【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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危険な親友(王子視点)

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最近、ヴァリフィアは僕よりもエフェンと一緒に居ることが多い。
嫌われてしまったのかと思ってしまうが、エフェンはヴァリフィアを狙わないと誓ってくれている。
それを信じてはいるが、ヴァリフィアと行動を共にしているエフェンが羨ましい……。

王子の婚約者ともあろう令嬢が、他の男と軽々しく歩くなど普通ならありえない。
しかし相手がエフェンなのだから、令嬢や令息は何も言わない。
正式ではないが、知る人ぞ知る二つ名を持つエフェン・アーリグェー。
僕の親友でもある彼が、ヴァリフィアの次に強いのは知っていた。
しかし、今日父上から驚くべきことを聞かされた。


--ヴァリフィアとエフェンが王室に転移し、忠告した日の翌朝--
朝日が登り始めた頃に、僕は父上に呼ばれて王城へと向かった。


「父上、ディルジアです。お呼びと聞き参りました。」

「おお、来たか。入れ。」

「失礼します。」

「お前を呼んだのは、エフェン・アーリグェー公爵令息に関する事だ。」

「はい……?」

「『賢華』ヴァリフィア同様、エフェンも敵に回してはならん。それをしかと心に刻んでおけ。」

「分かりました……しかし、何故でしょうか。エフェンは実力で言うならばヴァリフィアの次に強いことは存じておりますが……。」

「スフレが言うには、ヴァリフィアの実力は国内トップだ。そんなヴァリフィアの次に強い時点で、スフレは負ける。」

「ですが、以前スフレ先生はエフェンに勝っていました……。」

「あの時のエフェンは、本気ではないだろう。その証拠に、試合終わりのスフレはかなり消耗していたが、彼は全く疲れた様子を見せていなかった。全ては彼の思惑通りだったようだ。」

「まさか……!」

「それに、魔石の解析結果をヴァリフィアとエフェンが私に伝えに来たのだが、魔石の謎は全て解明されていた。そしてそれを2人で協力し、解明したと言っていた。つまり、エフェンはヴァリフィアに匹敵する実力を有している事の証明になるわけだ。」

「なっ…!?」

「2人の機嫌を損ねるような行動は禁止だ。彼らは言った。『忠告を無視するよう国に義理などない』とな。貴族としてこれは不敬な発言だが、あの2人を止められる者などいないだろう。」

「……分かりました。2人は私の親友でもあります。これからもより一層、関係を深められるよう努力致します。」

「うむ。そうしてくれ。」


そうして、父上との会話は終わった。
まさかエフェンがヴァリフィアと同等とは思わなかった。
よく考えてみれば、納得は出来るのだが。


(ヴァリフィアは既に、ただの令嬢ではないよね……。エフェンもだけど。)


そう思いつつも、何事も無かったかのようにヴァリフィアと接するのであった。
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