【完結】私ですか？ただの令嬢です。

文化祭2日目です！

「皆さん、今日も全力で、楽しみましょう！」

「「「はいっ！」」」

「では行きますよ。」


私は観客の前に出ていく。
と言っても、演習場の中央に瞬間移動しただけなのだが。
しかし、それだけで歓声と拍手が起こる。
そして音声拡大魔道具マイクを使って、演習場全体に声を響かせる。


「《お待たせ致しました。皆様、本日は我らの魔法芸術披露の公演にお越しいただき、誠にありがとうございます。では始めましょう。フルシーネア学園文化祭、2日目午前の公演、今ここに開始を宣言致します！》」

「「「わあぁぁぁ！！！」」」


再度歓声と拍手が起こる。
私は開幕の魔法という意味で、一つ大きな一筋の雷魔法を撃つ。
そして、クラスメイト達と入れ替わるように瞬間移動で戻る。


「相変わらず、ヴァリフィアが出るだけで歓声があがりますね。」

「殿下、羨ましいのですか？」

「そのようなことはありませんよ。自分で言うのはどうかと思いますが、私が出ても同じ反応でしょうからね。ヴァリフィアとまではいきませんが。」

「そうでしょうか。それはそうと、今日も皆さん楽しんでいるようで良かったです。魔法も順調に成功していますね。」

「それは、ヴァリフィアが士気を高めたからさ。」

「エフェン様、私は当然の務めをしたまでですよ。」

「だとしても、皆が君をを信頼しているからこそのものだ。」

「信頼？」

「ああ。ヴァリフィアが魔法を教えれば必ず出来るようになるし、何より誰に対しても優しいじゃないか。」

「面と向かって言われると、恥ずかしいものです…。」

「ははっ。ディルジア殿下、変な男が寄り付かないよう、しっかりと見張っておくのですよ？」

「それは貴方が言うことですか？」

「酷いですね。私は殿下の！婚約者である彼女に手を出すわけがないでしょう。分を弁えていますし、それに親友ですから接する機会が多いのも変なことではありませんよ。」

「ええっと……。」

「ほら、ヴァリフィアが困っていますよ。」

「誰のせいですか、誰の！」

「そう熱くならないで下さい。私は向こうに行っていますよ。ではお2人で。」

「え、ええ……。」

「全く……。」

「殿下？」

「いえ、気にしないで下さい。それよりも、出番が近づいていますよ。」

「そうですね。」


そして私とディルジアは、1日目と同じように魔法を披露する。
その後はエフェンとだ。
『花火』を大量に撃ち、観客を圧倒させる。


「《楽しんでいただけましたでしょうか。以上で公演を終了致します。最後までご観覧いただき、ありがとうございました！》」

「「「わああぁぁ！！！！！」」」


始まり以上の歓声と拍手で、午前の公演は幕を閉じた。
その後も文化祭を楽しみ、午後の公演を行い、あっという間に文化祭2日目が終了した。
これで、私達にとって最後の文化祭も終わりだ。
少し悲しく、寂しさを覚える。
私の思い出には、楽しい文化祭の記憶が残される。


(楽しかったな……。学園生活も残りわずか。全力で満喫しないとね！)


気持ちを切り替え、翌日には演習場の片付けに移ったのだった。