【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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秘密の木

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翌日、学園の休みの日。
私はディルジアに近くの森へ行こうと誘われ、2人で歩いていた。


(森へ行こうって誘い方、普通なら断るよ…。森は虫が多いし暑い。行こうとも思わないよね。)


そう思いながらも、ディルジアの後をついていった。
しかし、サールズやエールズは何をしているのだろうか。
2人の姿が見えなかった。
護衛の2人が、理由も無くディルジアの傍を離れる訳がない。
気になったので聞いてみることにした。


「殿下、サールズ様とエールズ様はどうなされたのですか?」

「ああ、2人なら置いてきたよ。」

「そうなのですね……ん?…今、置いてきたとおっしゃいましたか?」

「言ったけど?」

「簡単にお2人が離れるとは思いませんが…。」

「絶対についてくるなと『命令』したんだ。それでもと言ってきたから、ヴァリフィアと一緒だから大丈夫と言ってきた。」

「それでお2人は納得したのですか?」

「してくれたよ。自分達より、リフィが強いことは理解しているからね。そもそも、リフィより強い人の方が、数えられるくらいだろうけど。」

「過分な評価です。しかし、私達は今どこへ向かっているのでしょうか…。」

「10秒間、目を閉じててくれないか?」

「??…分かりました。」


私は目を閉じる。
するとディルジアが私と手を繋ぎ、リードした。
引っ張られながら歩いていく。


「目を開けていいよ。」

「……これは…!」

「綺麗だよね。」


そこには、虹色の木があった。
森の中であるというのに、陽光が射し、その木が生っていた。
虹色の木の周りだけ何も生えておらず、神々しく佇んでいる。


「これは……魔石ですね。」

「その通り。この木は、様々な魔石を生み出すんだ。」


普通なら枝に葉がついているはずなのだが、葉の代わりに魔石で埋め尽くされている。


「この木から魔石をどれだけ取っても、また生まれるんだ。色にも意味があって、赤色なら炎属性に適していて、青色なら水属性に適している。その他の色も、想像できるだろう?」

「緑は風属性、黄色は光属性…でしょうか。」

「正解だよ。面白いよね。1本の木から様々な種類の魔石が生まれるなんてさ。」

「自然の不思議とは、凄いものですね……。」

「この木に関しては、王家が秘密裏に所有している。ヴァリフィア、好きな魔石を3つまで持ち帰ってもらって構わない。既に許可はとってある。」

「ありがとうございます、殿下。では……。」


私は白色、水色、黒色の魔石を手に取った。
それぞれの色が意味する属性魔法とは……。
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