【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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まさかまさかの……

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「風紀委員の仕事、今日から頑張らないとね。」

「そうですわね。ヴァリフィア様とご一緒出来て嬉しいですわ。」


生徒会の集まりがあった翌日、私とユリエルは昼休憩に風紀委員の仕事をしていた。
喧嘩などの仲裁、又はトラブルを未然に防ぐ事だ。

すると早速、そんな現場に居合わせた。


「平民の分際で、殿下に近付かないでもらえる?」

「本っ当に穢らわしいわぁ。」

「成績が少し良いからって、調子に乗らないことね。」

「うぅ……っ…うっ。」

「泣けば許されるとでも?!」


(うわぁ~。いかにもって感じ。関わりたくないな。)


そう思うが、生徒会の風紀委員である以上、見過ごす訳にも行かない。
それに、ユリエルも見ている。


「ヴァリフィア様!」

「ええ。行きましょう。」


私達は割って入った。


「ご機嫌よう。何をなさっているのです?」

「ヴァ……ヴァリフィア様っ!」

「ご機嫌よう。」

「ユリエル様までっ。」

「「「し、失礼致しましたっ~!!」」」


平民をいじめていた3人の令嬢は、私達の顔を見ると一目散に走り去って行った。


「全く、弱いものいじめの何が楽しいのでしょうね。」

「その通りですわ。ええと、貴女は?」

「……自己紹介の前に…助けていただき、感謝致します。」

「どういたしまして。」

「私は高等部門1年のメイナと申します。…平民……です…。」


怯えきった様子のメイナと名乗った少女。
年齢は私と同じ15歳の様だ。


「そんなに怯えなくていいわ。私はヴァリフィアよ。」

「ユリエルですわ。」

「まあ、あの有名な殿下のご婚約者の、ヴァリフィア様でしたの?!そして伯爵家のユリエル様!?」


驚く彼女に、私は見覚えがあった。
初めて会うはずだが、どこかで知っている顔だ。


(誰だったかなぁ。絶対どこかで見てる……って、ヒロインじゃん!忘れている方がおかしいよね……。
にしても、銀髪碧眼の整った顔立ち……とっても可愛いし美しい!)


と、1人心の中で興奮していた。
ふと思った。
彼女メイナをいじめていた令嬢達が言った言葉が引っかかったのだ。


『平民の分際で、殿下に近付かないでもらえる?』


(殿下に近付く……どういう事だろう?まさか……殿下はもう恋しちゃってるの?!)


直ぐに真相を知らなければと思うヴァリフィアであった。
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