【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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知識は活用してこそ、ですね!

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ディルジアと別れた後の、夕方頃。
私は自身に不可視化の魔法をかけ、とある場所へと向かっていた。
服は動きやすいものに着替えている。


(ここね!取引が行われるであろう場所。)


夜は警戒が強くなると考え、日が落ちていない明るい時間帯にその場所へと行くことにした。
ブュージェ伯爵領内の、とある路地裏だ。
ヴァリフィアの領からは、馬車で1時間の距離。
しかし身体強化をかけて走り続けていた為、30分で着くことができた。


(ここは、地図の報告書で曖昧に書かれていた場所。という訳で……っと。)


私はある物を仕掛ける。
前世の知識をフル活用したあれだ。


(監視カメラ!だけど監視は出来ないから、ただの動画を撮ることが出来る撮影魔道具マジックカメラね。回収は3日後くらいでいいかな?)


魔道具にも不可視化の魔法をかけておく。
ちなみにだが、ディルジアの撮影魔道具には動画を撮る機能はない。


(さて、日が落ちる前に戻らないと。夕食まで部屋に入らないようにと、使用人達には言っておいたんだけどね。)


今は冬で、この時期の夕食は決まって日が落ちて直ぐだ。


(今なら出来るかも……。)


魔道具を仕掛けた場所から5分ほど走り、誰も居ない建物の中へと入る。


(行く時は移動先がどんな場所か分からなくて使わなかったけど、帰りなら問題ないはず!)


そう思い、使った魔法は……


「魔法はイメージが大切だというのは、前世のアニメや漫画でよくあったし、この乙女ゲーも一緒だったからきっと大丈夫よね……上手くいって。瞬間移動--発動!」


目の前が真っ白になり、着いた先はとある部屋だった。


「成功した!自分の部屋に戻ってこれた!こんな長距離、初めてだったから心配したけど、問題なく帰ってこれて良かった。流石は、悪役令嬢のステータスね!」


そして直ぐに元の服に着替える。
着替えを終えた直後、


「ヴァリフィア様、入ってもよろしいでしょうか?」

「構わないわ。」


(危なかった……瞬間移動が成功していなかったら、完全にアウトだよぉ。前世の知識に感謝感謝っ!)


ほっと胸を撫で下ろす。
そして入ってきた侍女のイルナが告げたのは、予想外の事だった。


「夕食の準備が出来たのかしら?」

「はい。ですが夕食の前に、ラーノンス侯爵様がヴァリフィア様を書斎にお呼びするようにと……。」

「お父様が?」


何となく嫌な予感がするヴァリフィアなのであった。
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