【完結】私ですか？ただの令嬢です。

友達になりました

「1つ質問してもいいかしら？」

「は、はい。何でしょうか？」


私は令嬢達が言った、
『平民の分際で、殿下に近付かないでもらえる？』
という言葉の意味を知るため、メイナに直接聞くことにした。
少し遠回しに…だが。


「メイナさんは、殿下とお会いしたことがあるの？」

「はい。その……お恥ずかしながら、今日の授業中に居眠りをしてしまって、ノートをとっていなかったのです。どうしようかと迷っていたところ、ディルジア殿下がノートを貸して下さいまして……。」

「そうなのね。」

「急いで書き写してお昼の休憩が始まったと同時にお返ししたのです。」

「つまり、ノートを返しているところを、先程の令嬢達に見られた…という事ですわね。」

「はい……。」


(ノートなんて何時貸してたんだろう？というか、ノートを貸す……それってヒロインとの出会いイベントじゃん！)


そもそもディルジアに興味が無い為、ノートを貸していようが気付かないのである。


「確か……ヴァリフィア様はディルジア殿下のご婚約者でしたね……。本当に、申し訳ございません！平民でありながら、殿下に近付くなど……。」


怯えた様子でメイナは頭を深く下げる。


「そ、そんな事気にしないで。殿下がご自身でなさったことだから、私が口を出すことじゃないわ。」


「申し訳ありません…っ。」


(どうでもいいよ、本当に！別に好きなわけじゃないし。って、口が裂けても言えないけど！)



頭を下げ続けるメイナに対し、私はもの凄く困る。


「頭を上げて。貴女が悪い事をした訳じゃないわ。それよりも、いつもいじめを受けているの？」


「今日が初めてです…。以前は普通部門に通っていたので、平民の子もいたのですが……高等部門では私しか平民がいませんから…。」

「そう……。」


(こんな可愛い子が…可哀想っ！これからもきっといじめられるよね。どうすれば良いんだろう……。)


私は考えを巡らせた。
1つ思いついたので、それを言おうとするよりも先にユリエルが口にした。


「ヴァリフィア様、提案なのですが。メイナさんとご一緒に行動するというのはどうでしょう？」

「そ、そうね。そうしましょう。」


(全く同じ事考えてた！流石はユリエルね！)


と、1人心の内で喜んでいると、


「よ、よろしいのでしょうか…？私ごときが……。」

「勿論よ。それに、同じクラスでしょう？」

「え……。」

「名前を聞いて思い出したわ。貴女がクラスにいた事を。良ければ、お友達になって下さらない？」

「私も、お友達になりたいですわ！」

「よ、よろしくお願いします……！」

「ええ。これで私達はお友達ね。」


笑顔でそう言うヴァリフィアを、メイナは尊敬の眼差しで見ているのだった。