【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

文字の大きさ
上 下
87 / 255

もう話は広がって…

しおりを挟む
--翌日--


学園に友人達と向かう為に、寮の入口付近に集合していた。


「おはようございます、ヴァリフィア様。」

「「「おはようございます。」」」

「ええ、おはよう。今日はメイナも一緒なのね。」

「はい。昨日ユリエル様からお誘いを受けまして。」

「1人で学園に向かうところを、いつも見ていましたの。ですので、ご一緒に学園に向かわないかとお誘いしたのですわ。」

「そうだったのね。メイナ。これからも一緒に学園に向かわないかしら?」

「よろしいのであれば、ご一緒させていただきますっ!」

「勿論構わないわよ。さて、遅れる前に学園に行きましょうか。」

「「「「はい(っ)!」」」」


(ヒロインなだけあって、とっても可愛いっ!こんな笑顔で言われたら、何であろうと断れないよ…!)


攻略対象でもない私が、ヒロインにやられてどうすると思いつつも、可愛さが勝ってしまう。
私が心の中でうっとりとしていると、ユリエルが話しかけてきた。


「聞きましたわよ、ヴァリフィア様。」

「……?何をかしら?」

「国王陛下の命で、ヴァリフィア様の研究棟を学園近くに建てるのでしょう?」

「耳が早いのね。」

「私もお聞きしました!王城内に入り込んでいた諜報員3名の存在を明らかにし、国に貢献なさったと!」

「褒美に研究棟を建てようと、陛下が仰ったのですわよね。」

「え、ええ。その通りよ……。」


(いや……耳、早過ぎない!?昨日の話だよ?なのにとてつもなく詳しいんだけど?!)


貴族の耳の早さには、驚かされるばかりだ。
それにしても、どうしてそこまで詳しく知っているのだろうか。
気になったので、手っ取り早く直接聞いてみる事にした。


「どうしてそんなに詳しく知っているのかしら……?」

「既に貴族内では周知の事実ですわ。昨日謁見の間に集っていた有力貴族の方々が、ヴァリフィア様の今回の事を語っていたのです。」

「語ると言うより、ヴァリフィア様の素晴らしさを広めていましたね。」

「…そう…なのね……。」

「今や『賢華ヴァリフィア』様は国の宝だと言われていますわ。」

「え、えぇ~……。」


ユリエルとシェシュアの言っていることは事実だ。
ヴァリフィアが謁見の間を去った後、国王陛下がその場に居た貴族達に全てを話した。

スフレよりも強いと判断し、「諜報員スパイの存在を明らかにしてほしい」と頼んだ。
そして見事に諜報員が誰かを見つけ出し、国に貢献した為、褒美を与えた…と。
公爵位の当主全員には知らされていたが、その他の貴族には謁見の間で伝えられた。
そしてそれが瞬く間に貴族内で広がって行った。
平民には、不安を抱かせない為に伏せられたが。


「ヴァリフィア様の名声が、広がっていきますわね!」

「研究棟の助手に、ディルジア殿下がおつきになるとか。」

「まぁ、そうなのですね!」

「婚約者どうし……楽しそうですっ。」


(え、何?何が楽しいの?!ディルジアと一緒なんて嬉しくないんだけど!?それに名声とか要らないし…。あくまで私はただの、普通の令嬢で居たいんだけど!)


ユリエルは名声が広がると言うが、それは真っ平御免だ。
シェシュアが殿下が助手につくと言うと、ミエラはパァッと目を輝かせ、メイナが何故か楽しそうだと言う。

友人達と感覚がズレているヴァリフィア。
彼女達の言葉に、頭の中でははてなしか浮かばないのであった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

もしも生まれ変わるなら……〜今度こそは幸せな一生を〜

こひな
恋愛
生まれ変われたら…転生できたら…。 なんて思ったりもしていました…あの頃は。 まさかこんな人生終盤で前世を思い出すなんて!

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世
恋愛
 異世界転生キタコレー! と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎  えっあの『ギフト』⁉︎  えっ物語のスタートは来年⁉︎  ……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎  これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!  ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……  これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー  果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?  周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

悪役令嬢はSランク冒険者の弟子になりヒロインから逃げ切りたい

恋愛
王太子の婚約者として、常に控えめに振る舞ってきたロッテルマリア。 尽くしていたにも関わらず、悪役令嬢として婚約者破棄、国外追放の憂き目に合う。 でも、実は転生者であるロッテルマリアはチートな魔法を武器に、ギルドに登録して旅に出掛けた。 新米冒険者として日々奮闘中。 のんびり冒険をしていたいのに、ヒロインは私を逃がしてくれない。 自身の目的のためにロッテルマリアを狙ってくる。 王太子はあげるから、私をほっといて~ (旧)悪役令嬢は年下Sランク冒険者の弟子になるを手直ししました。 26話で完結 後日談も書いてます。

強すぎる力を隠し苦悩していた令嬢に転生したので、その力を使ってやり返します

天宮有
恋愛
 私は魔法が使える世界に転生して、伯爵令嬢のシンディ・リーイスになっていた。  その際にシンディの記憶が全て入ってきて、彼女が苦悩していたことを知る。  シンディは強すぎる魔力を持っていて、危険過ぎるからとその力を隠して生きてきた。  その結果、婚約者のオリドスに婚約破棄を言い渡されて、友人のヨハンに迷惑がかかると考えたようだ。  それなら――この強すぎる力で、全て解決すればいいだけだ。  私は今まで酷い扱いをシンディにしてきた元婚約者オリドスにやり返し、ヨハンを守ろうと決意していた。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。 しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。 断罪まであと一年と少し。 だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。 と意気込んだはいいけど あれ? 婚約者様の様子がおかしいのだけど… ※ 4/26 内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

処理中です...