛下が絶賛していると聞いて、授業に取り入れたいらしい。
生徒の質が上がれば、教師達の収入も増えるそう。
何とも現実的なお願いである。


「分かりました……。ですが、私や殿下、エフェン様の使っていた魔法以外とさせていただきますが、構いませんか？」

「教えてもらえるのならば何でも構わない！」


そんな時、スフレが部屋に入ってきた。


「ついでに攻撃魔法や防御魔法も……。」

「それくらいにしろ。」

「スフレ先生っ！？」

「スフレ先生のクラス生徒とはいえ、独占するのは……。」

「何を言っている？私は一度たりともヴァリフィア令嬢に教えを乞うたことはないぞ。それに、教師としてその行動はどういうことだ？生徒の強さ、魔法の開発は、その者の研鑽があってこそだ。」

「スフレ先生。私は一部のみですが、教えることにしました。そうでもしなければ、先生方は引いて下さらないでしょうから。」

「だがしかし……。」

「今回だけは、見逃してあげて下さいませんか？」

「ヴァリフィア令嬢……分かった。だが教師の皆よ、これは教師スフレとしてではなく、一個人、スフレとして警告する。今回以降、ヴァリフィア令嬢に同じような事をすれば、その時は……」

「「「分かりました！」」」


教師達はスフレが言い切る前に、返事をした。
スフレの眼光に、気圧されたようだ。
その先の言葉を知りたくないといわんばかりの、反応の良さだ。
一個人ということは、王国の実力者としてという意味になる。
それを分かっているが故の反応だった。
そしてその後、スフレについてくるように言われ、着いた場所はスフレの教師部屋だった。
つまり自室である。


「はぁ…。本当にすまない……。そして、よろしく頼む。」

「はい。では明日の放課後から始めましょう。」

「明日とは、大丈夫なのか？」

「問題ありません。実は、宮廷魔法師の方々にも魔法を教えることになっているのです。勿論、芸術魔法をですが。」

「そちらを先に済ませた方が良いのではないか！？」

「いえ、いつからでも大丈夫と陛下から仰せつかっています。ですので、教師の方々に簡単な魔法だけを短期間で教えようかと。それと、お伝えしてほしいのですが…。」

「私で良ければ。」

「教師の方に、学園がある日、それも放課後のみ教えますと、お伝えてしていただけますか？。おそらく、1週間ほどで足りるでしょう。」

「分かった。教師達には、そのように私から伝えておこう。」

「お願い致します。」


こうして、私はフルシーネア学園の教師達にも、魔法を教えることになってしまった…。