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全ては覚悟の上です
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ユリエル達と買い物へ出かけた日の夜、寮へと戻った私に訪ねてきた者がいた。
時刻は21時をまわった頃だった。
「ヴァリフィア様、イルナです。今よろしいでしょうか。」
「ええ、どうぞ。」
「失礼致します。」
イルナが扉を開けて入ってきた。
私に丁寧に一礼をする。
「どうしたの?」
「それが……ディルジア殿下が訪ねて来られまして…。」
「殿下が!?」
「はい…。寮内の食堂横の、談話室でお待ちになっておられます。」
「分かったわ。直ぐに向かいましょう。」
イルナには先に休んでおくように伝え、私1人で談話室へと向かう。
部屋へ入ると、ディルジアのみが座っていた。
護衛はいないようだ。
ディルジアは隣寮なので、近くの寮を移動する程度ならば護衛も要らないのだろう。
実力がある故に、心配も要らない。
つまりは、2人きりということになる。
「お待たせいたしました、殿下。」
「こんばんは、ヴァリフィア。こんな時間にすまないね。」
「いえ、お気になさらずに。それで、どうされたのですか?」
「明日でも良かったんだけれど、なるべく早い方が良いと思ってね。」
「はい……。」
「実は、捕らえた諜報員の1人が獄中で自害してね。」
「自害……ですか。」
「まるで、分かっていたかのような反応だね。」
「ええ、まぁ…。」
(この手の事は漫画とかで読んだことあるんだよね…。大体の諜報員は、捕まったら直ぐに自害する…と。)
しかし「1人」という事は、残り2人がまだ生きている。
自害させないような対策でもしていたのだろうか。
対策をしていたのならば、何故1人自害出来たのか。
疑問が疑問を呼んで行く。
しかし、その理由は直ぐにディルジアの口から語られた。
「だが、問題は『死んだ事』ではなく、自害ではない可能性があることだ。」
「それは、他殺……という事でしょうか。」
「その通りでね。自害出来ないようにしていたんだけど……。その1人がどこの国の者か、分からなくなってしまった。」
「残りの2人は、分かったのでしょうか?」
「1人は隣国の者で、もう1人も他国の者だった。この二国は手を組んでいると睨んでいるよ。」
もうそこまで情報を引き出しているのかと思いつつ、まだディルジアが浮かない顔をしている。
話しづらそうに、こちらを見ながら続きを話す。
「ヴァリフィア、本題はここからなんだよ……。」
「どういうことでしょうか…?」
「……君が他国の者に狙われているかもしれないんだ…。」
「そう……でしょうね。」
「これも分かっていたのか…。」
「……無論です。覚悟の上で、陛下からの頼みを受けたのですから…。」
「本当にすまない……。」
「私が自らした事です。殿下が気に病む必要はありません。」
私は笑顔でそう言った。
するとディルジアも、申し訳なさそうにこちらを見た。
(これから気が抜けないね。まぁ分かっててした事だから、誰かを責めるつもりはないけれど。)
これ以上、面倒な事にならないよう祈るばかりであった。
時刻は21時をまわった頃だった。
「ヴァリフィア様、イルナです。今よろしいでしょうか。」
「ええ、どうぞ。」
「失礼致します。」
イルナが扉を開けて入ってきた。
私に丁寧に一礼をする。
「どうしたの?」
「それが……ディルジア殿下が訪ねて来られまして…。」
「殿下が!?」
「はい…。寮内の食堂横の、談話室でお待ちになっておられます。」
「分かったわ。直ぐに向かいましょう。」
イルナには先に休んでおくように伝え、私1人で談話室へと向かう。
部屋へ入ると、ディルジアのみが座っていた。
護衛はいないようだ。
ディルジアは隣寮なので、近くの寮を移動する程度ならば護衛も要らないのだろう。
実力がある故に、心配も要らない。
つまりは、2人きりということになる。
「お待たせいたしました、殿下。」
「こんばんは、ヴァリフィア。こんな時間にすまないね。」
「いえ、お気になさらずに。それで、どうされたのですか?」
「明日でも良かったんだけれど、なるべく早い方が良いと思ってね。」
「はい……。」
「実は、捕らえた諜報員の1人が獄中で自害してね。」
「自害……ですか。」
「まるで、分かっていたかのような反応だね。」
「ええ、まぁ…。」
(この手の事は漫画とかで読んだことあるんだよね…。大体の諜報員は、捕まったら直ぐに自害する…と。)
しかし「1人」という事は、残り2人がまだ生きている。
自害させないような対策でもしていたのだろうか。
対策をしていたのならば、何故1人自害出来たのか。
疑問が疑問を呼んで行く。
しかし、その理由は直ぐにディルジアの口から語られた。
「だが、問題は『死んだ事』ではなく、自害ではない可能性があることだ。」
「それは、他殺……という事でしょうか。」
「その通りでね。自害出来ないようにしていたんだけど……。その1人がどこの国の者か、分からなくなってしまった。」
「残りの2人は、分かったのでしょうか?」
「1人は隣国の者で、もう1人も他国の者だった。この二国は手を組んでいると睨んでいるよ。」
もうそこまで情報を引き出しているのかと思いつつ、まだディルジアが浮かない顔をしている。
話しづらそうに、こちらを見ながら続きを話す。
「ヴァリフィア、本題はここからなんだよ……。」
「どういうことでしょうか…?」
「……君が他国の者に狙われているかもしれないんだ…。」
「そう……でしょうね。」
「これも分かっていたのか…。」
「……無論です。覚悟の上で、陛下からの頼みを受けたのですから…。」
「本当にすまない……。」
「私が自らした事です。殿下が気に病む必要はありません。」
私は笑顔でそう言った。
するとディルジアも、申し訳なさそうにこちらを見た。
(これから気が抜けないね。まぁ分かっててした事だから、誰かを責めるつもりはないけれど。)
これ以上、面倒な事にならないよう祈るばかりであった。
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