【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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実家に帰りました

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「お嬢様。もうすぐラーノンス侯爵家に到着致します。」

「半年ぶりね…。」


イルナが報告をしてくれた。
私は毎年、夏季休暇・冬季休暇ともに侯爵家へと帰っている。
弟のエイリジュが、行く度に成長しているので可愛い。
今では11歳になっているはずだ。
あと4年も経てば、高等部に入学するだろう。
そうなことを考えているうちに、侯爵家……つまりは実家に着いた。


「ただいま帰りました、お父様、お母様。」

「おかえり、リフィ。」

「おかえりなさい。」

「はい。」

「リフィ姉さん、おかえりなさい。」

「ただいま、エーリ。元気だったかしら?」

「元気にしていたよ!」

「それは良かったわ。また後で遊んであげるわね。」

「楽しみにしてるよ。姉さんの魔法、綺麗だから好きなんだ!」

「ふふっ、ありがとう。」

「リフィ、とりあえず荷物を片付けておいで。その後は家族全員で夕食だ。」

「はい、お父様。」


ひとまず、家族の元気な様子を見られてほっとした。
私はイルナと共に、2階にある自分の部屋へと入った。
留守中だったにも関わらず、部屋は綺麗な状態に保たれていた。
お母様のお陰だろう。
メイドに頼んでいるはずだ。
早速荷物の整理を行う。
学園に持っていく用の冬服も準備しておく。


「さて、下に降りましょう。皆が待っているわ。イルナも、メイド達とお話してきていいわよ。」

「ありがとうございます、お嬢様。」


そして私とイルナは、別々の部屋へと向かう。
私が部屋に着くと、既にお父様達3人は座って待っていた。
笑い声が聞こえていたことから、談笑していたのだろう。


「お待たせ致しました。」

「ああ。さて、家族揃っての夕食だ。楽しく会話しながら頂こう。」

「「はいっ!」」「そうですわね。」


久しぶりの家族との夕食。
学園に入って以来、半年ごとでしか侯爵家に帰ることは出来ないが、やはり実家での食事は落ち着く。
エイリジュは元気溌剌といった感じで、日本で言う小学5年生そのものだ。
ディルジアは王子であるからか落ち着いた雰囲気を纏っていたが、これが本来の11歳の姿なのだと思う。
貴族なので、他人の前ではしっかり者で丁寧な口調なのだそう。
お母様がこっそり教えてくれた。

食べながら、エイリジュは私の話ばかりしてくれた。
お父様から聞いたようだ。
正直恥ずかしい……。


「僕も姉さんみたいに、強くなるよ!」

「それは楽しみだわ。魔法なら、今度教えてあげるわよ。」

「本当っ!?」

「ええ。エーリは未来の侯爵家当主だもの。強くて困ることはないわ。」

「楽しみが増えたよ!」

「今年も2週間しか居られないから、ビシバシ行くわよ。」

「お願いしますっ、リフィ姉さん!」

「ふふっ。」


そんなやり取りをする私達姉弟を、父と母は微笑ましく見つめている。
暖かい家庭に生まれて良かったと、改めて思った。
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