【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

文字の大きさ
上 下
139 / 255

攻略のご褒美は…

しおりを挟む
--翌日--

私とエフェンは、一足先に演習場へと来ていた。
最終調整する為だ。

一方、クラスルームでは--


「今日の実技授業は、演習場に着いてからのお楽しみだ。交流会以降、演習場に入るなと言われ、何故なのか気になっていたことだろう。今日でその理由が分かるぞ。」


生徒達はざわついた。
そしてスフレの後を追うようにして、演習場へと向かう。


「巨大迷路……そのままにしていたのですわね…。」

「もう一度迷路攻略でしょうか…。」

「同じ迷路ではないでしょう。」

「殿下、何故そう思われるのですか?」

「ヴァリフィアとエフェンがいないからですよ。昨日の学園終わり、スフレ先生に呼ばれていましたし。」

「そうなのですね!」


私とエフェンは最終調整を終え、クラスメイト達が来るのを待っていると、遠くからユリエルやディルジア達の声が聞こえてきた。
どうやら演習場へと来たようだ。


「ようやく来た。待ちくたびれちゃうよ…。」

「まぁまぁ、そう言うな。私達が予定より早く調整を終えてしまっただけだろう。」

「そうだけど…。」


今は2人しかいないので、気楽に話す。
調整が終えてから、まだ30分程しか経っていないのだが、とても長く感じた。


「おっ、始めるようだ。」

「みたいね。さて、待ちに待った時間の始まりだよ!」

「相変わらず楽しそうだな…。」

「しっかりと観戦しないとね!」


私達は迷路攻略に参加しない代わりに、最初にゴールしたチームと戦うようにとスフレから命じられていた。


「どうして私達が戦わないとならないんだ……。」

「仕方ないじゃない。『2人と手合わせしたいと言う者は、少なくなくてな。最初に辿り着いたご褒美として、模擬戦をしてやってくれ。』とスフレ先生から言われたんだから。」

「それはそうだが…。」

「睡眠魔法などの一瞬で模擬戦が終わる魔法は禁止で、という条件付きで、クラスメイトと戦うのは面白いと思うよ?」

「……まぁそうか。ヴァリフィアの言う通り、私も楽しむとしよう。」

「そうこなくっちゃ!」


私達は観戦を続け、少し経つとゴール地点に瞬間移動で転移した。
そして、一番にゴールしたのは……


「ヴァリフィア様!」

「この状態であの2人と戦うのは、無理があるのでは……?」

「殿下、そうおっしゃられずに。」


言うまでもなく、ディルジアのチームだ。
チーム構成は、ディルジア、サールズ、エールズ、シェシュア、メイナの5人。
私は一先ず、迷路攻略でボロボロになっている5人を、魔力を含め回復させる。


「ま、魔力が、流れ込んできます…。」

「こうするようにと、スフレ先生から言われているのですわ。」

「それでは、ヴァリフィア様の魔力が!」

「ご安心を、サールズ様。全員の傷を回復し、さらに魔力を与えたところで、私の魔力はさほど減っておりませんから。そんな事よりも……。」

「始めますよ、2対5の模擬戦を!」

「あら、エフェン様もやる気になりましたか?」

「魔法のバトルほど、楽しいものはないだろう?」

「ふふっ、その通りですね。」

「先手必勝!」


そうして模擬戦は始まり、もらったと言わんばかりに、エールズが私達に向けて全力の魔法弾を放ってきたのだった--
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世
恋愛
 異世界転生キタコレー! と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎  えっあの『ギフト』⁉︎  えっ物語のスタートは来年⁉︎  ……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎  これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!  ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……  これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー  果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?  周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

悪役令嬢はSランク冒険者の弟子になりヒロインから逃げ切りたい

恋愛
王太子の婚約者として、常に控えめに振る舞ってきたロッテルマリア。 尽くしていたにも関わらず、悪役令嬢として婚約者破棄、国外追放の憂き目に合う。 でも、実は転生者であるロッテルマリアはチートな魔法を武器に、ギルドに登録して旅に出掛けた。 新米冒険者として日々奮闘中。 のんびり冒険をしていたいのに、ヒロインは私を逃がしてくれない。 自身の目的のためにロッテルマリアを狙ってくる。 王太子はあげるから、私をほっといて~ (旧)悪役令嬢は年下Sランク冒険者の弟子になるを手直ししました。 26話で完結 後日談も書いてます。

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

処理中です...