【完結】私ですか？ただの令嬢です。

ゴーデさん、狙われてる…？

時間が経ち、夜となった。


「潜入調査、頼んだよエフェン、ヴァリフィア。」

「夜の潜入……罪悪感があるな。」

「ええ、本当に。」

「そう言いながらも、2人とも楽しそうだけど？」

「ばれてた？」

「ばればれだよ。」

「あははっ。」「ふふふっ。」


私達は楽しみで仕方がなかった。
何よりも、同じ秘密・趣味を持っている友と潜入するのだ。
これほど面白い事などない。


「エリアマップ、よろしくね。」

「了解だ。記した紙は、私の従魔に持って行かすから、部屋に入れてやってくれ。」

「分かった。」

「さて……ディル、ヴァリフィア。行ってくるよ。」

「頼んだ。」「気を付けて。」


そしてエフェンは暗闇の中、男爵の邸へと向かっていった。
一応ゴーデにも資料保管庫などの部屋がないか、聞いてみたのだが知らないとの事だった。
秘密にされているのだろう。
その他にも、幾つかよく分からない部屋があった。


「とりあえず、エフェンからの情報を待ちましょう。」

「そうだね。それと、ゴーデさんを迎えに行かないと。」

「はい。参りましょう。」


私達はエフェンと入れ替わった後、男爵邸近くの店で落ち合う事となっていた。
少し待っていると、ゴーデが現れた。
しかし、来たのはゴーデだけではなかった。


「ヴァリ……むごむご…！？」

「名前を呼んでは行けません……。少し移動しますよ。」

「えっ…？！」

「話は後です！」


私は自分と2人に強化魔法をかけ、全速力で走る。
5分ほど走り続けた後、少し隠れて休憩する。


「はぁ……はぁ……急に…どうしたのですか…。」

「ゴーデさん、つけられていましたよ。」

「えっ…。」

「まだ対処は可能です。2人はここで隠れていてください。」

「1人でどうするのですか！？」

「心配には及びませんよ。的確に対処するだけです。相手は3名。何の問題もありません。」

「……私も行きます。」

「あまりこの言い方は好みませんが…。『賢華』ヴァリフィアとして、お2人に願います。どうかここでお待ちください。お願いします…。」


私は頭を下げる。
2人は驚いた様子で、静かに首を縦に振った。
それを見た私は笑顔で言う。


「感謝致します…。」


と。
そして1人、追っ手である3人がいる方向に向かって瞬間移動したのだった。