【完結】私ですか？ただの令嬢です。

やはり面白い (王子視点)

「あの……どうして私を、王城へ招いて下さったのでしょうか？」


そうヴァリフィアから聞かれた。


「え～と、そうですね…。大した理由はありませんよ。こう言っては失礼ですが、あのお茶会で貴方に興味が湧いたのですよ。」


とだけ答えておいた。
嘘はついていない。
彼女がどういう人なのか、もっと詳しく知りたいと思っていたからだ。


「そう…なのですね。」


彼女は何故か分からないが、それ以上何も言わなかった。
更には敬語は不要だと言ってきた。


(やっぱり面白い令嬢だね。他の令嬢達は絶対にこんな事言わないだろう。)


そう思いつつも、自分も敬語は不要と言ってみたのだが、あっさりと拒否されてしまった。

ヴァリフィアと話している内に、ますます彼女が気になっていく。


(僕は、彼女に惹かれているんだな……。)


貴族社会が鬱陶しく、令嬢達の相手は面倒だと思うのだが、彼女だけは別だった。
自分でも不思議な気持ちだ。


「君は僕に媚びを売ってこないよね。」


その理由を聞いてさらに驚いた。


「……殿下と婚約すると面倒そうなので。」


本人の前で堂々と言われた。
それでも彼女を諦めきれなかった。
親であるラーノンス侯爵は必ず許可するだろうが、本人の意志を尊重したいという気持ちがある。

ふと思った。


(ヴァリフィアは貴族社会が面倒だから、僕と婚約する事を拒絶している。つまりは、僕自体が嫌という訳ではない、という事か？)


そう解釈した。
ヴァリフィアはバッドエンド回避をする為に、攻略対象であるディルジアを避けている。
その考えは確かに合っている。
合っているのだが……。


「殿下！お楽しみの所失礼致します。」


傍付きが父上と会う時間だと告げてきた。
話の内容は予想がつく。

ヴァリフィアに別れを告げて、父上のいる場所へと向かう。


(楽しかったなぁ。さて、父上に色々と話さなくては。)


上機嫌な様子で歩くディルジアを見て、傍付きは少し驚いているのだった。