【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒

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信頼出来る協力者

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--3日後--


「久しぶりですね、ヴァリフィア。」

「お久しぶりです。ご健勝そうで何よりです。」

「貴女もお変わりないようで。」

「はい。ではいつもの場所へどうぞ。」


今日、ラーノンス侯爵家へと訪れたのは他でもない、ディルジアだった。
隣国への視察から戻ってきていたのだ。
2人は中庭へと向かう。

席につくと、イルナが紅茶を用意してくれた。
そして一礼の後、下がって行った。
ディルジアは近くに誰も居ないことを確認し、話し方が2人の時のになる。


「2日前に帰国したばかりというのに、殿下もお暇なのですね。」

「皮肉かな?僕だって忙しいんだよ?」

「そんなつもりはありませんよ。殿下は手際が良いのですね。」

「それは……褒めてくれているのかい?」

「勿論です。それに、仕事はそこまで多くはないでしょう?」

「まぁね。今は勉強がメインだから、課題さえ終わらせておけば、あとは自由なのさ。」

「そうなのですね。」


その後、隣国の様子を聞いたりなど少し雑談をしてから、本題に移った。


「殿下。1つ、お願いがあります。」

「君からとは珍しいね。」


ディルジアは小声で「借りが作られるかも?」と言ったが、ヴァリフィアに当然聞こえていない。


「実は、あの有名な伯爵家に、そろそろご退場願おうかと考えています。」

「伯爵家って……まさかあそこかい?!」

「はい。」

「危険過ぎじゃないかい?」

「重々承知しております。ですから、殿下にもご協力願いたいのです。」

「協力と言われても……。」


ブュージェ伯爵家の事情を知っているが故に、戸惑っているようだった。
そこで私は加えて言う。


「過去の記録を探って頂くだけで構いません。それも伯爵家のみならず、他の貴族の資料も同時に。」

「何故だい?必要ないんじゃ……?」

「怪しまれない為です。『特定の』ならば誰が見てもおかしく思います。ですが全ての貴族なら、勉強の一環と言っても誤魔化せるでしょう。」

「確かに…。全く、君は本当に子供なのか?」

「どういう意味でしょうか?」

「いや、何でもないさ。」


中身は子供ではない……と言うわけには行かないので、適当に誤魔化しておいた。
ディルジアには無理をさせると思い、この一件が片付いた後、手作りの菓子を会った時にこっそり出そうと思ったのだった。


(あまりあげたくはないんだけれどね。失礼になってしまうといけないから、こっそりにしようっと。そもそもバレたくないのだけれど……。)


というのがヴァリフィアの本音だ。
国の王子ともあろう者が、悪事を働いているブュージェ伯爵家と内通するはずがない。
それも7歳の子供だ。
伯爵も利益がないと考え、取り込もうとはせずに警戒もしていないだろう。
そういう意味では、とても信頼が出来る。
だからこそ協力を頼んだのだ。


「協力させてもらうよ。あの伯爵家を放置する事は、どの道出来ないだろうし。」

「感謝致します。」


危険を承知しつつも、ディルジアが協力してくれる事になったのだった。
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