【完結】私ですか？ただの令嬢です。

異・恋物語(王子視点)

「エフェン。すまないが、聞きたい事がある。」


翌日、学園終わりにディルジアはエフェンを呼び出し、森に入る。
誰もいない事を確認して。


「何かな？かなり重要な様だけど。」

「この間のヴァリフィアの件、教えてくれて非常に助かった。感謝するよ。しかし、何処でこの情報を知ったんだ？」

「ああ、それね。自分で調べたのさ。」

「自分で？！」

「そうだよ？この間ヴァリフィアに会った時、周りから妙な気配を感じて調査したんだ。するとヴァリフィアを暗殺せんと動いている者達がいる事を知った。」

「それで僕に伝えた……と。」

「その通り。」


ディルジアには、エフェンがまだ何か隠しているように見えた。


「エフェン、僕はその先を知りたいんだが？」

「『その先』とは？」

「言わなくても分かるだろう。」

「……分かったよ、話す。」

「……。」


唾を飲み、その内容に構える。
そしてエフェンから語られたのは、想像を遥かに超えた言葉だった。


「この件には、他国が関わっている。」

「他国が……何故だ？」

「強大な力を持つヴァリフィアを、危険視しているようだな。ディル。奪われる前に、早めに動いた方が良いかもしれないよ？」

「…どういう事だ？」

「早く気持ちを伝えなよ。でないと、いつまで経っても気付いてもらえないよ？」

「……今は暗殺者達をどうするかが重要だろう…。」

「ははっ、相変わらずだね。それはそうと、前にも言った通り、暗殺者達は彼女自身でどうにかすると思うよ。」

「そんな気はしているが……他国の干渉…か。全く、頭が痛くなるよ。」


今はヴァリフィアの安全が第一と考えるディルジア。
それをエフェンは少しつまらなさそうに見る。


(ディルジア……早くヴァリフィアに気持ちを伝えてくれよな。これじゃ、いつまで経っても物語が進まない……。乙女ゲームの時と違うとはいえ、この片想いの恋物語は見ていて面白いのだからな。)