【完結】私ですか？ただの令嬢です。

化け物だらけ…？

「交流試合の代表3人じゃないか。もう作戦は立て終わったのか？」

「はい。スフレ先生はこれから演習場ですか？」

「そうだ。個別指導をしなければならない生徒がいてな。それで？作戦はどのようなものなんだ？」

「それは見てからのお楽しみです。」

「ふふっ、分かった。交流試合、楽しみにしておこう。1週間あるからな。既に実力は恐ろしいものだが、さらに磨きをかけるのも有りだろう。ハスガヌア令息にも、少しばかり指導してほしい。」

「勿論です。」

「頼む。ではな。」


戻る途中、スフレに出会った。
エフェンの言っていたように、作戦を伝える必要はないので見てからのお楽しみと答えておく。



－－1週間後－－


隣国との交流試合は、フルシーネア学園演習場にて行われる。
交流試合のみならず、合同実技授業などもする予定だ。

「二学園交流会」までの1週間、私達は毎日模擬戦をしつつ、実力を高めあった。
そして今、演習場の代表控え室に居た。
スフレが様子を見に来る。


「調子はどうだ？」

「万全です。」

「何も問題ありませんよ。」

「僕も……も、問題はあり……ま、ま…ません…！」

「ははっ、1人だけ大丈夫ではなさそうな者がいるな。まぁ気負う必要はないぞ。勝ち負けでどうこうなる訳ではないからな。」

「はい……。」

「スフレ先生のおっしゃる通りですわよ。ハスガヌア様、私達との模擬戦の日々を、思い出して下さい。」

「そう…ですね。自信が出てきました！」

「それは良かったよ。私達教師は、指示などをすることを禁じられている。あくまでこれは学園生徒どうしの交流試合だからな。……しかしヴァリフィア令嬢。」

「何でしょうか。」


少し手招きされたので、私はスフレに近づいた。
すると耳打ちで教えてくれた。


「相手選出を秘密裏に見てきた。」

「流石ですね…。」

「代表3名は確かに隣国の学園服だったのだが、1人だけ魔力制御が君並に桁外れているよ。おそらくかなりの手練だ。君のような存在がいるのなら、隣国に同じような者がいたとしても不思議ではない。しかしあれはおそらく学園生ではないだろう。」

「何故そう思われるのですか？」

「勘さ。私も、伊達に人を見てきていないからな。」

「先生らしいですね。……情報、感謝致します。」

「ああ。十分に気を付けてくれ。エフェン令息も君と同等に見えるから、問題はないだろうけどね。」

「何事も油断大敵です。」

「そうだな。そう言えば、殿下が君を応援していると言っていたよ。」

「っ……／／／」

「ふふっ。君は殿下の事になると、少し分かりやすくなったね。」

「からかわないで下さい！」

「はははっ。……さてと、私はこれで失礼する。試合、楽しく見させてもらうよ。」

「「「はい！」」」


スフレは退出して行った。
教師達の席へと向かうのだろう。
試合が始まるまでは残り30分だった。


「それで、スフレ先生は何と？」


ハスガヌアから少し離れ、エフェンが聞いてきた。
彼は交流試合の事しか頭にないらしく、不安な様子だった。
その間に話す。


「秘密裏に対戦相手を見に行ってくれたみたいよ。」

「流石は王国内3位の実力を誇る方だね。内容は？」

「代表3名の内、1人は『化け物』らしいよ？」

「なるほどね。真っ先にヴァリフィアを狙うだろうな。」

「どうでしょうね。2人が先に倒されるかもしれないよ？」

「どういう事だ？」

「化け物ということは、先にエフェンやハスガヌアを戦闘不能にし、私が3人同時に相手をするよう仕向けてくる可能性がある。」

「それは心配無用じゃないか？」

「ふふっ、確かにそうね。貴方も『化け物』だもの。」

「ヴァリフィアには敵わないがな。」


呆れ気味に言うエフェン。
そして、入場口へと向かうようにとのアナウンスが鳴った。


《これより、二学園交流試合を行います。各学園の代表生徒は、入場して下さい。》


大きな拍手と共に、私達は入場する。
緊張はしていないが、こういった事は慣れていないので、少し恥ずかしい。
エフェンは堂々たるもので、ハスガヌアはおどおどしている。
大丈夫だろうかと思わずにはいられない様子だ。


《各学園の魔法成績上位3名、団体形式で模擬戦を行います。代表生徒の紹介を行います。フルシーネア学園、ヴァリフィア・ラーノンス、－－》


代表生徒の紹介が次々されていき、6名全員の紹介が終わると、いよいよ開始地点につく。
障害物など何も無く、ある程度の距離をとり、開始の合図で交流試合は始まったのだった－－