【完結】私ですか？ただの令嬢です。

全て話しましょう

「探したよ……どこに行っていたのですか？」

「……女の秘密です、殿下。」

「そんな誤魔化しが通じるとでも？」


ディルジアの鋭い視線に、内心驚きつつも表情を変えず見返す。
私は話すべきか迷った。
しかし、脅すように聞いてくるという事は、知っているのだろう。
そう判断し、私は1つ質問した。


「…殿下は、知っているのですか？」

「勿論知っています。」

「……。」


『何について』なのかを聞いていないにも関わらず、ディルジアは知っていると答えた。
これで確定だ。


「ここでは場所が悪いですので、少し移動しましょう。」

「そうですね。」


私は瞬間移動を発動し、学園内の使われていない教室へと転移する。
念の為に消音の結界を張った。
効果は結界内の音・声音が、結界外に一切聞こえなくなるというものだ。


「相変わらずの魔法の腕だね。」

「ありがとうございます。…早速ですが、本題に入りましょう。」

「そうだな。」

「私が暗殺者に狙われていたのはご存知だった……という事でよろしいですか？」

「その通りだ。」

「私が気付いたのは今日、学園の授業中です。早急に対処をした方が良いと考え、片付けました。」

「片付けた……？暗殺者達を？」

「はい。先ずは暗殺者達を拘束し、その後依頼人へ直接話をつけました。」

「直接……他国に行ったのか？」

「はい。それが一番効果的かつ手っ取り早い手段でしたので。」


ディルジアは驚きを隠せず、固まっていた。
事実を言っているので、嘘はついていない。
そして私は、続けてディルジアに全てを話した。


「－－以上です。」

「まさか隣国の大公爵に誓いを立てさせるとは…。」


驚きを通り越して、呆れているディルジアなのであった。